きのあ将棋の「ロレンツィオ(中級)」と対局してみました。
三間飛車、四間飛車といった振り飛車の使い手らしく、ちょっと緊張する相手でしたね。
というのも、数年前、郷谷さんの振り飛車にコテンパンにやられて、きのあ将棋の振り飛車に重くトラウマを植え付けられているからです。
私は居飛車党なんですが、抑え込めるビジョンが浮かばなくて「どうしたもんかな・・・」って感じでした。
コンピューターの振り飛車は怖い・・・もうこれが頭に刷り込まれて怯えていましたね。
あ、そうそう、ロレンツィオの「ツィ」ってパソコンでどうやって打つか分かりますか?
私、これが分からなくて検索しちゃいましたよ。
「ツィ」なんて滅多に打ちませんしね。
普通に「ツ」と「ィ」を別々に打ってもいいんですが、調べてみると簡単に打てる方法がありました。
「TSI」って打つと「ツィ」って表示されます。
これならサラッとすぐ打てるので楽ですよ。
ちょっとした豆知識として覚えておくといつか役に立つかもしれません。
さて、パソコンの豆知識も紹介した所で本題のロレンツィオとの一局を紹介します。
久しぶりの振り飛車との一戦か・・・どうなるんだろ・・・
そう思った私に対し、意外な展開になった将棋をご覧ください。
予想外の序盤、どういう構想なんだろうか・・・
先手が「私」、後手が「ロレンツィオ」です。初手から、▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8八角成(下図)
いきなりの角交換、これは角交換振り飛車か?苦手だわ・・・
普通の三間飛車か四間飛車だと思ってたのでこの角交換にはビックリしましたね。
ここからどこに飛車を振るのか・・・
ドキドキしていた私ですが、ロレンツィオは完全に予想外の一手を指してきます。
上図以下、▲8八同銀 △6二玉(下図)
△6二玉?あれ?これは振り飛車じゃない?
プログラムのバグだろうか・・・ちょっと変な気がするけど・・・どういう駒組みをするつもりなのか・・・
振り飛車に怯えていた私ですが、ここからの完全な力戦にさらに苦手意識が芽生えてきました。
力できのあ将棋に勝てる気があんまりしないしね・・・
ドキドキの序盤が始まります・・・
角換わりの力戦形になりました
上の図は駒組みがそれなりに進んだ局面です。
こちらは無難な腰掛け銀模様、ロレンツィオは謎の囲い・・・
角換わりの力戦形になりましたね。最初の予定だった対振り飛車とは全く違う将棋になりました。
こうなると困るのがどうやって攻めていいか分からない事なんですよね・・・
見慣れない形で「どこが急所なのか」「どう攻めるのが最適なのか」こういうのが見えないので私の弱さが目立つ展開です。
実はこの局面、すでに仕掛けの時期を迎えていたのを局後のAperyの検討で知りました。
私はまだそんなのに気付かなかったので無難にいったんですが、まずはApery推奨の最適な仕掛けからご覧ください。
上図以下、▲4五桂(下図)
ここで桂跳ねからいくのがApery推奨の手順です、私には指せない一手ですね。
上図以下、△2二銀 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲3四飛(下図)
銀を引かせて飛車で横歩を取るのがいいみたいですが、これは飛車が不安定でちょっと怖い・・・ソフトならではって感じです。
上図以下、△3一金 ▲5二角(下図)
となり、先手優勢らしいんですが、ここからも後手の受けが正確だとけっこう難しく、とても人間にはまとめきれない気がします。
ちょっとオススメはできない手順ですね。
人間はもっと無難にいった方がいいかもしれません。
仕掛けてみたけどパッとしない
上の図は、▲4五桂 の仕掛けをせず▲5六銀 と上がった所に△6四歩 と突かれた所です。
ここから勝手読みで仕掛けをして、ちょっとイマイチでした。
上図以下、▲4五銀 △6三角(下図)
勝手読みの予定では、▲4五銀 に△4四歩 と追い返されて「4五に争点を作ってどうか」という感じだったんですが、△6三角 でアテが外れました。
逆に牽制されてちょっと嫌な感じになりましたね。勝手読みはダメだよなぁ・・・
ここでやり直しとばかりに▲5六銀 と銀を引くと△3六角(下図)と出られて困ると思って▲4七金 と受けたんですが、むしろ△3六角は歓迎で銀を引いた方が良かったみたいです。
以下、一例を示します。
上図以下、▲4五桂 △2二銀 ▲6六角(下図)
▲4五桂 で後手の角を戻れなくすると、実は角は取られるだけの駒になってしまうみたいです。これに気付かなかった・・・
上図以下、△3二金 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛(下図)
こうなると次に飛車を2六に引かれて角が死にます。角出は無理筋だったんですね。
上図以下、△5八角成 ▲同金 △2三歩 ▲3四飛 △3三歩 ▲3九飛(下図)
これで先手勝勢でした。1717点も先手が良いみたいです。
ちょっと先まで読めば気づけたかもしれないのに・・・ちょっと悪そうだとすぐ読みを打ち切るのが悪い癖ですね。
もっと深く読むようにしないと・・・
では本譜に戻ります。
上の図は銀を引かず▲4七金 と受けた所です。ここから当初の予定通り4五に争点ができる感じになります。
上図以下、△4四歩 ▲5六銀 △5二角 ▲6八金 △6三角(下図)
とりあえず争点ができて予定取り、ここから仕掛けていきます。
上図以下、▲4五歩 △同歩 ▲同桂 △4四銀 ▲4六歩 △3二金(下図)
この辺はAperyとも一致していたので良い感じです。
上図以下、▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2八飛 △3五歩(下図)
後手の反撃の△3五歩 に対し、ここで指した一手がちょっとイマイチで形勢を少し悪くします。
上図以下、▲6六角(下図)
銀を牽制して良い感じと思ったんですが、そうでもなかったみたいです。ここは▲6六角 ではなく▲2四歩(下図)と合わせるのが良かったみたいです。
上図以下、△4五銀 ▲同歩 △2四歩 ▲3五歩(下図)
とすれば局面がスッキリして先手優勢だったようです。
ここぞという場面で直感や判断がイマイチで弱さが見えますね。
どうにか攻めの形を作り頑張る
上の図は、ちょっと悪手だった▲6六角 を打った局面です。
ここからどうにか攻めを繋げようと頑張ります。
上図以下、△4三歩 ▲3五歩 △8四歩 ▲3四歩 △8三玉(下図)
△4三歩 が誤算、単純に受けられて角が止まってしまいました・・・そして角が捕獲されます。
上図以下、▲3三歩成 △同桂 ▲3四歩 △4五桂 ▲同歩 △5四桂(下図)
打った角が取られるだけで終わるという最悪の結果ですが、どうにか攻めにはなったので大丈夫でした。
上図以下、▲4四歩 △6六桂 ▲同歩 △4四歩 ▲3三銀(下図)
銀を打ち込んで攻めが繋がった感じはありましたが、ここは銀を打ち込む前に▲2五飛 と浮いておいた方がよかったみたいです。
この後の進行を見るとその意味が分かります。
上図以下、△3三同金 ▲同歩成 △2七銀 ▲5八飛(下図)
飛車を浮いておかないと銀で飛車を止められてしまうんですね。順調にいくと思っていた浅い読みが情けないです。
上図以下、△3六銀不成 ▲同金 △同角 ▲3八飛 △2七角成 ▲3四飛(下図)
飛車が成り込めればどうにかなると思っていましたが、ここで△2五角(下図)と打たれるとダメだったみたいです。
上図以下、▲4四飛 △4三歩 ▲同と △2六馬 ▲4九飛 △5八金(下図)
こうなると飛車を抑え込まれてイマイチでした。
上図以下、▲2九飛 △6八金 ▲同銀 △3六馬 ▲7九金 △3七歩(下図)
これは飛車が窮屈でダメですね。まだ指せなくもないですが辛いです・・・
でも、本譜はこうならず助かりました。ロレンツィオが指したのは△2五角 ではなくこちらの一手でしたから。
△5九角
飛車が狙われずちょっと助かりましたね。ここからガッチリ受けて攻めに入ります。
上図以下、▲5八金打 △3七角成 ▲4三と △1九馬 ▲3一飛成(下図)
飛車が成り込んでようやく一安心、ただ、ここから見慣れない玉の囲いを攻略するという難関が待っていました。
変な玉型が意外と寄せにくくて困る
上図以下、△7二馬 ▲5二と △6三銀 ▲5三と(下図)
後手玉に迫ってるんだけど、馬を引き付けられているし、玉は変な位置にいるし、なんか寄せにくいです。
こういう時、急所が見えないのが課題ですね。
上の図は、ちょっと進んだ局面です。
きのあ将棋に誤算があったのか、同じ手をループするミス?がありました。手がなくて困ってるって事なんでしょうか。
ここから不慣れな寄せにいきます。
上図以下、▲6二銀 △1二香 ▲7三銀成 △同桂 ▲6二金(下図)
馬が強力なのでどうにかしようと働きかけます。馬が消えればちょっとは楽になるかと思いましたから。
上図以下、△6二同馬 ▲同と △5七香成 ▲同金直 △6二飛(下図)
馬を消してちょっとスッキリした上図、ここから詰将棋ではないんですが、受け無しに追い込む手順がありました。
ちょっと見えにくい手なんですが、ここから一気に後手玉を追い詰める手順があります。
受け無しに追い込んでみてください。答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、▲8一竜 △8二金 ▲9二角 △9四玉 ▲8六桂 △8五玉(下図)
ここまで読めた方はけっこういると思います。でもあとちょっと足りなくてダメかな?と思って読みを打ち切ったんじゃないでしょうか?
ちなみに私はそうです、あと一歩届かないと思い、ここで読みを打ち切りました。
でも、ここで決めの一手があったんです、それがこちら。
上図以下、▲8八銀(下図)
これで次の▲7七桂 の詰みが受からず先手の勝ちでした。この▲8八銀 が見えなかった・・・
詰ますことばかり考えていて受け無しに追い込むというのが抜けていたミスですね。こんな手があるとは・・・
これに気付かなかった実戦は違う手で後手玉を寄せにいきました。それがこちら。
▲9六歩
端を突いておけばちょっと攻めの幅も広がっていけるかな?と思ってね。ここから端を中心とした寄せで決めにいきます。
上図以下、△6一金 ▲9五歩 △9八歩 ▲同香 △7二銀(下図)
気が付いたら後手陣は美濃囲いになってますが、気にせず端から攻めます。
上図以下、▲9四歩 △同香 ▲同香 △9三歩(下図)
固い金銀飛車の壁を相手にしないちょっと良い寄せな気がしないでもないですね。
上図以下、▲9三同香成 △同玉 ▲9四歩 △9二玉 ▲9九香 △9六歩 ▲同香 △8二金(下図)
後手も受けますが、ここから強引にいって大丈夫だったみたいです。
上図以下、▲9三歩成 △同金 ▲同香成 △同玉 ▲9四歩 △同玉 ▲8六桂(下図)
これでようやく寄せ切れる見通しが立ちました。
上図以下、△8三玉 ▲9五桂 △9二玉 ▲9三歩(下図)
ここでロレンツィオの投了。
実はまだ読み切ってなかったんですが、冷静に読めば詰んでるみたいですね。
以下、△8二玉 と逃げれば▲9二金 △7一玉 ▲8二角の詰みなんで、△9三同玉(下図)と取るんですが・・・
上図以下、▲9四香 △8二玉 ▲9一角 △7一玉 ▲8二金(下図)
までの詰みですね。
金銀飛車の壁を相手にせず端から攻めたのは正解だったみたいです。
久しぶりの1局目での勝利、あ~よかった・・・最近、負けまくりで勝てる気がしなくてちょっと怖かったから。
ただ、ロレンツィオの得意戦法である振り飛車じゃない形だったので、まだ本当の力は見れてないのかもしれませんが・・・
次にやる時は飛車を振ってくれると真の実力が見られるかもしれません。
普通の振り飛車とも戦ってみたいので、次はそうなるといいですね。
最後に
きのあ将棋のロレンツィオ(中級)とのちょっと変わった角換わり力戦の将棋でした。変な将棋ですが勝ててよかったです。
これで負けたらもう自信はカケラも残らなかったかもしれないから・・・
普通に振り飛車をやられてたら心が負けてた分、もっと危なかったかもしれません。
でも、変則的な将棋も完全に力の勝負になるので苦手ですね・・・
きのあ将棋の力戦、対振り飛車、どちらもまだまだ自信を持てないので課題が残されています。
もうちょっと筋の良い将棋を指せるようになると楽しくなるとは思うんだけど・・・
将棋は才能がないので当分無理そうですね。
まぁとりあえず勝ててよかったです。
次は飛車を振ってくれる事を願いつつ、またロレンツィオの胸を借りようと思います。