今回は「ぴよ将棋w」の
Lv1 ひよこ(15級)
に後手番で挑み、52手で勝った「相掛かり」の一局を紹介します。
見所は
・相掛かりの序盤の基本
・突然の悪手をトガめる手順
・実戦詰将棋(5手詰め)
の3つです。
この記事が少しでも初心者の棋力アップに繋がれば嬉しいです。
相掛かりの序盤の基本
先手が「ひよこ(15級)」、後手が「私」です。初手から、▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩(下図)
お互いに飛車先の歩を伸ばし合う「相掛かり」のスタートになりました。
ここで▲7八金 と角頭を受けるのが普通ですが、
「もし▲2四歩(下図)といきなり仕掛けられたらどうするの?」
という疑問を持つ方もいると思うので、基本的な変化に触れておきます。
上図以下、△2四同歩 ▲同飛(下図)
先に攻めている先手ペースに見えますが・・・
上図以下、△8六歩(下図)
△8六歩 と突けば後手の攻めの方が早く後手有利になります。
ここで
・▲8六同歩
・▲2三歩
に分かれるのでそれぞれ解説しますね。
▲8六同歩 と歩を取った場合
まずは▲8六同歩(下図)と歩を取る変化から・・・上図以下、△8七歩(下図)
これには△8七歩 と打ち、先に角取りが確定した後手ペースになります。
上図以下、▲2三歩 △8八歩成 ▲同銀 △3五角(下図)
先手も負けじと角取りに▲2三歩 と打つくらいですが、先に取った角で△3五角 の飛車取りと角成りを狙えば後手有利です。
▲2三歩 と角取りに打った場合
先に仕掛けた利点を活かすなら▲2三歩(下図)と角取りに打つのが筋ですが・・・上図以下、△8七歩成 ▲2二歩成 △同銀(下図)
△8七歩成 から自然に対応すれば歩切れの先手が指しにくく後手ペースです。
後手は次に△8八と で角を取れるので駒損もなく、序盤早々に歩を損した先手が損な流れですね。
こういった手順で先手が損になるので「いきなりの▲2四歩 は成立しない」というのが定説です。
もしやられた時は上記の手順を参考に有利な序盤を勝ち取ってください。
飛車先の歩交換を保留する相掛かり
局面を戻します。ここで▲2四歩 の仕掛けは無理なので本譜は普通の駒組みになりました。
上図以下、▲7八金 △3二金 ▲3八銀(下図)
▲3八銀 はここ数年でメジャーになった飛車先の歩交換を保留する一手ですね。
従来通り▲2四歩 から一歩交換にいく手もなくはないんですが
・相手に手番を渡してしまう
・飛車の位置を決めてしまう
というデメリットがあるので、ギリギリまで保留する方が「色々な含み」や「相手を楽にさせない」といった意味があるみたいです。
上図以下、△7二銀(下図)
こういった理由から後手の私も△7二銀 で一歩交換を保留して様子を見ました。
上図以下、▲5八玉 △8六歩(下図)
先手が▲5八玉 の中住まいにしたのを見て一歩交換にいきます。
上図以下、▲8六同歩 △同飛 ▲8七歩 △8四飛(下図)
このタイミングで一歩交換したことに深い意味はありません。
なんとなく△8四飛 の浮き飛車で受けに回る方針に決めたので、それなら一歩持って形を決めても悪くないと思っただけです。
上図以下、▲3六歩 △3四歩 ▲2四歩(下図)
▲3六歩 には△3四歩 と突いて▲3五歩 と突き越されるのを避けました。
先手は△3四歩 で飛車の横利きが止まったタイミングで一歩交換にきましたね。
徐々にお互いの狙いが定まってきた感があります。
上図以下、△2四同歩 ▲同飛 △2三歩 ▲2五飛(下図)
▲2五飛 は意外な引き場所でした。
端歩を突き合っている形なら端攻めにも参加できる含みもあるんですが、現状では不安定さが残りそうです。
上図以下、△5二玉 ▲7六歩 △7四歩 ▲7七角(下図)
△5二玉 と中住まいに囲い、バランスを重視しました。
先手も▲7七角 から自陣の整備に入っています。
後手としては2五の飛車を狙った攻めをしたい所ですね。
突然の悪手
上図以下、△7三桂 ▲2六歩(下図)
△7三桂 で攻めの準備をしたら▲2六歩 という悪手を指してきました。
これが15級ならではの配慮ですね。
飛車を下に引けなくなった欠点を突き、飛車の捕獲も狙いながら攻めていきます。
上図以下、△7七角成 ▲同桂 △3三桂(下図)
角交換から△3三桂 と飛車取りに跳ねるのがシンプルながら強烈です。
▲5五飛 と逃げたら△6四角 と打って攻める予定でしたが・・・
上図以下 ▲6八銀(下図)
本譜は飛車を見捨てたので・・・
上図以下、△2五桂 ▲同歩 △2二銀(下図)
桂と飛車の交換で後手優勢になりました。
受けを放棄してあっという間の寄せに
上図以下、▲1六歩 △8九飛 ▲5六歩(下図)
△8九飛 の打ち込みに▲5六歩 と受けを疎かにしたので寄り筋に入っています。
上図以下、△6九角(下図)
シンプルな割り打ちの角が厳しいですね。
上図以下、▲5七玉 △7八角成 ▲6六歩(下図)
次の一手で寄りです。
上図以下、△6八馬(下図)
自玉が安全なので馬を切って先手玉を薄くするのが有効でした。
上図以下、▲6八同玉 △8八飛成 ▲5九玉(下図)
△8八飛成 に▲5九玉 と逃げたので先手玉に詰みが生じています。
最後に実戦詰将棋(5手詰め)として出題するので解いてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。上図以下、△4八銀(下図)
この銀捨てが退路封鎖の好手で詰みます。
上図以下、▲4八同金 △6八金(下図)
金打ちで玉を狭い所へ追いやり・・・
上図以下、▲4九玉 △9九竜(下図)
△9九竜 と王手を掛ければ合駒利かずの詰みです。
上図以下、▲5九桂 △同竜(下図)
実戦は▲5九桂 と打ってきましたが△同竜 と取れば問題なく、ここで「ひよこ」の投了となりました。
最後に
15級のひよこでも▲2六歩(下図)の悪手までは普通の駒組みだったので意外と初心者には厳しいのかもしれません。ヘタに仕掛けず15級ならではの変なミスを待ち、明らかに崩れてから攻めるのが効果的かもしれませんね。