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【5級を越える将棋講座 ⑥】歩の手筋1「合わせの歩」と「底歩」を覚えよう【金底の歩、岩よりも堅し】

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脱・初心者を目指すための

5級を越える将棋講座

第6回からは

基本となる手筋編

と題し、第5回までの

「3手詰めの詰将棋」に絞って解説してきた「終盤の手筋」

とは違い、より実戦向けの

「序盤 ~ 中盤 ~ 終盤 の攻防に使える手筋」

を紹介していきます。

ちなみに

「手筋」

というのは

駒を上手に使った小技

のことです。

コレを覚えると将棋をやってる人っぽさが出てくる上に、良い手が見えるようになって将棋が楽しくなるので学ぶ価値がありますよ。

手筋編の第1回は、最も基本となる

「歩」の手筋

からスタートしますが、歩の手筋は

「まずはこれだけ知っておけば大丈夫」

という基礎だけでも6つあるため、1回目は比較的わかりやすい

・合わせの歩
・底歩

の2つに絞って解説します。

狙いがシンプルな歩の使い方をキッカケに

「歩も使い方しだいで強力な駒になる」

という手筋の面白さを知ってください。


「合わせの歩」とは・・・

歩の手筋で最も基本となるのが

「合わせの歩」

と呼ばれる手筋です。

その名の通り

「相手の歩の前」に「持ち駒の歩を打つ(合わせる)」一手

のことで

・駒を進ませる
・嫌味を解消する

など、

「攻め」と「受け」

の両方に使える効果的な手筋になります。

言葉では分かりにくいですが、これから解説する実例を見れば

「あ~、当たり前に使ってたコレを「合わせの歩」って言うのか・・・」

と思うほどメジャーな一手だと思いますよ。


攻めの「合わせの歩」~駒を進める~

上図は「棒銀の成功例」としておなじみの局面です。

ここからの手順が「合わせの歩」を「攻め」に使う最も基本となるパターンになります。

2五の銀を前に進めて弱点の角頭を攻めたいんですが、単に▲2四銀(下図)と出るのは・・・

△2四同歩(下図)と銀を取られて終わります。

どうにか歩で取り返されない形で駒を進めたい時に効果的なのが「合わせの歩」です。

この場合、どこに歩を合わせるのかというと・・・

銀を進めたい所にポンと歩を打つ▲2四歩(下図)がその一手になります。

もし△1四歩(下図)のように▲2四歩 を放置してきたら・・・

上図以下、▲2三歩成(下図)

合わせた歩を成り込めば・・・

上図以下、△2三同金 ▲2四銀(下図)

△2三同金 と取るしかなく金を引きずり出せるので、すかさず▲2四銀 とぶつければ「金・銀 交換」を狙うことができます。

以下、△2四同金 なら▲同飛 でいいですし・・・

△3四金 なら▲2三銀不成 と「角」「金」の両取りを掛ければ攻めが成功していますね。

この展開はマズイので、▲2四歩 の合わせには△同歩(下図)と応じるしかありません。

これで進みたい所に相手の歩を誘導できたので・・・

上図以下、▲2四同銀(下図)

ありがたく▲2四同銀 と取れば急所となる2四の地点に銀を進めることができました。

こうなると次に

・▲2三歩 と角取りに打つ手

・▲2三銀成 と角頭に突っ込む手

の両方を受ける術がありません。

先ほど、単に▲2四銀 と出て銀を取られた形と比べたら▲2四歩 と「合わせの歩」で銀を進ませる効果の大きさが分かりますね。

駒を進ませる「合わせの歩」の解説は以上ですが、参考までにここからの指し手も少し紹介します。

上図で△2三歩 は▲同銀成 で受けにならないので、△3四歩(下図)と角の逃げ道を開けるのが最善になります。

次の一手が棒銀を指す上で覚えておく価値のある一手です。

上図以下、▲2三銀不成(下図)

△3四歩 で角を逃がそうとした場合、あえて銀を成らない▲2三銀不成 が狙いを秘めた好手です。

△2三同金 なら▲同飛成 でいいので・・・

上図以下、△4四角 ▲3四銀成(下図)

△4四角 と角を逃げるのが最善ですが、▲3四銀成 と角取りに当てながら引くのが▲2三銀不成 とした効果で実現した厳しい一手になります。

(この図だと角を9九までいけますが、実戦では4四か5五に逃げるのが精一杯なので4四に逃げています)

次の▲2一飛成 を△2二銀 や△2二歩 と受けると▲4四成銀 と角を取られてしまうので・・・

上図以下、△2二角 ▲2四歩(下図)

駒損を避けるなら△2二角 と引くしかありません。

ここで▲2三成銀 と攻めても充分ですが、▲2四歩 と打ち、次に▲2三歩成 の「と金」作りを狙う方が厳しい攻めになるのでオススメです。

この▲2四歩 は次回 紹介する「垂れ歩」と呼ばれる手筋です。

ちょっと予習になると思ってここまで解説しました。

「垂れ歩」についての詳しい解説は次回をお待ちください。


【練習問題】歩得を狙う「合わせの歩」

「合わせの歩」についてちょっと分かった所で実戦的な練習問題を出題します。

上図は「相掛かり」の序盤です。

△6四歩 と突いたのが後手のミスで、「合わせの歩」の手筋を使えば飛車でこの歩を取ることができます。

序盤早々に歩得するにはどうすればいいでしょうか・・・

答えが浮かんだらスクロールしてください。





では答えです。

上図以下、▲2四歩(下図)

ここに歩を打てば6四の歩を取れる2四に飛車を進めることができます。

△1四歩 のように放置すると▲2三歩成 が厳しいので・・・

上図以下、△2四同歩 ▲同飛(下図)

△2四同歩 と応じるしかありません。

すかさず▲2四同飛 と取れば

・▲2三歩 の角取り
・▲6四飛 の歩取り

という2つの狙いを同時に受けるのが難しいです。

角を取られるわけにはいかないので△2三歩(下図)と打つくらいですが・・・

上図以下、▲6四飛(下図)

狙い通り6四の歩を取った上図は先手の成功です。

棒銀ほどの決め手にはなりませんが、飛車を縦横に使う「合わせの歩」として覚えておくと役立つと思いますよ。


受けの「合わせの歩」~嫌味を解消する~

「合わせの歩」は「攻め」だけじゃなく「受け」に使っても効果的です。

分かりやすい例として「合わせの歩」を受けに使うパターンを練習問題として出題しながら3つ紹介します。


「壁銀」を解消する「合わせの歩」

上図は、居飛車で「中住まい」にした時によく見る形です。

・7六にある歩の拠点
・8八にいる銀

によって玉が左へ逃げるのが難しく、右から攻められた時にあっという間に寄せられてしまいそうです。

このように玉の退路を塞ぐ銀は「壁銀」と呼ばれる悪形なので、早い内に解消しておきたい形になります。

「合わせの歩」を使って壁銀を解消するにはどうすればいいでしょうか・・・

答えが浮かんだらスクロールしてください。





では答えです。

上図以下、▲7七歩(下図)

相手の拠点の歩に合わせる▲7七歩 が

・拠点の解消
・壁銀の解消

を達成し、「抱えていた2つの問題」を同時に解決する好手になります。

このまま放置されれば▲7六歩 と歩を取ってから▲7七銀 と銀を上部へ使えばキレイな形にまとまります。

後手としては歩損をしながら拠点まで消されてはたまらないので△7七同歩成(下図)と歩を取りますが・・・

上図以下、▲7七同銀(下図)

▲7七同銀 と取り返せば「壁銀」が解消できた上に銀が好形になって好調です。

場合によっては▲7七同桂 と桂で取り返して▲6五桂 から攻勢を取る手もあり、▲7七歩 と合わせただけで窮屈だった左辺が見違えるように働きだしたのが分かるでしょうか。

こういう手が終盤に活きるので、悪形を解消する「合わせの歩」は有効な使い方になります。


拠点を取り返す「合わせの歩」

上図は「銀冠」に組んだ時に見かける形です。

7五の拠点が銀冠の急所によく利いていて、次に△7六桂(下図)と王手角取りに打たれると厳しいです。

このような時も「合わせの歩」が効果的なんですが、ヤッカイな拠点を奪い返すにはどうすればいいでしょうか・・・

答えが浮かんだらスクロールしてください。





では答えです。

上図以下、▲7六歩(下図)

「敵の打ちたい所に打て」

の格言を象徴する歩打ちが好手です。

このまま▲7五歩 と歩を取れれば拠点を奪って好調なので・・・

上図以下、△7六同歩 ▲同銀(下図)

後手は△7六同歩 と取りますが、▲同銀 と取り返した上図はヤッカイだった「△7五歩の拠点」が消えてスッキリしています。

次に▲7五歩 と打てば厚みで押す攻めも狙えますし、▲7六歩 と歩を合わせただけで見違えるほど安全になったのが分かると思います。

自玉に不安を残さなければ強い戦いができるので、こうやって嫌味を消しておくのは大切ですね。


窮屈な飛車を世に出す「合わせの歩」

上図は「角交換 振り飛車」でたまに見かける局面です。

先手の飛車が9八に追いやられて窮屈なのでどうにかしたい所ですね。

ここでも「合わせの歩」を使うと飛車を働かせることができるんですが、どうすればいいでしょうか・・・

答えが浮かんだらスクロールしてください。





では答えです。

上図以下、▲8八歩(下図)

この窮屈な所に打つ▲8八歩 が左辺をほぐす好手です。

もし△9四歩 のように8八の歩を放置したら▲8七歩(下図)と歩を取れば・・・

先手陣への嫌味がなくなったので▲7七金 から飛車を大きく横に使ったり・・・

▲8八飛 ~ ▲8六歩 と飛車先の逆襲を狙ったりと自由になります。

それが嫌なら△8八同歩成(下図)と歩を取るしかないんですが・・・

上図以下、▲8八同飛(下図)

堂々と飛車で取り返して飛車交換を狙えば振り飛車が好調です。

△8八同飛成 は飛車打ちに強い先手が有利になるので△8四歩 や△8六歩(下図)として飛車交換を拒否するくらいですが・・・

これなら▲7七金 から飛車先の逆襲を狙ったり・・・

▲7七桂 ~ ▲8五歩 から軽く飛車を使ったり・・・

振り飛車らしい展開で先手ペースになります。

最初の9八に飛車が追いやられた形と比べたら見違えるような軽い形になりましたね。


「受け」の「合わせの歩」 まとめ

「受け」の「合わせの歩」として紹介した上記の3例は実戦でも類似の形がよく現れます。

相手の歩が邪魔で窮屈な所に

「持ち駒の歩を合わせるだけで悪形がほぐれて嫌味を解消できる」

のが「合わせの歩」の大きな魅力です。

地味ですが何となくこの手のすごさを感じ取ってもらえればいいかなと思います。

もし序盤 ~ 中盤 の悪形が最後に響いて負けることが多いなら意識して狙ってみると勝率が変わるかもしれませんよ。


「底歩」とは・・・

歩の手筋の中でも受けに特化しているので用途が分かりやすく

「使い方次第では大きな効果がある」

のが

「底歩」

と呼ばれる手筋です。

その名の通り、自陣の最下段である

「底」に打つ「歩」

なんですが、これがどう受けに有効なのか・・・

具体例を元に紹介します。


金底の歩、岩よりも堅し

「底歩」は金と連携した時に驚異の力を発揮します。

その例として△4九飛 と王手された下図の形で説明しますね。

△4九飛 は飛車単体の王手なのでしっかり止めれば怖くありません。

持ち駒の歩を使って止めるのが効果的ですが、1ヵ所だけ特に効果的な打ち場所があります。

それが金の下に打つ▲6九歩(下図)です。

・「歩」の上への利き
・「金」の下への利き

が見事に連結してガッチリした壁としてガードできるからです。

この「金」の下に打つ「底歩」は

「金底の歩」

と呼ばれる手筋で、その頑丈さから

「金底の歩、岩よりも堅し」

という格言が生まれるほど受けの定番として欠かせない組み合わせになっています。

上図だとちょっと心もとない感じがあるので、もう少し「金底の歩」の頑丈さが伝わる実例を紹介します。


振り飛車が5筋の歩を切る理由になる「金底の歩」

上図は、先手の美濃囲いに対し△8九飛 と打たれた所です。

まだ手付かずな美濃囲いとはいえ、次に△6六桂 や△5七銀 から的確に攻められると危険です。

ここで出番なのが「底歩」の中でも強力な「金底の歩」なんですが、どこに歩を打つのがいいでしょうか・・・

答えが浮かんだらスクロールしてください。





では答えです。

上図以下、▲5九歩(下図)

飛車の利きをガッチリ止める▲5九歩 が正解です。

歩1枚を足しただけなのに定番の寄せへの耐性がものすごく上がっています。

△6六桂 ▲4八金寄 △5九銀 と絡む手順では最後の△5九銀 が打てませんし・・・

△5七銀 ▲同金 △4八銀 も▲同金(下図)と取れますから・・・

(5九の歩がなければ△3九角 が厳しい)

▲5九歩 の一手で横からの攻めには盤石になり、反撃を気にせず思い切った寄せを狙えます。

美濃囲いを使うなら序盤 ~ 中盤 の内に5筋の歩を切っておき、終盤に▲5九歩 と補強する手を用意するとしぶとさが変わりますよ。

実戦でも一番使える「金底の歩」なので、この手だけでもしっかり覚えてください。


王手飛車を誘う「中合いの底歩」

「金底の歩」を覚えれば充分ではあるんですが、もう1つ

「タダで取れる所に打って駒を誘って受ける底歩」

もあるので、一例として

「角と連携して王手飛車を含みに受ける底歩」

を紹介します。

上図は、崩れた美濃囲いに△8九飛 と打たれ、△3九角 を狙われた所です。

「金底の歩」でガッチリ受けたいんですが、▲4九歩 は2歩なので打てません。

かといって▲4九金打 はもったいない・・・

そこで出番なのが「中合いの底歩」です。

上図以下、▲5九歩(下図)

タダで取れる歩なので意味が分からないかもしれませんが・・・

上図以下、△5九同飛成(下図)

もし素直に飛車で取ってくれると・・・

上図以下、▲7七角(下図)

持ち駒の角を活かしたキレイな王手竜取りが決まります。

なので△5九飛成 と歩を取ることはできず、△3三桂(下図)などで玉をガードするくらいですが・・・

上図以下、▲4九金(下図)

一手の猶予を得たので▲4九金 のように金を引いておけば耐久性が上がってこれからの将棋になります。

あと一手で決まりそうだった所からここまで復活できれば上出来ですよね。

今回、取れる所に打つ▲5九歩 を「底歩」の一種として紹介しましたが、たまたま底歩として打っただけで正しくは「中合いの歩」という手筋になります。

こういった

「あえて取れる所に歩を打って受ける」

というのは実戦でもよく見る使い方です。

「取れるけど、取ったら酷い目に遭うよ?」

という読みの入った一手が指せるようになれば5級を越えるキッカケは掴んでいます。

実戦の中でうっすらとでも浮かぶようになれば楽しくなるので、知識として入れておいてください。


最後に

5級を越える将棋講座

第6回から

基本となる手筋編

として、まずは最も基本となる

「歩」の手筋

の中から

・攻めの「合わせの歩」(下図)


・受けの「合わせの歩」(下図)


・「底歩(金底の歩)」(下図)

を紹介しました。

一手で局面を変えるキッカケになるこれらの手筋を上手く使うと

「形がキレイな筋の良い将棋」

に近づいていくと思います。

・合わせの歩
・底歩

はよく使う手筋なので、今回 紹介した以外の色々なパターンも実戦で見つけるたびに覚えていくといいですよ。

歩1枚をキッカケに形勢を左右する有効な手が指せれば5級越えどころか初段も目の前です。

特にレベルの違いが現れるのが歩の手筋なので、的確に使えるように基本からしっかり覚えていきましょう。


※「5級を越える将棋講座 第7回」は下記リンクからどうぞ。

【5級を越える将棋講座 ⑦】歩の手筋2「継ぎ歩」と「垂れ歩」を覚えてワンランクアップ【3歩持ったら 継ぎ歩 と 垂れ歩】 - ダメ人間ブログ【ニートの愚痴と将棋の記録】