今回は「ぴよ将棋w」の
Lv11 ひよ音(7級)
に37手で勝った一局を紹介します。
見所は
・受けを間違えると怖い早繰り銀
・局後に検討した正着
の2つです。
早繰り銀の速攻から居飛車の基本的な攻め筋を学ぶ感じでお楽しみください。
37手で終わった一局
先手が「私」、後手が「ひよ音(7級)」です。まずは短手数で終わった実戦譜をサラッと紹介します。
初手から、▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩(下図)
△4四歩 と角道を止める穏やかな展開からスタートしました。
上図以下、▲2五歩 △3三角 ▲4八銀 △4二銀(下図)
後手が居飛車か振り飛車か分からないので、こういう時は無難な一手で様子を見るのが定番です。
上図以下、▲6八玉 △8四歩(下図)
▲6八玉 がどう来られても対応できる一手です。
本譜は△8四歩 と居飛車を宣言してきたので早繰り銀での速攻を狙います。
上図以下、▲3六歩 △4三銀 ▲3七銀 △7四歩(下図)
△7四歩 は飛車のコビンを空けてスキを作っている感じなのですぐに仕掛けました。
上図以下、▲3五歩 △同歩 ▲4六銀(下図)
早繰り銀らしく▲3五歩 の突き捨てから▲4六銀 と出ましたが、この手は△4五歩 の反撃が刺さるのでやや疑問でした。
正着は▲2六銀 と右へ出る手です。
この変化については後で補足するので、まずは短手数で終わった実戦譜をお楽しみください。
上図以下、△3六歩(下図)
△3六歩 は歩を逃げる手筋の一手ですが、この形の場合は疑問でした。
上図以下、▲2六飛 △1五角 ▲3六飛(下図)
ここは▲2六飛 ではなく▲2四歩 と突く手が最善だったようです。
本譜は▲2六飛 に△1五角 と出てくれたので▲3六飛 と歩を取って先手優勢になりました。
ここも面白い変化があったので後で補足します。
上図以下、△4二角 ▲3五銀 △5四歩(下図)
後手は受けも難しく、次の一手で先手勝勢です。
上図以下、▲4四銀(下図)
角筋を活かした銀出で攻めが決まりました。
上図以下、△5二金右 ▲4三銀成 △同金 ▲1一角成(下図)
先手は攻め筋が豊富で迷うくらい贅沢な局面ですね。
上図以下、△2七銀 ▲2六飛 △3三角 ▲2一馬(下図)
△3三角 の合わせに▲2一馬 と金取りにかわし、後手が受けを疎かにしたので終局を迎えます。
上図以下、△9九角成 ▲4三馬 △8九馬 ▲6一金(下図)
▲4三馬 が狙っている▲6一金 の詰めろを受けなかったので詰み、ここで「ひよ音」の投了となりました。
7級ということもあり、要所要所で手を抜いてくれる感じがありましたね。
補足1 ▲4六銀 には△4五歩 の反撃がある
ここからは実戦で役立つ補足になります。まずは▲3五歩 △同歩 ▲4六銀(下図)と仕掛けた所から・・・
ここは▲4六銀 ではなく▲2六銀 と右へ出るのが正着でした。
なぜなら▲4六銀 には△4五歩(下図)の反撃があり、この時に銀取りに当たるので損をしているからです。
上図以下、▲3三角成 △同桂(下図)
角交換をした後、4六の銀の対処をしなければならず、手を限定されているのが不満です。
上図以下、▲3五銀 △5五角 ▲2六飛 △9九角成(下図)
▲3五銀 と逃げた所で△5五角 などの反撃を受け、△9九角成 まで進んだ上図は互角とはいえイマイチな展開です。
以下、▲7七角 と合わせて戦えなくもないですが、好んで選ぶ変化ではないと思います。
もし▲4六銀 ではなく▲2六銀(下図)とした場合、先手にも選択権があって本譜よりはマシになります。
次に▲3五銀 と出られれば悪くない展開なので後手も反発しますが、先ほどのように△4五歩(下図)だと▲2六銀 が活きます。
上図以下、▲3三角成 △同桂 ▲7七角(下図)
△4五歩 が銀取りになっていないので先手から▲7七角 のような反撃が可能になっています。
以下、一例です。
上図以下、△6四角 ▲2七飛 △1九角成 ▲3五銀(下図)
△6四角 の牽制はよく見る反撃ですが、飛車をかわして▲3五銀 と出れば先手も悪くありません。
上図以下、△1八馬 ▲2六飛(下図)
こう進むと▲3三角成 や▲3四歩 があって先手が400点くらい優勢というのがAperyの結論でした。
速攻を狙う場合、△4五歩 の反撃を警戒して▲2六銀 と出る手も考えるといいですね。
補足2 △3六歩 に▲2四歩 の突き捨てがあった
上図は、▲4六銀 に△3六歩 と歩をかわした所です。
本譜は▲2六飛 と指しましたが、ここで▲2四歩(下図)と突く手がありました。
手の意味としては「仕掛け前に突き捨てを入れる」というものですが、応手によって展開が変わります。
もし△2四同角 と角で取ってきたら▲5八金右 からゆっくりした展開になり、△2四同歩(下図)と歩で取った場合は攻めが成立します。
上図以下、▲3五銀 △3七歩成 ▲同桂 △3六歩(下図)
△3七歩成 ~ △3六歩 が気になる反撃ですが、かまわず突っ込んで先手優勢です。
上図以下、▲2四銀 △3七歩成 ▲3三銀成 △2八と ▲4三成銀(下図)
次に▲4四角 などで攻めが続きますし、先手玉は意外と遠いので1000点くらい先手優勢になっています。
応手によって展開が大きく変わる怖い突き捨ての例でした。
補足3 ▲2六飛 に△3二飛 と回る柔軟な一手
上図は、△3六歩 と伸ばした手に▲2六飛 と浮いた局面です。
本譜は△1五角 と出てきたので▲3六飛 から優勢になりましたが、ここで△3二飛(下図)と飛車を振る一手がありました。
形にとらわれない柔軟な一手で、この手への対処がけっこう難しいです。
Aperyが示したのは次の一手でした。
上図以下、▲2四歩(下図)
突き捨てから攻める感じですね。
△2四同歩(下図)なら・・・
上図以下、▲3五銀 △4五歩 ▲3三角成 △同飛 ▲2四銀(下図)
▲3五銀 に△4五歩 から角交換になり、▲2四銀 と出て攻めが続きます。
上図以下、△3四飛 ▲1六角(下図)
ここまでが一例ですが、浮いた4三の銀を睨む▲1六角 が決まれば先手も悪くありません。
もし▲2四歩 を△同角(下図)と取った場合は・・・
上図以下、▲5五角 △8二銀 ▲3五銀(下図)
▲5五角 で△8二銀 と受けさせてから▲3五銀 と出る面白い手があります。
△3五同飛 なら▲8二角成 と銀を取れるので、△3五同角(下図)と応じますが・・・
上図以下、▲2三飛成(下図)
飛車を成り込むのがシンプルながら厳しい一手になります。
上図以下、△6四銀 ▲同角 △同歩 ▲4三竜(下図)
△6四銀 からは一例ですが、どう対応しても竜を止められず先手勝勢です。
居玉の形で飛車筋が通っている場合、△3二飛 と回る手もあったりするので、もしやられたらAperyの手順を参考に対処してください。
最後に
37手で終わった「ひよ音(7級)」との一局から早繰り銀の色々な変化に触れてみました。速攻を仕掛ける場合、▲4六銀 よりも▲2六銀(下図)と棒銀風に出る方が良い場合が多いです。
後手の反発を最小限に抑えるなら有効なのでお試しください。