ここ最近、AIを中心とした将棋界隈で
「角換わりは先手必勝」
みたいなことが言われ出した模様・・・
とうとう1つの戦形に答えが出るほど研究が進んだみたいですね。
今後はこういう情報だけを知ったネット弁慶たちが
「角換わりで先手を持って負けるとかダセェ」
とか言い出すんでしょうか・・・
AIの発展と共に人間も成長せにゃならんのに・・・
中途半端に答えだけ知るってのは考えもんだよなぁ・・・
と近々起こりそうな心配をちょっとしつつ、角換わりで先手を持って負けた寝起きの将棋を書くのが今回の記事になります。
見所は、AIが示した意外な角打ち▲2六角 です。
ずっと三間飛車ばっかり練習してて角換わりの手順が頭からすっ飛んだ弱者の将棋をお楽しみください。
争点を作る銀上がり

上図は角換わり腰掛け銀に進み、お互いにバランス型の駒組みをした所です。
今、後手の郷谷さんが△3一玉 と矢倉への入城を目指した所ですが
「形によっては△3一玉 と下がるのは危ない」
みたいな情報を前に見たような気がします。
ただ、具体的な形や手順が知識になかったので過去の知識を頼りに穏やかな展開を目指しました。
上図以下、▲4五銀(下図)
この手は△4四歩 と突いて銀を追い返してもらい、4五に争点を作ろうとしています。
そうなれば定番の▲4五歩 △同歩 ▲同桂 の仕掛けが狙えますから。
しかし、そういった願いを察したのか郷谷さんは違う手で対応してきました。
上図以下、△5四歩(下図)
「角交換で5筋は突くな」
の格言に反しますが、さりげなくこちらの狙いを潰しにきた一手です。
というのも△4四歩 を突かなければ▲5六角(下図)から強引に攻め込もうと思っていたのに・・・
もし角を打ったらすかさず△5五歩(下図)と突く角殺しを狙っているからです。
「▲5六角 がダメならば・・・」
と6七から角を打つ準備に▲6六歩(下図)と突いた所で郷谷さんの疑問手が出ました。
上図以下、△5一飛(下図)
△5四歩 を立てる意味で一貫性がある飛車回りですが、ここで評価値は300点ほど先手に振れています。
意外な角打ち▲2六角

本譜は▲6七角 と打ち、単純に3四の地点を攻めたんですが、局後の検討ではここで違う角打ちが示されました。
上図以下、▲2六角(下図)
それが後手の6筋方面を睨む▲2六角 です。
他にも▲1七角 や・・・
▲2四歩 △同歩 の突き捨てを入れてから▲1七角 と打つ手なども示され・・・
ここは6二の金を狙って牽制するのが本筋だったようです。
指されてみると受けにくい角ですね。
上図以下、△5二金 ▲3五歩(下図)
金をかわすのが無難ですが、そこで▲3五歩 と突くのが鋭い一手です。
中途半端だった4五の銀の顔も立ち、急に攻めに勢いが出てきました。
上図以下、△3五同歩 ▲同角 △3四歩(下図)
局面を落ち着けようと△3四歩 と受けた手には・・・
上図以下、▲2四歩(下図)
棒銀のように角をさばく▲2四歩 が好手で先手ペースになります。
上図以下、△2四同歩 ▲同角(下図)
ここで△2八歩 ▲同飛 △3九角 と反発しようにも、△2八歩 の瞬間に▲3三角成 と切り込んだ手が飛車に当たるのが痛く、後手が技を掛けるのが難しいです。
上図以下、△2四同銀 ▲同飛 △2三歩 ▲2九飛(下図)
素直に角銀交換をするのが無難ですが、上図まで進むと
・次に▲3四銀 と出る手が厳しい
・3筋に歩が利くから桂跳ねも受けにくい
・持ち駒の角が受けに使いにくい
・後手から反撃しようにも手が乏しい
などの条件が重なって先手優勢になっています。
まさか△5一飛 への決定打になる一手があったとは・・・
3筋方面ばかり見ていて全く浮かばなかった▲2六角 が知れてよかったです。
すぐにリベンジマッチにいかず、悔しさに耐えながら検討するのは大切ですね。
最後に

上図のように角換わり腰掛け銀のバランス型に組んだ時・・・
郷谷さんが△5四歩 ~ △5一飛(下図)と指すのをたまに見ますが・・・
もし今回のように4筋の歩が低く、6二の金を狙える時は▲2六角(下図)と2筋方面から牽制するのは有力です。
成立しそうな時は狙ってみてください。