30代職歴なし、とうとう性に合った戦法を見つけたかもしれないニートです、こんにちは。
「押さえ込みを主体とした居飛車党」なのに「振り飛車のさばき」が好き
という噛み合わない将棋感覚を持ったまま将棋を続けること20数年・・・
ここ最近は
と割り切って
など、憧れの三間飛車を中心に練習していました。
そんな中、
をキッカケに
左辺は軽く流して右辺の厚みで勝負する▲5七銀型三間飛車(下図)
を指すようになったら
「居飛車っぽい厚み」と「振り飛車らしい軽いさばき」が楽しめる性に合った戦法かも・・・
と、かなりシックリくる形を見つけた気がしたんですが・・・
AIで検討するたびに
相手が正しく指すと序盤はやや劣勢をキープするのが精一杯な感じ
な基本的に評価値負けする展開にちょっとモヤモヤ・・・
ごくごく稀にAIが見落としてる一手もあったりするから
AIの評価値が絶対ってわけでもない
とは思いつつも、それを看破する手が浮かぶわけでもないアマ低段では
いずれ消えゆく戦法で悪あがきしてる
みたいな先の見えなさは否定できません。
最善を尽くし合ったら負けるのは悲しいしね・・・
とは言っても、将棋は趣味でやってるわけだし、完璧に指せる人間がいるわけでもないんだから
「AIレベルでは微妙だとしても指してて楽しい方が大事だよね」
と思わなくもありません。
ただ、心のどこかで
AI的にも評価が悪くなく・・・
序盤でわずかに有利に立てて・・・
そのまま藤井曲線みたいな勝ち方ができる振り飛車っぽい戦法はないかなぁ・・・
みたいな理想を追い求める感じもありました。
「そんな都合のいい戦法あるわけないか・・・」
と諦めつつも、記憶の片隅に理想を置きながらボンヤリ過ごしていたのが現状ですね。
そんなある日、暇つぶしに
「棋界に伝わる二つの秘宝 雁木・右玉伝説」
を読み返していたら
「あれ? この右玉の指し方って▲5七銀型三間飛車っぽくね?」
と思ったんです。
それでちょっと実戦で試してみたら
左辺を軽く流す感じが振り飛車っぽい・・・
玉頭での攻防に「真部流」っぽさもある・・・
基本は居飛車だからか序盤の評価値も悪くない・・・
という追い求めていたものを掴んだ感じ・・・
ついに理想の戦法を見つけちまった!
ずっと前から存在を知っていたけど、やられた時の苦手意識しかなかった
「右玉」
こそが私の理想とする戦法だったんです。
冷静に指し方を見たら
変則的な振り飛車
と捉えることもできたのは三間飛車を練習してきた成果かもしれません。
「正面からぶつかる相居飛車の将棋と違う玉の遠さが心地いい」
と感じるのは振り飛車ならではの感覚に慣れた影響でしょうか・・・
玉頭からの反発も
「玉が薄くなるし不安定になるから指しこなせない」
としか思えなかったのに、今見るとそうでもないのは感覚が変わったからかもしれませんね。
これからは三間飛車で培った感覚を右玉で活かせそうです。
長い前置きになりましたが、こんな感じで最近は「右玉」ブームが起こり
という理想を叶える手掛かりを掴んだからか、20年以上抱えていたモヤモヤが解消されつつあります。
そんなキッカケになった快勝譜を紹介するので、まだお時間がある方はごゆっくりお楽しみください。
「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に「右玉」で挑んだ時の快勝譜
先手が「私」、後手が「郷谷さん(上級-)」です。上図は、先手が雁木模様から「右玉」に組み、後手が「左美濃・腰掛け銀」に組んだ所です。
ここから後手が仕掛けてきました。
上図以下、△6五歩(下図)
後手の角道が止まっているので一歩交換をするつもりの一手でしょうか・・・
ここから
「左辺を軽く流す方針」と「玉頭からの反発」
を覚えた今だからこその手順で優勢を築きます。
上図以下、▲6五同歩 △同銀(下図)
昔ならここで▲6六歩 と無難に収めていましたが・・・
上図以下、▲2四歩(下図)
左辺を受けずに▲2四歩 と突いたのが成長した一手です。
上図以下、△2四同歩 ▲2五歩(下図)
右玉で一歩を手にした時はこの「継ぎ歩」が狙い筋になります。
上図以下、△8六歩(下図)
すんなり△2五同歩 ▲同桂 を食らうと厳しいので後手も負けじと反撃してきました。
本譜は角を犠牲に銀を手にする予定だったので平凡な手順を選びましたが、△8六歩 には▲5五角 と軽くかわしておく方が良かったようです。
上図以下、▲8六同歩 △6六歩(下図)
左辺を軽く流す方針を知らない頃なら
「やっちまった・・・」
となる△6六歩 も今ならありがたい手に見えます。
上図以下、▲6六同銀 △7六銀 ▲2四歩(下図)
▲6六同銀 と歩を取って銀交換を誘うのが右玉ならではの一手です。
それを避けた△7六銀 の角取りには▲2四歩 と取り込めば拠点が大きく先手ペースです。
銀を渡すと▲2三銀 があるので後手は銀を渡せません。
上図以下、△6五歩(下図)
受けに利いてる銀の進退を問う歩打ちには・・・
上図以下、▲5七銀(下図)
素直に引いて玉を固めるのが安全です。
上図以下、△7七銀不成 ▲同桂 △2三歩(下図)
狙い通り角・銀交換になり、△2三歩 と銀の打ち込みを受けられた所からは居飛車らしい攻めで攻略します。
歩を使って手を繋ぐ

先手の飛車は急所を睨み、後手の飛車は攻めに使えていない、という右玉の理想形になっています。
あとは上手く玉頭を攻めれば優勢に持っていけますね。
上図以下、▲2三同歩成 △同銀 ▲3五歩(下図)
▲2三同歩成 の後は▲2四歩 と直接叩く方が最善と示されましたが、本譜の▲3五歩 も悪くありません。
△3五同歩 なら▲3四歩 △5一角 ▲2六銀(下図)から厚く押す展開になりますし・・・
かと言って△2四歩(下図)と飛車筋を止めても・・・
上図以下、▲3四歩 △同銀 ▲3五歩(下図)
と進めれば後手は応手に困ります。
以下、△3五同銀 なら▲3六歩 で銀が死にますし・・・
△2三銀 と引けば▲3四銀 と露骨に打ち込まれてしまいますから。
本譜は△5一角(下図)と引きましたが・・・
上図以下、▲3四歩 △2四歩 ▲3五銀(下図)
玉頭に攻めの拠点を作って先手優勢になりました。
色々と厳しい手が満載だった

ここからも歩を使った攻めが炸裂します。
上図以下、△8六飛 ▲8七歩 △8一飛 ▲2五歩(下図)
8筋を無難に受けてから▲2五歩 と合わせるのが安全に勝つ手順です。
上図以下、△2五同歩 ▲同桂(下図)
△2五同歩 には▲2四歩 と叩く手が推奨されていましたが、ちょっと複雑になるので単純な▲2五同桂 の方が分かりやすいと思います。
上図以下、△2八歩 ▲同飛 △2四歩 ▲3三桂成(下図)
シンプルに桂交換にいき・・・
上図以下、△3三同桂 ▲同歩成 △同角 ▲3四歩(下図)
再度▲3四歩 と拠点を作れば攻めが続きますから。
上図以下、△5一角 ▲1五桂(下図)
守備駒を1枚ずつ剥がす▲1五桂 が単純ながら有効です。
△1四銀 のようにかわすと▲2四銀 と出る手が厳しいので・・・
上図以下、△3二金 ▲2三桂成 △同金(下図)
△3二金 と受けてきましたが、銀を入手すれば攻めに迫力が増した先手勝勢です。
ここでまたしても▲2五歩 と合わせるのが好手で、以下、△同歩 ▲2四歩(下図)と進めていれば・・・
どう対処しても味が悪く、安い駒で成果を上げるスマートな寄せになっていたようです。
本譜は▲2五歩 ではなく▲3三銀(下図)と直接打ち込み・・・
上図以下、△3三同角 ▲同歩成 △同金 ▲3四歩(下図)
単純な清算から▲3四歩 と拠点を作る攻めで寄せていきました。
上図以下、△4三金寄 ▲2四銀(下図)
ようやく銀が急所に進出できて明確に勝勢です。
気持ちいい一手 と 飛車を取る寄せ

ここから数手後に気持ちいい一手が出ます。
上図以下、△2六歩 ▲同飛 △3二歩(下図)
3筋を受けた△3二歩 ですが、これは受けになってませんでした。
上図以下、▲3三銀成(下図)
この開き両王手で後手玉は寄っています。
上図以下、△3一玉 ▲2二飛成 △4一玉(下図)
先ほどの△3二歩 が受けになってないのが分かりますね。
上図以下、▲3二竜 △5一玉 ▲4三成銀(下図)
詰めろで金を取った所で郷谷さんの投了となりました。
以下、△4二銀(下図)と受けるくらいですが・・・
上図以下、▲5二成銀 △同玉 ▲7二角(下図)
金を取って▲7二角 と挟撃体制を築けば寄りです。
ちなみに、△4一玉(下図)の局面では▲3二竜 ではなく・・・
上図以下、▲3二成銀 △5一玉 ▲1一竜(下図)
と迫り、△6二玉 に▲8一竜(下図)と飛車を取ってしまう方が明快でした。
攻め手まで奪ってしまう鬼の手順ですね。
いつも通り寄せはヌルイ面もありましたが、左辺で角銀交換をしながら玉頭に拠点を作った所は成長したと思います。
上手くいった時の楽しさがヤバイので、しばらくは右玉ブームが続きそうです。
最後に
振り飛車が好きな居飛車党の私が理想とする
を体現するのにピッタリな「右玉」の指し方を覚えて楽しくなった話をダラダラ書いてみました。
相居飛車の将棋なのに
左辺を軽く流して右辺で成果を上げる
という三間飛車っぽい勝ちパターンに持ち込めるのは最高ですね。
評価値がちゃんと優勢になっている点も心強いですし、曖昧だった相居飛車の将棋での方針がようやく定まりそうです。
もう少しの間は「郷谷さん(上級-)」と練習して、慣れてきたら「ぴよ将棋」の高段にもやってみようと思います。