今回は「ぴよ将棋w」の
Lv29 ひよね(三段+)
に「早繰り銀」で挑んだ一局を紹介します。
・都成流を警戒する序盤
・高段者ならではの攻めっ気の強い▲2三歩
・角が向かい合った時の早繰り銀でのミス
・桂馬が活躍する寄せ手順
辺りが見所です。
この記事が三段を攻略するヒントになれば嬉しいです。
都成流を警戒する
先手が「私」、後手が「ひよね(三段+)」です。初手から、▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3二銀(下図)
シンプルに飛車先の歩を伸ばしたら、△3二銀 という変則的な一手を指してきました。
「クリックミス?」
と思ってしまうような一手ですが、今は「都成流」という指し方として認識されている一手ですね。
もし相手が都成流を狙っている場合、絶対に指してはいけない手順だけサラッと紹介します。
上図以下、▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △3一金(下図)
飛車先の歩を交換した所で△3一金 と寄るのが都成流の始まりです。
ここでハマリ型として定番なのが次の一手です。
上図以下、▲3四飛(下図)
パッと見は一歩得して先手が良さそうですが、後手には狙いの手順があります。
上図以下、△4四角 ▲3六飛 △3三銀(下図)
△4四角 で▲2六飛 と戻る手を消し、△3三銀 から△2二飛 と回る手を見せれば先手は受けが難しく困っています。
相手が都成流をやってきた場合、▲3四飛 と横歩を取るのだけはやめましょう。
他の手順について詳しくは考案者の都成先生が解説している下記リンクの動画を参照してください。
【都成流】考案者本人による徹底解説!【将棋】 - YouTube
一歩交換せずに早繰り銀へ

△3二銀 には序盤から相手のペースにならないように一歩交換しない方がいいかもしれません。
上図以下、▲4八銀 △3三銀 ▲3六歩 △8四歩 ▲3七銀(下図)
本譜は▲4八銀 から素早く銀を繰り出す「早繰り銀」にしました。
後手が△3三銀 と矢倉模様にしたので悪くない序盤だと思います。
横歩取りには飛車を圧迫する
数手進んで下図の局面になりました。お互いに玉を少し囲い、先手としては「いつ▲3五歩 と仕掛けるか」を考えている局面です。
上図の▲7六歩 は「角を攻めに参加させてから仕掛けた方が良い」と判断した一手ですね。
ここから後手が動いてきます。
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩 △7六飛(下図)
一歩交換から横歩を取る定番の手順です。
これには飛車の自由を制限する一手で対抗します。
上図以下、▲6六角(下図)
「簡単に飛車を8筋には戻らせないよ」
という一手ですね。
ここから飛車を狙って動きます。
上図以下、△7四飛 ▲8八銀 △9五歩 ▲7七銀(下図)
銀を上がって飛車を圧迫するのが狙いです。
上図以下、△7二銀 ▲8六銀 △9四飛 ▲8五銀(下図)
飛車の横利きがあると邪魔なので撤退してもらいました。
上図以下、△9二飛 ▲7七桂 △8二飛 ▲7六銀(下図)
▲7七桂 で左桂も使える状態になって攻めっ気たっぷりです。
そろそろ仕掛け時ですね。
▲2三歩 という一手があった

上図以下、△7四歩 ▲3五歩 △同歩 ▲同銀(下図)
▲3五歩 から定番の攻めのスタートです。
上図以下、△7五歩 ▲同角 △7四歩 ▲6六角 △3四歩(下図)
7筋で一歩渡すだけの疑問手から△3四歩 と受けてきました。
これには次の一手が大切ですね。
上図以下、▲2四歩 △同歩(下図)
銀を逃げずに▲2四歩 と突くのが銀を捌く定跡の一手です。
実戦は上図から▲2四同銀 といったんですが、局後の検討では▲2三歩(下図)という一手が最善と示されていました。
上図以下、△2三同金 ▲2四銀 △同銀 ▲同飛(下図)
△2三同金 と取らせて当たりを強くするのが狙いですね。
上図で△6六角 なら▲2三飛成 △3二銀 ▲同竜 △同玉 ▲6六歩 で先手優勢です。
なので飛車を取りますが・・・
上図以下、△2四同金 ▲2二角成(下図)
と角を取って先手優勢というのがAperyの読み筋でした。
ただ、そう簡単でもなくけっこう難しい寄せになりそうです。
上図以下、△7三銀 ▲6五桂 △6四銀 ▲2一馬(下図)
と進め、次に▲3二銀 を狙う感じですが、後手に飛車を渡しているのでちょっとでも緩むと危ないです。
高段者なら▲2三歩 から決めにいくのが最善でも、初段以下ならもう少し無難な攻めがいいかもしれませんね。
角交換をせずに劣勢へ

上図で▲2三歩 と角を叩くのがAIの最善ですが、本譜は無難にいきました。
上図以下、▲2四同銀 △同銀(下図)
ここで▲2二角成 と角交換をするのが普通ですが・・・
上図以下、▲2四同飛 △2三歩 ▲2八飛 △5五銀(下図)
「角交換はいつでもできるから後でいっか」
と油断して▲2四同飛 ~ ▲2八飛 としたせいで△5五銀 の角取りを食らって後手持ちの展開になってしまいました。
上図以下、▲4五銀 △6六銀 ▲同歩 △同角 ▲3四銀(下図)
仕方ないので▲4五銀 から攻めの形を作って頑張ります。
上図以下、△7五歩 ▲6七銀 △5五角 ▲4六銀 △4四角(下図)
自然に後手の手を受けていたら互角の局面に戻っていました。
▲3四銀 の存在が大きく、主導権は先手が握っています。
遅いようで意外と間に合う攻め

改めて後手陣に迫ります。
上図以下、▲2三銀成 △2七歩 ▲同飛 △2六歩(下図)
△2六歩 と飛車を止めましたが、3二の金を取った時に王手になるのが大きく、先手の攻めが成立しています。
上図以下、▲3二成銀 △同玉 ▲3七飛 △4二玉(下図)
ここでどう攻めるかなんですが、筋悪そうな次の一手がAperyも推奨する最善手でした。
上図以下、▲3二金 △5一玉 ▲2一金(下図)
重い感じのする▲3二金 ~ ▲2一金 への受けが意外と難しかったみたいです。
上図以下、△4二銀 ▲3二飛成(下図)
飛車を成り込めて先手勝勢です。
桂馬が強烈に働く寄せ

上図は、数手進んで後手が金の壁を作った所です。
ここから桂馬が活躍する寄せが決まりました。
上図以下、▲3四桂(下図)
金の連結を断つ桂打ちが最後まで働く好手になります。
上図以下、△3二金寄 ▲7一銀(下図)
この▲7一銀 が決め手ですね。
飛車を逃げれば▲6二銀成 △同玉 ▲4一竜 と浮いた4一の金を取る寄せを狙っています。
直で▲6二銀 と打っても良さそうですが、△5二玉 とかわされると意外と難しくなるのを回避した一手ですね。
上図以下、△3一金引 ▲8二銀成 △2一金 ▲7二成銀(下図)
実戦は△3一金引 から飛車と竜を取り合う展開になり、気が付けば先ほどの▲3四桂 が玉の退路をピッタリ塞ぐ好手になっています。
上図以下、△6六飛 ▲6七銀 △同飛成 ▲同金右(下図)
ここで「ひよね」の投了となりました。
中盤のミスで角を取られた時はどうなるかと思いましたが、どうにか勝てて良かったです。
最後に
本局でやらかした「角が向かい合った早繰り銀で角を捕獲されるミス(下図)」
だけはお気を付けください。
この形ではサッサと角交換してしまうのが分かりやすくていいですね。
こんなミスをしても勝てたので
「三段+ 相手にミスをしても意外と逆転できる」
という希望になればいいかなと思います。