今回は「ぴよ将棋w」の
Lv28 ピヨ矢(三段)
に「先手番中飛車」で挑み、「相振り飛車」になった一局を紹介します。
見所は
・AIが示した囲い方
・中飛車にこだわらない攻め方
・私がミスった勝負所での正着
・実戦詰将棋(9手詰め)
の4つです。
三段相手に相振り飛車になった時の一例としてお楽しみください。
- ピヨ矢は振り飛車好き?
- AIが示した玉を左に囲う発想
- 中飛車にこだわらない駒組みがあった
- 押さえ込みを狙う方がよかった
- 振り飛車っぽい手が有効だったりもする
- 逆転を狙う手はあった
- 逆転した終盤戦
- 逆転の詰みを実戦詰将棋として出題
- 補足:寄せの正着は▲6二銀 だった
- 最後に
ピヨ矢は振り飛車好き?
先手が「私」、後手が「ピヨ矢(三段)」です。初手から、▲5六歩 △3四歩 ▲5八飛 △3三角(下図)
▲5六歩 スタートのシンプルな中飛車に対し、△3三角 と相振り模様の駒組みをされました。
上図以下、▲7六歩 △4四歩 ▲6八銀 △2二飛(下図)
▲7六歩 には△4四歩 と角交換を拒否し、素直に△2二飛 と振るシンプルな序盤ですね。
何局か指した結果、▲5八飛 には△3二飛 と三間飛車に振ってきたりもしたので、ピヨ矢は振り飛車好きなのかもしれません。
AIが示した玉を左に囲う発想
ここからどういう駒組みをするかで実力が試されますが・・・
上図以下、▲5五歩 △4二銀(下図)
局後の検討でほんの一瞬だけ候補に挙がった一手が参考になる構想でした。
まずはその手を紹介します。
上図以下、▲5四歩 △同歩 ▲同飛 △6二玉 ▲7九金(下図)
ここは難しいのか色々な手が入れ替わりながら示されたんですが、▲5四歩 の一歩交換から▲7九金 と寄る手が盲点になっていた一手でした。
これは▲6九玉 ~ ▲7八玉 とエルモ囲いに組む狙いです。
「振り飛車にしたら玉を右に囲う」
という考えしかなかった私にはハッとする一手でしたよ。
中飛車ならではの
「玉を左右どちらにも囲える」
「相手の動きを見て方針を決められる」
といった利点があるのを完全に見落としていました。
相振り飛車になるとちょっと戦いにくい感じがあるので、居飛車っぽく戦うのはアリかもしれません。
中飛車にこだわらない駒組みがあった
上図は、△4二銀 以下、▲5七銀 ~ ▲5六銀 と中央の位を確保してから美濃に囲った本譜の進行です。
ここから攻めの形を作っていきます。
上図以下、△2五歩 ▲7五歩(下図)
▲7五歩 は玉頭に狙いを定めた一手です。
攻め幅を広げる意味ですが、AI的には疑問手で評価値は-300くらい後手に振れました。
上図以下、△1四歩 ▲6五銀(下図)
中飛車らしく中央からの攻めを見せます。
上図以下、△7二玉(下図)
本譜はここで▲5四歩 と銀交換を狙ったんですが、AIで検討したら・・・
上図以下、▲7四歩 △同歩 ▲7八飛(下図)
狙いを玉頭に変える手が示されました。
指されてみれば厚い5筋を狙うより手が遅れてる玉頭を狙う方がいいですよね・・・
評価値的には-200なのでまだ後手持ちですが、-300より良くなっているので▲7八飛 の方がいいですね。
押さえ込みを狙う方がよかった
上図は中央から攻めて銀を交換し、これからどう指すか悩んでいたら△4五歩 と角交換を迫られた所です。
本譜は
「振り飛車らしく角交換かな?」
と▲3三角成 といきましたが、ここは押さえ込みを狙った方がよかったようです。
AIが示したのは・・・
上図以下、▲4四銀(下図)
三間飛車への急戦で見かける角交換拒否の銀打ちでした。
指されてみればコレしかない一手ですね。
相振り飛車は居飛車っぽいノリで指した方がいいのかもしれません。
上図以下、△4三金(下図)
△4三金 は▲同銀成 と取れば△8八角成 で角がタダのドキッとする受けですが・・・
上図以下、▲3三銀成 △同桂(下図)
角の方を取っておけば問題ありません。
ただ、これで後手優勢ってわけでもなく先の長い一局の将棋です。
本譜の角交換をした変化よりは遥かに希望のある局面ですね。
以下、▲9六歩 ~ ▲9五歩 と端の位を取る手などで地道にいくのがAIの推奨でした。
振り飛車っぽい手が有効だったりもする
上図は、角交換から▲7七角 と飛車を牽制する筋悪の一手に△5五歩 と受けられた所です。
このシンプルな受けで大駒2枚を止められて困りましたが・・・
上図以下、▲5五同飛(下図)
ここは思い切って飛車を切る手がありました。
もし△5五同銀 と取ってくれれば、▲同角(下図)と取り返した手が王手桂取りで先手が息を吹き返します。
なので後手は飛車を取らずに△4六歩 ~ △2六飛(下図)と飛車を使う展開に進めるのが正着です。
こうなると評価値が-300の後手有利で難しい将棋が続きます。
でも、△5五歩 に▲同飛 と飛車を切れず▲3六飛(下図)と逃げた本譜よりは戦える形だと思います。
逆転を狙う手はあった
上図は、▲3六飛 と逃げた手に△7八角 と打ってきた所です。
本譜は▲3四飛 △4三金 ▲3六飛 △8九角成 と後手の思い通りに進んだんですが・・・
ここでも逆転を狙う一手がありました。
それがこの一手です。
上図以下、▲6五銀(下図)
この将棋を先手ペースに持っていくには
「7七の角をどうにかこうにか5五へ飛び出す」
という手を狙い続ける必要があったようです。
もし△6五同銀 と取ってくれれば▲5五角 の王手桂取りで先手有利(+300)になりますから。
後手もその手だけは許せないので・・・
上図以下、△3五歩(下図)
銀を取らないのが正着です。
上図以下、▲3五同飛 △3二歩 ▲6四銀 △同歩(下図)
邪魔だった6四の銀を消し・・・
上図以下、▲5五角 △2四飛(下図)
角を出た上図は評価値的には-400の後手有利ですが、本譜よりは戦えそうです。
ミスをしても腐らずに手を探すのは大切でしたね。
逆転した終盤戦
上図は、やや強引な攻めで竜を作り、どうにか後手玉にプレッシャーを掛けようと頑張っている局面です。
評価値は-1000を示しているので先手の負けですが・・・
上図以下、▲6六桂(下図)
金を狙いながら飛車が7筋から逸れた時に▲7四桂 の王手を狙う桂打ちから迫ります。
金を引いたら▲5四歩 で拠点を作ってから角を切って強引に攻める予定でしたが・・・
上図以下、△9九馬 ▲5四桂(下図)
すんなり金を取らせてくれてちょっと希望が出てきました。
上図以下、△5六歩 ▲7七歩(下図)
竜取りに当てながら歩を進める△5六歩 が後手の狙いで、それを受けた▲7七歩 から形勢が大きく動きます。
ここは△7七同飛成 や△8六飛 と飛車を切っていれば後手ペースでしたが・・・
上図以下、△5七銀(下図)
この銀打ちが疑問で形勢は-200の互角まで戻りました。
正しく応じれば先手も戦えた所・・・
上図以下、▲5九金引(下図)
金を逃げたのが悪手で-1400の後手優勢に振れてしまいます。
ここは金取りを無視して▲3二竜 や▲6一金 と後手玉に迫るのが正着でした。
上図以下、△7七馬 ▲同角 △同飛成 ▲4四角(下図)
もうダメかと思ったら△7七馬 が疑問で▲4四角 と打ち返した先手が悪くない形勢になっています。
上図以下、△5五角(下図)
竜取りを受けた△5五角 ですが、ここで手筋の一手が指せていれば先手ペースだったようです。
上図以下、▲7三歩(下図)
この叩きが急所で・・・
・放置すれば▲7二歩成 で金損
・△7三同銀 は▲5五角 で角がタダ
・△7三同玉 は▲5五角 △同銀 ▲9五角 の王手飛車
・△7三同桂 は▲7一角成 △同金 ▲3二竜 で寄り筋
になり、どう対処しても味が悪いです。
これに気付ける力があるならこんな局面になってないわけで・・・
本譜は▲5五同角 △同銀 ▲3二竜(下図)という平凡な手を指しました。
ただ、これはこれで戦える局面なのもあり、形勢はそこまで悪くありません。
逆転の詰みを実戦詰将棋として出題
上図は数手進んで△5一香 と角取りに打たれた所です。
これはややヌルく、寄せに入ることができました。
上図以下、▲7一角成 △同玉 ▲6二金(下図)
角切りから▲6二金 と打ち・・・
上図以下、△6二同金(下図)
金で取ったので9手詰みになりました。
最後に実戦詰将棋として出題するのでお時間のある方は解いてみてください。
答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、▲6二同桂成 △同角 ▲8二金(下図)
シンプルに金を取って「送りの手筋」の▲8二金 を打てば詰みます。
実戦はここでピヨ矢の投了となりました。
以下、△6一玉 は▲7二銀 の一手詰みなので・・・
上図以下、△8二同玉 ▲6二竜 △7二桂 ▲7一角(下図)
素直に取るしかありませんが、▲6二竜 から「一間竜」の▲7一角 を打てば・・・
上図以下、△9二玉 ▲7二竜(下図)
までの9手詰みです。
どうしようもない将棋でしたが、最後は勝てたので良しとしようと思います。
補足:寄せの正着は▲6二銀 だった
最後の寄せですが、▲6二金(下図)に対し・・・△6二同角(下図)だったらけっこう難しかったようです。
上図以下、▲6二同桂成 △同金 ▲8二銀 △6一玉(下図)
金じゃないので送りの手筋が働かず、微妙に長引きます。
一応、▲6八金 と落ちている銀を取って▲7一銀打 と打てば先手勝ちのようですが、実戦では見えてなかったので角で取られたら危なかったかもしれません。
なので少し巻き戻して考え直すと、▲6二金 ではなく▲6二銀(下図)と打ち・・・
金を残した方がよかったようです。
角でも金でも取れば桂成りから▲8二金 があります。
上図以下、△8二玉 ▲7三歩(下図)
△8二玉 と逃げられると難しそうと思ったんですが、▲7三歩 が好手でした。
上図以下、△7三同角 ▲6八金 △同竜 ▲7一銀打(下図)
上部を塞いでから▲6八金 と質駒の銀を広い、▲7一銀打 と打てば寄りです。
上図以下、△9二玉 ▲7三銀成(下図)
これなら狭い方へ追い込んだキレイな寄せでしたね。
最後に
グダグダな将棋でしたが、どうにかピヨ矢に勝った一局でした。本局の収穫は▲7九金(下図)とエルモ囲いを狙う形を知れたことでしょうか・・・
相振り飛車になったら居飛車模様で指す方針の方が個人的に指しやすそうなので、今度からはこういう発想も取り入れようと思います。