人生詰んだニートのブログ

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「コーヤン流 三間飛車の極意 急戦編・持久戦編」のレビュー

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今回は、三間飛車党なら必携の本

「コーヤン流 三間飛車の極意 急戦編・持久戦編」

のレビューをします。


この本は

「コーヤン流 三間飛車の極意」

の名の通り、振り飛車の名手「中田 功」先生ならではの三間飛車の指し方を学べる本です。

三間飛車を指す上で必須となる

・対 急戦
・対 左美濃
・対 穴熊

への攻略手順を元に

振り飛車らしい指し方・さばき方」

を一通り覚えられるので、振り飛車党の方にとってかなり参考になる一冊になっています。

元になる本が2003年発行ということもあり、2023年の今となっては基本的な内容かもしれませんが

「なぜこの手順や形に行きついたのか」

という定跡になるまでの裏側を知れる所に大きな価値があると思います。

現代に繋がる歴史的名著として参考になる本ですね。

この記事では、大まかな内容に触れながら感想を書いていくので購入を迷ってる方は参考にしてみてください。


「コーヤン流 三間飛車」とは・・・

本書の売りは

従来の三間飛車定跡を中田先生なりにアレンジした「コーヤン流」を学べる所

にあります。

コーヤン流の特徴は、オーソドックスに左辺から動くのではなく

4筋の位を取って中央からさばく

という感じで、どちらかと言うと右辺の勢力を重視している所です。

なぜそういう方針を取っているのか

というのが本書の売りなので詳しくは言えませんが

・4筋の位を取るのは「いつでも〇〇を〇〇ため」

・〇〇を〇〇に位を取る

・理想的な布陣

といった、この方針の意味や駒組みのコツを知ると三間飛車の指し方が良い方向に変わるのは間違いありません。

これから三間飛車を覚える方は必見ですね。


三間飛車のさばきに対する名言を聞けた

個人的に本書で一番の名言だと思ったのが、コーヤン流のさばき方の解説でサラッと語られた

「〇〇がさばければ〇〇は自然にさばけていくものです」

という言葉でした。

本書を読むまでは

三間飛車をキレイにさばくにはどういう風に指せばいいんだろ?」

「何をどうしたらさばきやすくなるのか・・・」

という疑問をずっと持っていて

三間飛車をさばくコツとは?」

という問いにスッと答えることができなかったんですが、この言葉でその悩みが晴れた気がします。

「確かに〇〇がさばけると〇〇が使いやすくなるかも・・・」

というのに気付けたのは、これから三間飛車を指す上で目指すべき方針になりそうです。


コーヤン流の方針が明確で分かりやすい

本書で解説されている

・対 急戦
・対 左美濃
・対 穴熊

の手順は、中田先生が愛用している指し方を中心に実戦経験から得た明確な方針が定められた解説になっています。

・メジャーな急戦定跡には△5四銀 から「丸山新手」へ

・4枚美濃には〇〇〇

・3枚穴熊には〇〇〇を狙う

・4枚穴熊には〇〇〇〇を狙う

といった感じで何を目指して指すかが分かりやすくコツを掴みやすかったです。

相手の形を見て急所を狙う感覚が身に付けば駒組みで迷わず指せそうですね。


急戦編の内容

急戦編では「わからん殺し」をされないために必要な

・いきなり▲4五歩 と突っかけてくる超急戦(下図)

から始まり・・・

・メジャーな急戦定跡(下図)


・▲3五歩早仕掛け(下図)


・ナナメ棒銀(下図)

といった急戦への対応手順を一通り解説しています。

四間飛車との違い
・玉頭位取りを警戒する駒組み
・コーヤン流の一手

など、序盤の大切な基礎をしっかり学べる内容になっているので基礎固めに良いですね。

もし三間飛車を指すなら常識となっている下図の局面で・・・

パッと次の一手が浮かばないなら読む価値がありますよ。


持久戦編の内容

最初に書いたコーヤン流の「▲4五歩位取り」の真骨頂が出るのが持久戦です。

天守閣美濃」と「穴熊」に対し

・位の取り方
・位を活かした指し方

を解説してくれるので、持久戦で居飛車に好き勝手されない駒組みを学べます。

左美濃(下図)では

・ガッチリ4枚美濃へ組む手への対策
・攻めを狙うナナメ棒銀への対策

の手順から

・「ウサギの耳」
天守閣美濃を必至に追い込む鬼手
居飛車からのドキっとする鬼手

などの有力な変化が学べますし・・・

穴熊(下図)では

・3枚穴熊
・4枚穴熊

への対応手順を学べます。

先ほど書いた通り、方針がハッキリした攻略手順なのでとっつきやすいです。

これらの指し方をしっかり頭に入れれば持久戦で組み負けず互角に渡り合う指し方が身に付きますよ。

いつもガッチリ組まれた固い玉に苦戦している方は必見ですね。


実戦譜が参考になる

急戦編・持久戦編の最後には

中田先生の実戦譜(自戦記)

が3~4例ほど掲載されています。

講座の振り返りになるのはもちろんのこと、

実戦の中で何を考えて指しているのか

というプロの感覚に触れられる丁寧な解説がセットになっているのでメチャクチャ参考になります。

漠然と手順だけを追うのと違い、ポイントになる一手の意味がよく分かるのはありがたいです。

こういう解説付きの棋譜並べは勉強になるので、何度も並べれば棋力アップに役立ちますね。


最後に

「コーヤン流 三間飛車の極意 急戦編・持久戦編」

を読めば

・急戦と持久戦の定跡
・さばきのコツ
・急所を狙う攻め筋

といった三間飛車を指す上で必須の知識が一気に学べるので

「メジャーな定跡をザっと頭に入れたい」

という級位者から

「左辺からさばく将棋で行き詰まってる・・・」

左美濃穴熊の固さを打破する手段が分からない・・・」

「従来とは違うバリエーションを知りたい・・・」

といった駒組みに課題を抱えてるアマ有段者まで、幅広い層にオススメできる本になっています。

三間飛車のバイブル

として本棚に置き、定期的に読み返すと新しい発見がある名著ですね。

三間飛車に興味を持った人なら損はしないので、ぜひ本書も候補に入れて検討してみてください。