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【5級を越える将棋講座 ⑭】桂の手筋2「控えの桂」「継ぎ桂」を解説【狙いを秘めた桂の使い方】

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脱・初心者を目指すための

5級を越える将棋講座

第14回は

基本となる手筋「桂馬」編

の2回目として

・控えの桂
・継ぎ桂

を紹介します。

厳しい狙いを秘めたちょっと上級者っぽい桂の使い方を覚えて5級を越えるキッカケを掴んでください。


「控えの桂」とは・・・

「控えの桂」というのは

「次に厳しい狙いがある場所に桂を打つ一手」

のことです。(下図)

上図の▲2六桂 のような

「打った瞬間はなんでもない一手」

に見えて

「次に▲3四桂 の『角・金』両取りという厳しい手を狙っている桂打ち」

「控えの桂」と呼びます。

放置すると両取りを食らうので後手は何かしら受けるんですが・・・

△3三金 と受ければ▲4五桂(下図)の「金・銀」両取りですし・・・

△3三香(下図)と受ければ・・・

上図以下、▲3五歩 △同歩 ▲3四歩(下図)

などがあり、ヘタに受けると悪化します。

▲3四桂 を許しても「角・金」の両取りは避ける△4四角(下図)が自然ですが・・・

機を見て▲4五桂 △6二銀 ▲3四桂(下図)といった絡む手段を得た先手が悪くありません。

受けにくい上に、受けても形が乱れてしまうヤッカイさが「控えの桂」の効果です。

こういう手が使えると寄せの力が上がるので、もう少し実戦的な手順を紹介して棋力アップに繋げてもらおうと思います。


美濃囲いを崩す「控えの桂」

上図は、後手の美濃囲いの攻略に「控えの桂」が有効に働く局面です。

▲4五桂 と分かりやすく金取りに打つ手もなくはないですが、ここは後手陣の不備を突く「次に厳しい狙いを持った桂打ち」が効果的です。

上図以下、▲8六桂(下図)

コレといった影響がないように見える▲8六桂 ですが、この手は

「次に▲7四桂(下図)と跳ねる厳しい王手を狙っている」

ため、放置するわけにいかない一手になっています。

どれくらい厳しいか知ってもらうために▲7四桂 以下の寄せ手順をサラッと紹介しておきます。

上図以下、△9二玉 ▲9三香 △同玉 ▲8二角(下図)

▲9三香 と捨てて玉を吊り上げ、▲8二角 と打つのが寄せに持っていく好手順です。

上図で△9二玉 と下へ逃げると▲9三銀 △8一玉 ▲9一角成 から詰むので・・・

上図以下、△8四玉 ▲7五銀 △8五玉 ▲7七金(下図)

△8四玉 と上へ逃げますが、▲7七金 まで進めれば後手に受けがありません。

直接 金取りに打つ▲4五桂 よりも、次に狙いを秘めた▲8六桂 の方が厳しいのが伝わったでしょうか・・・

こういった読みの隠れた一手が指せれば5級を越えて3級以上ですね。

後手は放置するとやられるので▲8六桂(下図)には何かしら受けないといけません。

・△6三金
・△6三銀左

の2つに分かれますが、▲8六桂 を拠点に厳しい攻めが続く一例を紹介します。

まずは△6三金(下図)と受けた場合から・・・

上図以下、▲7五歩(下図)

この手には桂頭を狙う▲7五歩 から手が続きます。

放置すれば▲7四桂 の王手が入るので・・・

上図以下、△7五同歩 ▲7四香(下図)

後手は歩を取りますが、空いた7四に香を打つのが厳しい一手です。

もし香がないなら▲7四歩 と打ち、△6五桂 ▲6六銀 と上部への厚みを増すのも効果的になります。

上図以下、△8四歩 ▲7三香成 △同金 ▲7四銀(下図)

▲7四香 に△6五桂 と桂を逃げると▲7二香成 △同玉 ▲4三銀 が厳しいので△8四歩 と懐を広げるくらいですが・・・

桂を拠点に▲7四銀 と打ち込めば先手の攻めが切れません。

上図以下、△8五歩 ▲7三銀成 △同玉 ▲7四歩(下図)

これで寄り筋です。

以下、△8四玉 なら▲7三角 △同銀 ▲同歩成 △同玉 ▲7四銀・・・

△6三玉 なら▲7三金 △同銀 ▲同歩成 △同玉 ▲7四銀(下図)という感じで迫れば寄せ切れます。

次は▲8六桂 に△6三銀左(下図)と受けた場合です。

こちらは先ほどの△6三金 と違い、竜の利きが玉に通ったので攻めやすくなっています。

上図以下、▲7五歩 △同歩 ▲7四歩(下図)

上図のように7筋から攻めた時、7二の銀が動けない制約が厳しく先手ペースです。

もし△6五桂 と逃げると▲7三角 の打ち込みが刺さって寄り筋ですから。

桂を逃げなかったら▲7三歩成 と桂を取り、あとは7筋をしつこく攻めれば先手の勝ちです。

▲8六桂 を△6三銀左 と受けた場合、▲7五歩 以外に▲9五歩(下図)と端から攻める手も効果的です。

上図以下、△9五同歩 ▲9四香(下図)

竜の利きで6二からの退路が塞がれているので挟撃体制になっています。

上図以下、△9四同香 ▲同桂(下図)

以下、△7一玉 や△8一玉 には▲8二銀・・・

△9二玉 なら▲9三歩 △同玉 ▲8二角 から上部に玉を追い出せば寄ります。

最初に打った▲8六桂(下図)がいかに厳しいかが伝わる手順だったと思います。

つい▲4五桂 のような金取りに打ちたくなりますが、ちょっと控えて▲8六桂 と打ち、

次に厳しい狙いを持った一手から手を繋げる

のは有効な攻め方です。

歩の手筋の「垂れ歩」に近い感覚で桂を使えるようになれば5級越えは果たしていますよ。


「継ぎ桂」とは・・・

「控えの桂」と連携して強力な効果を発揮することがある

「継ぎ桂」

という手筋があります。

これはその名の通り

「桂の利きに持ち駒の桂を打って桂を継ぐ一手」

のことです。(下図)

これだけでは意味が伝わりにくいので、「継ぎ桂」が有効に働く典型例を元に解説します。


美濃囲いを詰ます「継ぎ桂」

上図は「居飛車」vs「振り飛車」でよく見る形です。

後手の美濃囲いに対し、先ほどのように桂を跳ねる場所がないので

「ここで桂を打つ好手がある」

と言われても分かりにくいと思いますが、持ち駒に2枚ある桂を有効に活用する一手があります。

上図以下、▲8六桂(下図)

▲8六桂 がその一手です。

先ほどと同じ位置に打つ「控えの桂」ですが、パっと見では

「この手に厳しい狙いがある?」

という感じかもしれません。

実はこれ、「継ぎ桂」を使った詰めろになっているんです。

その手順を紹介しますね。

上図以下、△5四歩 ▲7四桂打(下図)

▲7四桂打 と「8六の桂の利き」に「持ち駒の桂を重ねる」のが好手です。

△7一玉 は▲8二金 の詰みですし・・・

△9二玉 と逃げると▲9三香 △同玉 ▲8二角(下図)と打ち・・・

上図で△8四玉 と上へ逃げるのは▲7五金 の詰みなので・・・

上図以下、△9二玉 ▲9一角成(下図)

△9二玉 と下へ逃げますが、▲9一角成 と角を成り捨てれば詰みます。

以下、△9一同玉 は▲8二金・・・

△9三玉 は▲8二馬 △8四玉 ▲7五金 までの詰みです。

なので▲7四桂打 は△同歩(下図)と取るしかありません。

これで歩が吊り上がり最初に打った桂が跳ねる場所ができたので・・・

上図以下、▲7四同桂(下図)

桂の連続王手で迫ることができました。

△9二玉 と逃げるのは先ほどと同じ手順で詰みます。

上図以下、△7三玉 ▲8二角(下図)

なので逃げるならスペースが空いた△7三玉 ですが、▲8二角 で6四からの脱出を防げば・・・

上図以下、△7四玉 ▲7五金(下図)

▲7五金 までの詰みです。

桂が跳ねる場所がないように見えた「控えの桂」も、「継ぎ桂」を使えば一気に跳ね出して攻めることができます。

このように「連続で桂の利きを攻めに使いたい場合」に有効なのが「継ぎ桂」です。

上記の美濃詰ましが実戦でよく見かける「継ぎ桂」の使い方ですね。

後手が△6四歩 のように▲7四桂打 からの詰めろを受けたら▲9五歩(下図)と端に手をつけて「控えの桂」の攻めを狙えばOKです。

以下、△9五同歩 なら▲9四歩 の垂らしや▲9四桂打(下図)と端での「継ぎ桂」などから手が続きます。

終盤、スピード感のある攻めを狙うなら「継ぎ桂」をお試しください。


最後に

基本となる手筋「桂馬」編

の2回目として

・控えの桂
・継ぎ桂

を紹介しました。

・舟囲いへの▲2六桂(下図)


・美濃囲いへの▲8六桂(下図)


・「継ぎ桂」からの詰み(下図)

は実戦でかなり有効な寄せとして使える一手です。

直接 駒取りに当てるだけじゃなく、

「次に厳しい狙いを秘めた桂打ち」

が使えれば攻め幅が広がって楽しくなるので、

「控えの桂」

という発想を知った今日から狙ってみてください。

裏に読みの隠れた厳しい手順で寄せにいけるようになれば5級越えは果たしていますよ。


※「5級を越える将棋講座 第15回」は下記リンクからどうぞ。

【5級を越える将棋講座 ⑮】金の手筋「尻金」「送りの手筋」を解説【ちょっと長めの詰め将棋】 - ダメ人間ブログ【ニートの愚痴と将棋の記録】