今回は、角交換振り飛車の入門書として最適な
「これだけで勝てる 角交換振り飛車のコツ」
のレビューをしたいと思います。
この本は、角交換型の振り飛車の中でも主流な
・角交換 四間飛車
・角交換 中飛車
・ダイレクト三間飛車
・ダイレクト向かい飛車
・4→3戦法
・立石流
といった戦法の基本をサラッと学べる内容になっています。
王道の角道を止めた振り飛車を覚えてきた級位者が
「ちょっと現代風の角交換をした振り飛車もやってみようかな」
と思った時の入門書として最適だと思います。
広く浅く序盤を中心に解説されているので
「角交換 振り飛車を指す上で必要な序盤の基本」
をザっと頭に入れておきたいなら買いですね。
この記事では、本書を一通り読んだ私が大まかな内容と感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。
角交換振り飛車 3つのコツ
まずは「角交換 振り飛車」を指す上で大切な3つのポイントから始まります。① 玉の囲いは 〇〇 を恐れない
② 〇〇 がこの戦法のキーマン
③ 〇〇 も視野に入れた戦い方をする
これら3つのコツである「〇〇」に何が入るかが分かると
「角交換 振り飛車を指す上で大切な感覚」
が理解でき
「どういう方針で指す戦法なのか」
の大枠が見えてきます。
コレを知っているかどうかで指し方が変わってくると思うので、基礎の基礎から知らないなら本書を買う価値がありますね。
「角交換 四間飛車」の基礎が学べる
「角交換 振り飛車」と聞いて最初に浮かぶのが上図の四間飛車じゃないでしょうか。
まずはこの「角交換 四間飛車」を通して
「角交換 振り飛車の基本となる手順」
を一通り学べるので
・序盤の駒組み
・それぞれの手の意味
がよく分かっていない級位者には必須となる知識が手に入ります。
ポイントを抑えながらオススメの手を示してくれる分かりやすい解説になっていて、基礎を学ぶなら最適な内容になっています。
この章を読んでからもう少し深堀りした定跡書に進むと理解も深まると思いますよ。
「ダイレクト向かい飛車」で課題となる▲6五角への対応が学べる
「角交換 振り飛車」として次にメジャーなのが上図の「ダイレクト向かい飛車」ですよね。
名前の通り、序盤早々 角交換から向かい飛車に振る戦法ですが、ここで気になるのが▲6五角(下図)の一手です。
この角成りを狙う手への対策が分からなければこの戦法を指すことができませんから。
ダイレクト向かい飛車をやってみたいけど
「▲6五角 への指し方が分からないから怖くて指せない・・・」
と敬遠している方もいるんじゃないでしょうか。
でも大丈夫。
この本では、この▲6五角 に対する基本手順が一通り解説されていますから。
ここで序盤の基礎を学べば安心してダイレクト向かい飛車を指すことができるようになりますよ。
▲6五角 さえクリアすれば最初に学んだ「角交換 四間飛車」と合流する感じになるので、しっかり角打ちへの対策を学んで楽しめるようになりましょう。
「角交換型 先手中飛車」の基礎手順
角道を通したまま戦う「ゴキゲン中飛車」もメジャーな「角交換 振り飛車」の1つですが、この本では上図のように後手が△5四歩 と受けてきた形での中飛車を解説しています。
上図から▲2二角成 として「角交換 中飛車」が始まります。
この本では、後手が飛車先の歩交換をしてきた時(下図)の指し方や・・・
「角交換 中飛車」を指す上で気をつけなければいけない反撃手順について解説されています。
これらの知識があれば「角交換 中飛車」の指し方が変わってくると思うので、基本から知らないなら読む価値がありますね。
筋が良い中飛車を指したいなら必読です。
「角交換 浮き飛車」の指し方
後半は飛車が4段目に浮いて石田流のように組む形が解説されています。その本編に入る前に、まずは飛車先の歩交換をされた時の対応手順から始まります。
・序盤早々に仕掛けられた場合(下図)
・玉を囲ってから仕掛けられた場合(下図)
これら2パターンの仕掛けに対応できるようになると「角交換 振り飛車」を指す時の怖さが軽減されますね。
飛車先の歩交換は常に課題になる変化なので、ここでしっかり対策を覚えましょう。
この基本を抑えたら浮き飛車を目指す
・4→3戦法
・立石流
・ダイレクト三間飛車
の解説に進みます。
それぞれサラッと紹介しますね。
4→3戦法
後手番でも石田流を目指す上図の「4→3戦法」は、石田流好きな人には最適な戦法だと思います。
序盤の基礎の基礎にサラッと触れているだけなので、本格的に指すなら他の定跡書も併せて読むといいですね。
個人的なオススメは「久保の石田流」です。
「久保の石田流」のレビューも書いたので、興味がある方は下記リンクの記事もどうぞ。
立石流
「立石流」は、▲2五歩 に△3三角 と上がるのを忘れたことから始まった戦法だそうです。
上図のように飛車先の歩交換を簡単に許してもらえると油断しそうですが、ここから振り飛車らしい指し回しで面白い展開に持ち込めます。
個人的に収穫があったのは「立石流」に対する居飛車側の指し方が学べたことですね。
ずっと苦手にしていた「立石流」にどう指せばいいのか分からなかった長年の悩みがちょっと解消されましたから。
居飛車党の方で「立石流」への対策がイマイチない方はちょっと読んでみるといいかもしれません。
ダイレクト三間飛車
現代らしいハメ手風な「ダイレクト三間飛車」ですが、これはこれでアリな指し方だそうです。
この本では序盤の課題となる▲6五角(下図)への対策を解説しています。
この角打ちさえ乗り越えれば、あとはここまでに学んだ展開と合流するので充分な内容ですね。
最後に
これから「角交換 振り飛車」を学ぼうと思っている級位者にとって「これだけで勝てる 角交換振り飛車のコツ」
は最適な入門書としてオススメできます。
抑えておくべき序盤の基礎を一通り学べるので充分な内容ですから。
角交換をした将棋で気をつけなければいけない
「一手のミスで敗勢になる序盤の落とし穴」
に落ちないための基本を学べば「知識不足による自滅」の確率は下がりますよ。
この本で一通り広く浅く角交換振り飛車の序盤を学び、興味のある戦法の定跡書に進めば理解もしやすくなると思います。
「まずはサラッと基本だけでも・・・」
という方はこの本から手に取ってみてはいかがでしょうか。