今回は「ぴよ将棋w」の
Lv3 ひよ春(14級)
に55手で勝った「居飛車急戦 vs 三間飛車」の一局を紹介します。
見所は
・大差になった時の攻め方
・使える手順の実戦詰将棋
の2つです。
14級らしいミスをとがめて勝った一例としてお楽しみください。
急戦の駒組み
先手が「私」、後手が「ひよ春(14級)」です。初手から、▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角(下図)
まずは飛車先を伸ばし、それを△3三角 と受ける普通のスタートで始まりました。
上図以下、▲4八銀 △3二飛(下図)
▲4八銀 から「角道を開けない早繰り銀」をやろうとしたら珍しく△3二飛 と振ってきたので方針を変えます。
上図以下、▲7六歩 △4四歩 ▲6八玉 △4二銀(下図)
振り飛車 相手に攻め急ぐとけっこう危ないので、▲7六歩 から普通の定跡形に進めることにしました。
まずは玉を囲って陣形を整えます。
上図以下、▲7八玉 △6二玉 ▲5六歩 △7二玉(下図)
お互いに玉を囲う定番の駒組みですね。
上図以下、▲5八金右 △1二香 ▲6八銀 △6二銀(下図)
こちらは▲5八金右 で舟囲いを完成させ、▲6八銀 から急戦策を取ります。
後手は△1二香 で角筋を避け、△6二銀 の早囲いにしてきました。
個人的に後手の手順はあまり経験のない駒組みです。
上図以下、▲3六歩 △9二香 ▲5七銀左 △6四歩(下図)
▲3六歩 ~ ▲5七銀左 まで進めば急戦の準備が整ってきましたね。
△9二香 ~ △6四歩 はちょっと玉が薄くなる感じで疑問ですが、油断せず進めます。
上図以下、▲1六歩 △9四歩 ▲9六歩 △7一金(下図)
▲1六歩 が「居飛車の税金」とも言われる一手で、後に△1五角 と出る筋を防ぐ大切な一手です。
攻めの目標である角に△1五角 と逃げられたりすると損なことが多いので、仕掛ける前に突いておくクセをつけるといいですね。
後手の△7一金 は「elmo囲い」の応用でしょうか・・・
けっこう囲いが引き締まっているので悪くない形ですね。
そろそろ仕掛け時ですが、2手後にひよ春のミスが出ていきなり居飛車優勢になります。
悪手の△1一角

上図以下、▲6八金上 △1一角(下図)
▲6八金上 と陣形を引き締め、次に▲4六銀 ~ ▲3五歩 と攻めようとしたら△1一角 と引いてきました。
これは守りの要の角を無力にする悪手なので、ありがたく攻め込んで居飛車優勢です。
上図以下、▲2四歩(下図)
角がいなくなったので2筋の突破を狙う▲2四歩 が刺さります。
居飛車の攻めは
「いかに角を2筋の受けに効かない形にして▲2四歩 を狙うか」
が課題なので、△1一角 は居飛車を助けるお手伝いとしか言えない一手でした。
ここで△2四同歩 ▲同飛 △2二飛(下図)と飛車をぶつけるのが振り飛車らしい手順ですが・・・
上図以下、▲2二同飛成 △同角 ▲2八飛(下図)
と飛車交換から自陣飛車を打てば居飛車有利な展開です。
▲2八飛 では▲2三飛 から竜を作る手も有効ですね。
上図以下、△3二金 ▲2四歩 △4三飛(下図)
▲2四歩 の垂れ歩を受けるなら△4三飛 と打つしかありませんが、こうなると後手が窮屈で先手ペースです。
▲2四歩 を無視する本譜の進行
局面を戻します。上図は、▲2四歩 で2筋突破を狙った所です。
△2四同歩 と取るしかない所、14級ということもあり致命的な悪手を指して先手勝勢になります。
上図以下、△3一銀 ▲2三歩成(下図)
△3一銀 と2筋を放置したので▲2三歩成 と急所に「と金」を作って絶好調です。
上図以下、△5二飛 ▲2二歩(下図)
焦らずに▲2二歩 からじっくり攻めます。
もし△2二同角(同銀)なら▲1二と と香車を取ってジワジワ「と金」で迫る予定でした。
上図以下、△4五歩 ▲1二と(下図)
△4五歩 は先手の角を急所に通してしまう悪手です。
冷静に▲1二と から角を狙って明確に先手勝勢ですね。
上図以下、△2二飛 ▲同と △同角(下図)
後手は△2二飛 から「と金」を処理しにきましたが・・・
上図以下、▲2二同角成 △同銀 ▲同飛成(下図)
先手の方が駒の利きが多いので▲2二同飛成 と竜を作って寄せが見えてきました。
寄せの手順

上図は、一方的に竜を作って寄せに入った所です。
ここから後手の受けを鬼のように潰していきいます。
上図以下、△3二角 ▲4四香(下図)
△3二角 と竜を止める手には▲4四香 で金を狙うのが早い攻めです。
上図以下、△6一金 ▲4一香成 △同角 ▲3一飛 △6三角(下図)
△6一金 が囲いを弱くする悪手で、▲3一飛 の角取りを逃げた△6三角 の所で詰みが生じていました。
実戦では逃したんですが、詰め将棋として出題するのでお時間のある方は解いてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。上図以下、▲6一飛成(下図)
ズバッと飛車を切って詰みます。
6三の角が受けに効いているので難しそうに見えますが・・・
上図以下、△6一同玉 ▲7二銀(下図)
▲7二銀 が「ハッ」とする捨て駒で詰み筋に入っています。
△5一玉 は▲4二金 で詰みなので
・△7二同角
・△7二同玉
の2つに分岐します。
それぞれ解説しますね。
△7二同角 と角で取った場合
△7二同角(下図)と取った場合は・・・上図以下、▲5二金 △7一玉 ▲6二金 △8二玉(下図)
▲5二金 から押していって詰みます。
上図以下、▲7一角 △9一玉 ▲8二金(下図)
▲7二金 △9三玉 ▲8二角・・・でも詰みますが、▲7一角 から上部脱出を阻止するのが分かりやすい詰みですね。
△7二同玉 と玉で取った場合
△7二同玉(下図)と取った場合は・・・上図以下、▲8二金(下図)
送りの手筋の▲8二金 で詰みます。
△6一玉 と逃げれば、▲7二角 △同角 ▲5二金 で詰むので取るしかありませんが・・・
上図以下、△8二同玉 ▲6二竜(下図)
▲6二竜 と銀を取れば詰みですね。
△9三玉 と逃げれば▲8二角 △8四玉 ▲7五金 で詰みなので△7二金(下図)と合駒するくらいですが・・・
上図以下、▲7一角 △9一玉 ▲8二銀(下図)
▲7一角 で上部脱出を阻止して▲8二銀 と打てばOKです。
以下、△8二同金 ▲同角成 で詰みですね。
この手順を読み切って詰ましていればカッコよかったんですが・・・
縛りの▲9一角
局面を戻します。上図は、▲3一飛 の角取りを△6三角 と逃げた所です。
ここで▲6一飛成 から詰みがあったんですが、私が指したのは▲9一角(下図)でした。
8筋への逃げ道を塞ぎつつ、▲8二金 の詰めろを掛けた一手ですね。
上図以下、△5四角 ▲6一飛成 △同玉 ▲5二金(下図)
後手は△5四角 と玉の逃げ道を開けましたが、角筋がそれたので▲6一竜 から▲5二金 の詰み筋が生じていました。
上図以下、△7二金 ▲6二金(下図)
これで詰み、ひよ春の投了となりました。
最後に
14級は普通に定跡形の駒組みをすると△1一角(下図)のような自滅をすることがあります。こういった手を悪手と気付ければ楽勝なので、基本の攻め筋を学ぶのが大切かもしれませんね。