唐突ですが、今回から
5級を越える将棋講座
と題し、
将棋が強くなりたい初心者
に向けて
最も基本となる「手筋」や「詰みパターン」
を紹介していきます。
5級を越えるには
ちょっと将棋を知ってる人っぽい上手な駒の使い方
が必須になるので、この講座をその足掛かりにしてもらえたら嬉しいです。
第1回は
基本となる玉の詰まし方「金・銀」編(1~3手詰め)
として
「まずはこれだけ知っておけば大丈夫」
と言える
金と銀を使った詰みのパターン
を6つ解説します。
金と銀の特性を活かした詰まし方
を覚えて脱・初心者のキッカケを掴んでください。
- ① 金の特性を活かした「頭金」
- ②「頭金」を狙う3手詰め ~金はトドメに残せ~
- ③ 金と銀の連携 ~下段に落とす銀~
- ④ 金と銀の連携2 ~銀の利きを活かす~
- ⑤ 銀を残した方がいい詰み形
- ⑥「退路封鎖」と「不成り」で詰ます
- 最後に
① 金の特性を活かした「頭金」
まずは将棋の基本と言っても過言ではない「頭金」
の1手詰めからいきます。
上図で持ち駒の金を使って詰ます一手を考えてみてください。
どこに金を打つのが正解でしょうか・・・
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲5二金(下図)
玉の真上に打つのが正解です。
将棋では
・駒の上を「頭」
・駒の横を「腹」
・駒の下を「尻」
と人の体に例えて呼ぶ流れがあり、上記の一手は
玉の上(頭)
に金を打って詰ます形から
「頭金(あたまきん)」
と呼ばれています。
上部すべてを包囲する「金」によって玉を逃がさない
という「金の特性」を最大限に活かした一手ですね。
もし初手で▲5二金 ではなく▲6二金(下図)のように打ってしまうと・・・
上図以下、△4一玉(下図)
と逃げられてしまうので、真上に打つ大切さが分かると思います。
「頭金」が持つ
「玉の真上に打つ金の強力さ」
は最も基本となる詰み形なのでしっかり覚えておきましょう。
②「頭金」を狙う3手詰め ~金はトドメに残せ~
「頭金」の基本が分かった所で「頭金」でトドメを刺す3手詰め
に進みます。
上図の玉を3手目に「頭金」で詰ますにはどうしますか?
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲5三銀(下図)
まずは玉の真上に「銀」を打つのが正解です。
上図以下、△5一玉 ▲5二金(下図)
これでどこに玉を逃げても真上から金を打てば「頭金」の詰みですね。
この問題では「金を残す」のがポイントでした。
もし初手に▲5三金打(下図)と打った場合・・・
△5一玉 と逃げてくれれば▲5二銀(下図)で詰みますが・・・
△4一玉(下図)とナナメに逃げられると銀1枚では詰みません。
上図以下、▲4二銀 △3二玉(下図)
▲4二銀 と打っても脇が甘い銀の弱点を突かれ、スルッと△3二玉 と逃げられてしまいますから・・・
「銀」が「金」だったらどこへ逃げても捕まえられたのを考えると
金を残す大切さ
が分かると思います。
将棋には
金はトドメに残せ
という格言があるんですが、それは
包囲力の強い「金」を残した方が玉を捕まえやすい
からこそ言われている言葉です。
迷ったら金を残す
というのは確率的になくはない考え方になりますね。
③ 金と銀の連携 ~下段に落とす銀~
持ち駒が「金2枚」なら簡単だけど「金と銀が1枚ずつ」
の場合にはちょっと工夫が必要な一例を紹介します。
まずは「持ち駒が金2枚」なら簡単な上図の3手詰めから・・・
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲3二金打 △1二玉 ▲2二金打(下図)
ベタベタと金を打てば簡単な詰みですね。
では本題です。
「持ち駒が金と銀1枚ずつ」になった場合はどうやって詰ましますか?
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲3一銀(下図)
ここに銀を打つのが好手で詰みます。
△1二玉 と逃げるのは▲2二金(下図)の詰みなので・・・
△3一同玉(下図)と銀を取るしかありません。
「これには学んだばかりの「頭金」が使える!」
と思った方はこの数分で成長しています。
上図以下、▲3二金(下図)
玉を下段に落とした効果でキレイな「頭金」の詰みですね。
この問題には
・金をトドメに残す
・玉を下段に落として「頭金」を狙う
という2つのポイントがありました。
初手の▲3一銀 がこの2つを達成する好手で、金と銀が見事に連携して詰ますことができます。
もし最初に出した問題のように▲3二金打(下図)と打ってしまうと・・・
上図以下、△1二玉(下図)
△1二玉 とかわされた時に
「横に進めない銀では王手が掛けられない」
という事態になり
銀ならではの弱さ
が露呈して詰みませんから、先に打つ駒の違いで明暗が別れる良い例だと思います。
後に狙いを秘めた▲3一銀 がパッと見えるようになると、金と銀を使った詰みのコツを覚えてきた感じになりますね。
④ 金と銀の連携2 ~銀の利きを活かす~
もう1つ、銀を上手く使った詰み形を紹介します。銀ならではの利点を活かして上図の玉を詰ますにはどうすればいいでしょうか。
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲3二銀(下図)
ここに銀を打つのが「銀ならではのナナメの利き」を活かす好手です。
上図以下、△1二玉 ▲2三金(下図)
2三の地点にある利きを活かし、▲2三金 と打てばキレイに詰みますね。
もし初手に▲3二金打(下図)と打ってしまうと・・・
上図以下、△1二玉(下図)
同じように逃げられた時に続く手がなく捕まりません。
▲2一銀 と打っても△1三玉 で詰みませんから・・・
正解の▲3二銀 が、銀のナナメの利きを活かした「コレしかない詰み形」というのが分かりますね。
⑤ 銀を残した方がいい詰み形
ここまでの流れで「金はトドメに残せ」
という格言の通り
金を残した方が詰ましやすい
というのが何となく分かってきたと思いますが
「それが絶対ではない」
というのが将棋の面白い所なので、その一例として下記の3手詰めを出題します。
銀をトドメに使って上図の玉を詰ましてください。
答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、▲3二金打(下図)
この形の場合、先に金を打つのが好手になります。
上図以下、△1三玉 ▲2二銀(下図)
△1三玉 と逃げられた時にナナメの利きがないと詰まないので「銀を残す」のが大切ですね。
「銀をトドメに残す」
と言われたけれど、先ほど紹介した「金と銀の連携」で覚えた▲3一銀(下図)が初手に浮かび・・・
「銀は取れないから△1一玉 と逃げて・・・」
「あれ? 銀を残す意味ある? ▲2二金(下図)で詰みじゃないの?」
と思った方もいたと思いますが、▲3一銀 には△1三玉(下図)があって「あっ」ってなります。
△1一玉 でも△1三玉 でも問題なく詰ますには「銀を残す▲3二金」しかありません。
将棋の基本となる
3手の読み
で「金を残したら詰まない」ことに気付き、
ケースバイケースで対応する大切さ
がちょっと伝わればこの問題を出した意味があります。
ちょっと将棋を覚えてきた時に陥りがちなミスなので、もし
「あれ? ▲3一銀 で詰みじゃない?」
と思ってすぐスクロールした方がいましたら、少し慎重に読む大切さも学んでもらえたらと思います。
⑥「退路封鎖」と「不成り」で詰ます
銀の特性を活かした詰み筋としては次のような3手詰めもあります。上図の玉を詰ますには銀をどう有効に使えばいいでしょうか・・・
答えが分かったらスクロールしてください。
では答えです。
上図以下、▲1三金(下図)
ここに金を捨てるのが銀の利きを活かして「退路封鎖」をする好手になります。
上図以下、△1三同桂(下図)
銀が利いてるので桂で取るしかなく、これで1三からの退路が消えました。
あと一押しですが、ここでもう1つ銀ならではの好手があります。
上図以下、▲2一銀不成(下図)
成れる銀を「あえて成らない」のがナナメの利きを活かす好手です。
これはけっこう実戦でも出てくる形なので覚えておくと役立ちますよ。
最後に
5級を越える将棋講座第1回として、最も基本となる
金と銀を上手く使った詰みパターン
を紹介しました。
今回 紹介した中でも
・頭金(下図)
・玉を下段に落とす銀(下図)
・銀を残す詰み形(下図)
・不成りで詰ます銀(下図)
の4つは実戦でもよく出てくる形なのでしっかり覚えてください。
これらを覚えればちょっと上手な金と銀の使い方ができるようになっています。
パターンとして頭に入れ、類似形でパッと浮かぶようになれば5級を越えるキッカケを掴んでますよ。
金と銀を持って終盤に入った時、
「どの使い方が有効か」
を考えながら指し、3手詰めだったらキッチリ詰ませられるようになってください。
※「5級を越える将棋講座 第2回」は下記リンクからどうぞ。
【5級を越える将棋講座 ②】香車を使った基本の3手詰め【下段の香に力あり】 - ダメ人間ブログ【ニートの愚痴と将棋の記録】