今回は「ぴよ将棋w」の
Lv7 ひよ奈(11級)
に「棒銀」で挑み、55手で勝った一局を紹介します。
見所は
・棒銀を受けミスした時の攻め筋
・詰みを狙う手筋の角打ち
の2つです。
シンプルな棒銀で11級を攻略した将棋をお楽しみください。
序盤の基本的な駒組み
先手が「私」、後手が「ひよ奈(11級)」です。初手から、▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △3二金(下図)
相掛かり模様に進めたら早めに△3二金 と受けてきました。
今回はシンプルな棒銀を狙う予定だったので一歩交換から攻めの形を作ります。
上図以下、▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2八飛(下図)
▲2四歩 の歩交換から▲2八飛 と深く引くのがポイントですね。
ここから右銀を繰り出して棒銀を狙います。
上図以下、△3四歩 ▲3八銀 △8五歩 ▲7八金(下図)
攻めを急ぎたい所ですが、△8五歩 には▲7八金 と角頭を守るのが大切です。
もし▲7八金 を指さず▲2七銀(下図)としてしまうと・・・
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同飛(下図)
と飛車先の歩を交換されて受けが難しくなります。
次に△8七歩 と角取りに打たれると終わりなので▲7六歩(下図)と角の逃げ道を開けるくらいですが・・・
上図以下、△8七飛成(下図)
と竜を作られて先手が面白くありません。
たった一手 受けを疎かにしただけで形勢を損ねるので、相居飛車の将棋では▲7八金 と角頭を受けるのが地味ながら大切な手になりますね。
銀を繰り出して攻めの形を作る
局面を戻します。上図は、△8五歩 に対し▲7八金 と角頭を受けた所です。
ここから先ほどのように一歩交換にきますが・・・
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩(下図)
▲7八金 と受けた効果で▲8七歩 から飛車を追い返せます。
上図以下、△8二飛 ▲2七銀 △4二銀 ▲3六銀(下図)
後手の仕掛けを受けたら▲2七銀 ~ ▲3六銀 と素早く銀を繰り出して攻めの形を作ります。
このスピード感が棒銀の売りですね。
上図以下、△4四歩 ▲2五銀(下図)
序盤に飛車先の歩を交換したおかげでスムーズに▲2五銀 と出ることができました。
ここまでくれば棒銀が成功しています。
受けを放置した時の攻め筋
順調に銀が攻めに活用できた上図。
ここから後手が受けをミスして先手勝勢になります。
上図以下、△3三銀 ▲2四歩(下図)
▲3四銀 と出られてはダメな後手は△3三銀 と受けますが、▲2四歩 と打つのが攻めを継続する一手です。
ここでシンプルに△2四同歩(下図)と取り・・・
上図以下、▲2四同銀 △同銀 ▲同飛(下図)
と銀の交換をして・・・
上図以下、△2三歩 ▲2八飛(下図)
と収めれば互角の形勢でこれからの将棋だったんですが、△2四同歩 ではなく△3一角(下図)と引いたので先手の攻めが強烈に刺さる局面になりました。
上図以下、▲2三歩成 △同金(下図)
▲2三歩成 と歩を成り捨て、△同金 と取った上図で
・▲2四歩
・▲1四銀
という2つの有力な攻め筋があります。
実戦は▲1四銀 と指したんですが、ここは局後の検討でAperyが推奨した▲2四歩(下図)の方が明快でした。
もし△2四同銀 のように取ってくれば▲同銀 と取って2筋は崩壊するので△2二金(下図)と引くくらいですが・・・
上図以下、▲3六銀(下図)
冷静に▲3六銀 と引いて、次の▲2三歩成 を狙えば受けが難しく先手優勢でした。
▲3六銀 は、銀を前に出ることばかり考えていると浮かばない銀引きですよね。
他の場面でも応用が利きそうな参考になる攻め筋だと思うので
「銀を引く発想」
も視野に入れると意外な手が見つかるかもしれませんよ。
棒銀らしい銀捨ての▲1四銀 の進行
局面を戻します。上図は、▲2三歩成 を△同金 と取った所です。
ここで▲2四歩 ~ ▲3六銀 とする方が明快でしたが、本譜の一手も棒銀らしい悪くない一手でした。
上図以下、▲1四銀(下図)
豪快に銀を捨てて攻めを継続する強手です。
△1四同歩 なら▲2三飛成 と金を取れますし・・・
△1四同金 なら▲2一飛成 と飛車を成り込んで先手優勢です。
これらの変化はダメと判断したのか違う手で対応してきました。
上図以下、△2七歩(下図)
飛車を吊り上げてどうにかしようとする一手ですね。
上図以下、▲2七同飛 △2六歩 ▲同飛 △2四金(下図)
2六まで飛車を吊り上げ、△2四金 とかわすのがドキッとする手順でした。
もう一歩あればヤッカイな受けだった所、その一歩がないのでどうにかなります。
上図以下、▲2三銀成 △3五金(下図)
かまわず▲2三銀成 と入り、△3五金 と飛車取りに当てて逃げる手には・・・
上図以下、▲2八飛(下図)
冷静に▲2八飛 と引けば大丈夫です。
一歩あれば△2六歩 などで受かるんですが、惜しくもその一歩がないので先手の攻めを止められません。
上図以下、△7二飛 ▲3三成銀(下図)
手がないとはいえ、玉の退路を塞いでしまう△7二飛 という明確な悪手を指してきたのは致命傷でした。
▲3三成銀 から寄せに入ります。
寄せの手順
ここから寄せにいきます。
上図以下、△3三同桂 ▲2一飛成 △2二銀(下図)
△2二銀 と竜を閉じ込めにきましたが・・・
上図以下、▲2三歩(下図)
シンプルに▲2三歩 と銀を叩けば攻めが続くので問題ありません。
上図以下、△5二飛 ▲2二歩成 △同飛(下図)
飛車をぶつける最後のお願い的な一手には・・・
上図以下、▲3一竜(下図)
浮いた角を取りつつ王手飛車取りになる▲3一竜 で勝負ありです。
上図以下、△6二玉 ▲2二竜 △5二金 ▲4三銀(下図)
飛車も取って▲4三銀 と打てば完了ですね。
投了もありえる所、11級ということで△7二玉(下図)と逃げ、詰みまで粘る手を指してきました。
△8三玉 と逃がすと長引きそうですが、ここで手筋の一手が刺さる気持ちいい詰みがあります。
最後に実戦詰将棋として出題するので、お時間がある方は解いてみてください。
答えは数行下の次の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。上図以下、▲6一角(下図)
この角打ちが△8三玉 と上部へ逃がさない手筋の一手です。
△8二玉 と逃げれば▲8三銀 の詰みなので△6一同玉(下図)と取るしかありませんが・・・
上図以下、▲5二竜(下図)
竜で王手すれば逃げ場所がなく詰みです。
ここで「ひよ奈」の投了となりました。
大駒を大きく使った爽快な詰み手順でしたね。
最後に
11級くらいだとシンプルな棒銀を受け間違えることがけっこうあります。一冊、基本的な棒銀の本を読み、しっかり手順を覚えれば勝ち切れると思いますよ。
10級以下のひよこを攻めの基本となる棒銀の練習相手として活用するといいかもしれませんね。