今回は「ぴよ将棋」の
Lv35 ひよよ(五段+)
に挑み
でギリギリ勝った(本当は負けてた)一局を紹介します。
見所は
・トマホークの基本的な狙い筋
・勝ちを決めるApery推奨の寄せ手順
・実は負けていた長手数の詰み
の3つです。
実戦ならではの二転三転する将棋をお楽しみください。
ぴよ将棋にトマホークをやると指してくる疑問手
先手が「私」、後手が「ひよよ(五段+)」です。上図は、先手の三間飛車に対し、後手が堂々と穴熊に潜った所です。
ぴよ将棋の高段は持久戦が好きなのかこの局面によくなります。
このまますんなり穴熊に組まれてはダメなので攻勢に出る必要があり、今回のように△5四歩 を突いていない形なら「トマホーク」を狙うのが定番の手順になります。
上図以下、▲5六銀(下図)
▲5六銀 から角頭の歩を狙うのがトマホークのスタートです。
上図以下、△5二金右 ▲5八金左 △2二銀(下図)
後の▲2五桂 に△2二角 と引かれるのが嫌なので▲5八金左 と待ち、△2二銀 を見てから仕掛けます。
上図以下、▲4五銀 △8四飛 ▲1七桂(下図)
この▲1七桂 が次の▲2五桂 から早い端攻めを狙うトマホークならではの一手です。
ぴよ将棋は▲1七桂 に対し疑問手を指してくる傾向があるので、現状では1つの攻略法としてトマホークが有効になります。
上図以下、△4二角(下図)
▲2五桂 を先受けした△4二角 がぴよ将棋がよく指してくる疑問手です。
三段くらいからこの手を指す傾向があるので、プログラム的にこの手を推すようにできているんでしょうか・・・
いずれ修正されるまではここからの攻め筋を覚えておくと勝ち星を稼げるかもしれません。
「三間飛車トマホーク」の狙い筋
▲2五桂 を先受けされましたが、かまわずいくのがオススメです。
上図以下、▲2五桂 △2四歩 ▲1三桂成(下図)
シンプルに桂を飛ぶと△2四歩 の桂取りで攻めを催促してくる傾向があります。
これには▲1三桂成 と突っ込み、トマホークならではの端攻めをすればOKです。
上図以下、△1三同銀 ▲6五歩(下図)
▲1三桂成 は△同銀 と取ってくるので▲6五歩 と角道を通し、王手をしながら攻め駒を足します。
上図以下、△2二銀 ▲1四歩(下図)
△2二銀 と引いて王手を受けられると攻めが空ぶったように見えますが、▲1四歩 から攻めが続きます。
ここが後手の分岐点で
・△3三桂
・△3三桂打
の2つがよく指される一手になります。
単に角筋を受ける△3三桂 は薄く、△3三桂打 はちょっとしぶとい感じですね。
本局は△3三桂(下図)と単に桂を跳ねる手で受けてきました。
この手には▲6六角 と飛車を牽制してから攻める手がAperyの推奨手でしたが、本譜の攻め筋でも大丈夫です。
上図以下、▲1三歩成(下図)
シンプルに薄くなった端から攻め込みます。
後手としては△4五桂 と銀を取りたいんですが、そうすると先手の角筋が通ってしまい玉が危なくなるのでなかなか銀を取ることができません。
その穴を突いて攻めていきます。
上図以下、△1三同香 ▲同香成 △同銀 ▲6六角(下図)
端を清算してから▲6六角 と飛車を狙い、左辺も絡めて手を作るのがトマホークならではの攻め筋です。
上図以下、△9四飛 ▲9六歩 △2一玉(下図)
△4五桂 と銀を取るために△2一玉 と角筋を避けましたが、ここは△1二玉 などもあり難しいです。
ただ、いずれも飛車を追いながら手を作れば攻めが続くので先手ペースになります。
上図以下、▲9五歩 △7四飛 ▲7五歩 △8四飛(下図)
上図以下、▲7四歩(下図)
この手には飛車交換を狙う以外にも
「後手の飛車の横利きを止める」
という意味もあります。
狙いは▲3四銀 と急所に銀を進ませることです。
ここでの最善手は△4五桂 と銀を取る手なんですが、ぴよ将棋は素直に飛車交換に応じることが多いです。
上図以下、△7四同飛 ▲同飛 △同歩 ▲3四銀(下図)
▲3四銀 と狙い通りの攻めが決まって先手ペースになりました。
端攻めを開始した▲1三桂成 から▲3四銀 までの流れがトマホークで狙う基本的な攻め筋になります。
ここまでくれば先手ペースになっているので、あとは後手の変化に応じて正しく指せれば勝てます。
ただ、寄せがけっこう難しく一筋縄ではいきません。
本譜も手順をミスってグダりましたが、Aperyで検討した寄せ手順を紹介するので寄せ方の一例として参考にしてください。
Apery推奨の寄せ
銀が急所に入って攻めが続く形になった上図。
ここから△3二金(下図)と受けてくるのが定番の一手になります。
この手にはAperyが推奨する次の一手がオススメです。
上図以下、▲1四歩(下図)
まずは銀を叩いて応手を聞きます。
△1四同銀 と歩を取った場合は、▲1三飛(下図)と打つのが厳しいです。
銀取りと3三への殺到を見て攻めが筋に入っています。
上図以下、△1二飛 ▲3三飛成 △4四桂 ▲3五香(下図)
△1二飛 から最善を尽くした受けをしても▲3五香 と3筋を狙えば寄り筋です。
なので▲1四歩 には△2二銀(下図)と引くのが最善になります。
これには慌てず攻めるのが大切です。
上図以下、▲4一飛 △3一香 ▲8一飛成 △1九飛(下図)
まずは▲4一飛 から▲8一飛成 と玉を狭めながら桂を補充します。
後手も急所の歩を払いに△1九飛 と打って頑張ってきますが・・・
上図以下、▲3五桂 △1四飛成 ▲2三香(下図)
▲3五桂 と攻め駒を足し、▲2三香 と打ち込めば切らすのが難しい攻めになりますね。
上図以下、△2三同銀 ▲同銀不成 △同金 ▲1五歩(下図)
2三の地点でちょっと駒を交換し、金を取らずに▲1五歩 と竜を叩くのが上手い一手です。
タダで▲2三桂成 と金を取られるわけにはいかないのでこの歩は取れません。
上図以下、△1三竜 ▲2三桂成 △同竜 ▲1四金(下図)
拠点として残った1五の歩を利用して▲1四金 と打てば上から押さえる展開になって先手勝勢です。
どこに竜を逃げても▲2三銀 が厳しく評価値で言うと2000点くらい先手に振れています。
この寄せの手順は見事でしたね。
もしトマホークで似たような局面になったら、Apery推奨の寄せを参考に勝ち切ってください。
私が指したグダグダの寄せ
局面を戻し、ここからは実戦で私が指したグダグダの寄せを紹介します。攻略手順としては先ほどのAperyの寄せで終わっているので、興味のある方のみご覧ください。
上図は、▲3四銀 に対し、△3二金 と受けてきた所です。
ここで▲1四歩 と指していればキレイな寄せが狙えたんですが、私が指したのは違う一手でした。
上図以下、▲2三飛(下図)
ガツンと飛車を打ち込み、△同金 と取ってくれれば▲同銀成 で寄り筋になる一手です。
でも「五段+」がそんな誘いに乗るわけもなく・・・
上図以下、△2二銀 ▲3六香(下図)
シンプルに△2二銀 と受けられ、ここで踏み込めず▲3六香 と打ったのが悪手で評価値は後手に振れました。
ここは▲3六香 ではなく、思い切って▲2二同飛成 と切り・・・
・△同金 なら▲2三香
・△同玉 なら▲4一銀
と絡めば先手ペースだったようです。
実は▲2三飛 は悪い手ではなく、▲3六香 とヒヨったのが悪手だったみたいですね。
上図以下、△2三銀(下図)
こうやって飛車を取られると攻めが細くて負け模様です。
上図以下、▲3三銀成 △3四歩(下図)
3三の地点で清算できれば希望はあったんですが、△3四歩 が上手い受けで困りました。
上図以下、▲3四同香 △同銀 ▲同成銀 △6九飛(下図)
後手玉が遠のき、△6九飛 の反撃を許しました。
この角取りに当てながら打つ△6九飛 は定番の反撃で、こうなると負けパターンなのでやらかした感がありますね。
上図以下、▲4一銀 △6六飛成 ▲5二銀成 △3三香(下図)
角を見捨てて▲4一銀 から攻めましたが、後手玉が遠くて厳しいです。
上図以下、▲4二成銀 △3四香 ▲1三桂(下図)
どうにか攻め駒を残そうと▲1三桂 と絡み・・・
上図以下、△2二玉 ▲1一角(下図)
手筋っぽい▲1一角 でどうにか金から玉を引き剥がし・・・
上図以下、△同玉 ▲3二成銀(下図)
玉を隅に追いやってどうにか寄り形っぽくなりましたが、さすがに駒を渡しすぎたようでここで先手玉が詰んでいました。
実戦詰将棋として出題するのでお時間のある方は解いてみてください。
手数が長く変化が多いので解説は一例になりますが、答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
上図以下、△3七香成(下図)この王手で詰んでいました。
▲3七同玉 は△2五桂 ~ △3七角 と3七の地点で清算して△3六銀 と打てば詰みます。
▲3七同銀(下図)の方が難しいのでこちらを解説します。
上図以下、△3六桂(下図)
この桂打ちが好手で詰み筋に入っています。
▲3八玉 と逃げると△2九角 ▲同玉 △1八角 という手順で難しいですが詰みます。
手数としては▲3六同銀(下図)と取った方が長いのでこちらを解説します。
上図以下、△3七銀 ▲同玉 △3六竜(下図)
玉を引きずり出す△3六竜 から詰みます。
上図以下、▲3六同玉 △2五銀(下図)
後手に金がないのでちょっとスカスカ感があって逃げきれそうですが、△2五銀 で捕まっています。
▲3五玉 には△3七飛 から・・・
▲4五玉 には△3四角 から・・・
▲4六玉 には△3六飛 から・・・
それぞれ詰みます。
なので▲3七玉(下図)と下に逃げるのが最善なんですが・・・
上図以下、△1九角 ▲2八金 △3六飛(下図)
と迫り・・・
上図以下、▲4八玉 △3七角(下図)
と角を打てば5九へ逃げることができず・・・
上図以下、▲3七同金 △同角成 ▲3九玉 △2八金(下図)
で詰みます。
変化も多くAperyでも少し読ませなければ見つからなかった詰み筋なので難問でしたね。
逆転勝ちした実戦譜
局面を戻します。上図は、△3七香成 から詰みが生じている局面です。
実戦はここで△1二玉(下図)と受けに回り、詰みには気付いていなかったので救われました。
上図以下、▲3三成銀 △3七香成 ▲同銀 △1八飛(下図)
1手遅れて△3七香成 がきましたが、▲3三成銀 と引いた効果でギリギリ詰んでないみたいです。
上図以下、▲3八歩 △1三玉 ▲1五歩 △同飛成 ▲2六金(下図)
後手玉の上部脱出だけはさせまいと▲2六金 と打ちましたが、これは悪手だったようでここが最後の分かれ目でした。
もし△2六同竜上 とされていたら△同歩 と取る予定だったので、それだと△5六桂(下図)から長手数の詰みがあって負けていましたから。
▲3九玉 には△1七角 から詰みがあり・・・
▲5六同歩 には△5七銀 ▲同金 △同竜 ▲同玉 △7九角 から詰みがあります。
変化が多くて難しく、さっきの長手数の詰め将棋でお腹一杯だと思うので、あまり考えず流してください。
実戦は△2六同竜上 ではなく△1四銀(下図)と打ってきたので・・・
上図以下、▲1五金 △3六桂 ▲同銀 △5六桂 ▲同歩 △5七角(下図)
▲1五金 と竜を取って先手勝ちになりました。
△3六桂 から王手ラッシュを掛けてきてもちょっと足りないみたいです。
上図以下、▲5七同金 △同竜 ▲同玉 △7九角 ▲6八桂(下図)
▲6八桂 までくればさすがに大丈夫ですね。
あと数手王手ラッシュを食らって「ひよよ」の投了となりました。
投了図は下図です。
以下、△1五銀 と銀を取るくらいですが、▲2三金 △1四玉 ▲1三飛 と豊富な駒をベタベタ打てば詰みですね。
最後に
実は負けていたけど長手数の詰みを逃してもらって勝った一局でした。最後はグダグダでしたがトマホークの攻め筋はけっこう使えるのでお試しください。
▲1三桂成(下図)の端攻めから始まり・・・
▲3四銀(下図)と急所に銀を進めるまでの手順は覚えておくと役立つと思います。
高段の攻略に苦戦してるならトマホークは有効なので1度やってみると勝てるかもしれませんよ。