今回は「ぴよ将棋w」の
Lv11 ひよ音(7級)
に「先手番ノーマル三間飛車」で挑んだ一局を通し、なかなか勝てない初心者に向けて
・意味不明な駒組みをする相手への無難な指し方
・中盤にあったApery推奨の捌きの手順
など、棋力アップに役立つ考え方や手順を紹介します。
「ノーマル三間飛車の基本的な駒組みの手順」
から知りたい方は下記リンクの記事で解説したので、そちらから読むと分かりやすいと思います。
上記の記事と併せて、7級のひよ音に苦戦している方のヒントになれば嬉しいです。
相手の出方が分からなければ玉を囲うのが無難
先手が「私」、後手が「ひよ音(7級)」です。初手から、▲7六歩 △8四歩 ▲7八飛(下図)
まずは▲7六歩 と角道を開け、▲7八飛 と飛車を振るのが三間飛車の始まりです。
上図以下、△8五歩 ▲7七角(下図)
6級との対局でも書きましたが、△8五歩 と飛車先を伸ばしてきたら▲7七角 と受けるのが欠かせない一手ですね。
序盤の基礎を越えた後は、相手の様子を見つつ駒組みを進めます。
上図以下、△6二銀 ▲6八銀 △1四歩 ▲1六歩(下図)
序盤は相手の動きに合わせるように
・銀には銀
・端歩には端歩
という感じで動けば大きく崩れることはありません。
早めの△1四歩 はめずらしいですが
「穴熊ではなく急戦調の将棋にするのかな?」
と早い動きを察知するヒントになりますね。
上図以下、△4二玉 ▲4八玉(下図)
ここも相手に合わせて玉を囲っていきます。
上図以下、△3四歩 ▲6六歩(下図)
角道を開けず左美濃に組むのかと思っていたら△3四歩 と開けてきたので、こちらは▲6六歩 と角道を止めます。
こうしておけば角交換からの神経を使う変化が消えるため、崩れにくい穏やかな駒組みを継続できます。
上図以下、△5一銀(下図)
△5一銀 と引く手は級位のひよこがよくやってくる疑問の一手ですが、Aperyの評価値的にはそこまで悪手ではないので油断できない一手です。
何を狙っているか分からない場合は玉を囲って様子を見るのが無難です。
上図以下、▲3八銀(下図)
▲3八玉 と囲う手もありますが、今回は端歩を受けた流れに合わせて▲3八銀 と美濃囲いを確定させる順を選びました。
次に▲3九玉 と入ればそれなりに安定するので早い戦いになっても大丈夫なのが利点です。
上図以下、△7四歩 ▲6七銀
△7四歩 と急戦を匂わせてきた手には▲6七銀 と上がって弱点の角頭をカバーしておきます。
攻めっ気を察知したら早めに受けておくのがアッサリやられないコツです。
上図以下、△4四歩(下図)
△4四歩 は角道を止めて守りを固める手なので△7四歩 との繋がりが悪く狙いが分かりません。
7級なので初心者向けにチグハグな駒組みをしているだけなんだと思いますが油断せず進めます。
上図以下、▲5八金左 △3三角 ▲3九玉(下図)
スキを見せずに玉を囲っていけば問題ないですね。
上図以下、△5四歩 ▲2八玉 △9四歩 ▲5六歩(下図)
ここまで陣形が整えばそう簡単に負けません。
序盤の駒組みをする時の1つの考え方として
「相手の狙いが分からないなら攻めを待ち受けながら玉を囲って待つ」
というのはけっこう有効なので、自分からヘタに動きすぎて悪くすることがあるなら試してみてください。
Apery推奨の軽く捌く手順

先手としては陣形も整い、こちらから仕掛けても悪くない局面です。
まずは一歩交換を狙いに動きます。
上図以下、△5二金右 ▲6八角(下図)
▲6八角 と引いて飛車筋を通すのが三間飛車らしい軽い一手です。
軽快に指すなら▲7五歩 △同歩 と突き捨ててから▲6八角 と引く手順もあります。この辺は好みですね。
上図以下、△4三金 ▲7五歩(下図)
飛車先の一歩交換をして飛車を軽くすれば動きやすくなります。
上図以下、△2二角 ▲7四歩(下図)
普通は△7五同歩 ▲同飛 と進むんですが、7級ということもあり放置してきました。
そのミスを利用して▲7四歩 と取り込めば7筋からの攻めを受けにくい後手は困っています。
あとは冷静に攻め込むだけですね。
上図以下、△6二銀(下図)
次の▲7三歩成 を食らうわけにはいかないので△6二銀 と受けてきました。
ここでどう攻めるかですが、局後に検討したらAI推奨の振り飛車らしい捌きの手順があったので、まずはその手順を紹介します。
上図以下、▲4六角(下図)
飛車を牽制する▲4六角 が捌きのスタートです。
上図以下、△9二飛 ▲7五飛(下図)
△8四飛 のように縦に飛車が逃げると▲9一角成 と香車を取られるので△9二飛 と逃げますが、そこで▲7五飛 と浮くのが気持ちいい一手です。
次に▲8五飛 と回れば飛車成りを受ける手がなく早くも先手勝勢になります。
△9三桂 として▲8五飛 を防ぐと、▲7三歩成 があるので後手に受けがありません。
こういう手がパッと見えると楽しくなりますね。
私の指した地味な手順
実戦では▲4六角 ではなく▲7六飛(下図)と指したので地味な展開になっていきます。この手は
「▲7七桂 から左の桂馬を使おう」
という意味で、次善手くらいの一手です。
上図以下、△3三角 ▲7七桂 △6四歩(下図)
次に▲6五桂 と跳ばれる手を△6四歩 と受けてきましたが・・・
上図以下、▲6五歩(下図)
▲6五歩 と突き、歩を取らせて桂が跳ねる場所を確保するのが攻めの基本です。
先に歩を取らせてもすぐに取り返せるので損はありません。
もし取らなければそのまま▲6四歩 と取り込んで一歩得になるので、後手は何かしらの対応を迫られています。
上図以下、△5三金(下図)
本譜は△5三金 と歩を取らず受ける手を選択してきました。
この手は▲6四歩 の取り込みに△同金 と取って先手の飛車を圧迫する展開を狙った油断ならない一手です。
金のような上部に強い駒が援軍にきた場合は、こちらも上部に強い駒を送るのが大切になります。
上図以下、▲6六銀(下図)
▲6六銀 が金に対抗する一手です。
これで勢力のバランスが取れているので好き勝手されません。
上図以下、△1五歩 ▲同歩 △5二金上 ▲7五銀(下図)
▲7五銀 まで進めば厚みで押さえ込む展開になり、後手の金銀が自由に動けないので先手ペースです。
上図以下、△2二角 ▲6四歩(下図)
銀の厚みを活かして▲6四歩 と取り込み、桂の跳ねるスペースを作れば・・・
上図以下、△4三金寄 ▲6五桂(下図)
左辺の駒が急所に働いて好調ですね。
上図以下、△3三桂(下図)
手がない後手は△3三桂 と指してきました。
ここで金銀の働きを弱める手筋に気付けば後手陣を破れます。
上図以下、▲6三歩成(下図)
この歩成りが金銀を責めてスキを作る急所の一手です。
△6三同銀 だと銀の働きが弱まったスキを突く▲7三歩成(下図)が強烈なので・・・
後手は△6三同金(下図)と取るしかありませんが・・・
上図以下、▲6四歩(下図)
▲6四歩 と打てばナナメに引けない金はどう転んでも取られる形になり先手の金得が確定しました。
▲6三歩成 のような「金をナナメに誘う一手」は好手になることが多いので覚えておくと役立ちますよ。
上図以下、△5三金右 ▲同桂成(下図)
このまま▲6三歩成 と取られたら終わりなので△5三金右 と逃げましたが、▲同桂成 と普通に取っておけば大丈夫です。
この成桂も金と銀のどちらで取るかを悩ませる一手になってるのがキツイですね。
もし△5三同金(下図)と取った場合は・・・
上図以下、▲6三歩成 △同金 ▲4六角(下図)
歩の成り捨てから▲4六角 と飛車を牽制すれば攻めが続きます。
上図以下、△9二飛 ▲6四歩 △5三金 ▲8四銀(下図)
上図の進行が一例です。
次の▲8三銀成 の飛車取りや、▲7三歩成 からの7筋突破などが受けにくいですね。
本譜は▲5三桂成 を△同銀(下図)と取ってきたので・・・
一気に勝勢になる絶好の一手があります。
上図以下、▲6三歩成(下図)
横に動けない銀の弱点を突き、急所に「と金」を作れば勝ちは目前です。
上図以下、△6四歩(下図)
△6四歩 は受けになってないので一気に決めます。
上図以下、▲7三歩成 △同桂(下図)
まずは▲7三歩成 △同桂 と歩を成り捨て・・・
上図以下、▲5三と △同金(下図)
7筋を軽くしてから▲5三と と銀を取れば準備完了です。
ここで振り飛車らしい決め手があります。
上図以下、▲6四銀(下図)
急所に飛車筋を通す銀捨てで勝負ありです。
上図以下、△6四同金 ▲7三飛成(下図)
玉を睨みながら飛車・金 両取りの▲7三飛成 が決まり、先手勝勢がハッキリしました。
▲7三歩成 から▲7三飛成 までの手順は「キレイにさばく流れ」として雰囲気だけでも感じ取ってください。
上図以下、△5三銀 ▲8二竜(下図)
本譜は飛車をタダ取りする分かりやすい展開になったので、あとは焦らずゆっくり迫ればOKです。
上図以下、△6二歩 ▲9一竜 △7四歩(下図)
ここで後手玉に詰みがあります。
最後に実戦詰将棋として出題するので、お時間のある方は解いてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。上図以下、△4三香(下図)
と打てば詰みます。
・△3二玉
・△5二玉
・△4三同玉
の応手があるのでそれぞれ解説します。
△3二玉 と逃げた場合
△3二玉(下図)と逃げた場合は・・・上図以下、▲4一竜 △2一玉 ▲3二金 △1二玉 ▲2一銀(下図)
とシンプルに王手を掛けていけば詰みます。
6八の角が玉の逃げ道を塞ぐ形で最後に働きましたね。
△5二玉 と逃げた場合
△5二玉(下図)と逃げた場合は・・・上図以下、▲4一竜 △6三玉 ▲9三飛(下図)
から詰みます。
上図以下、△7三桂 ▲5二銀 △7二玉 ▲8三金(下図)
までの詰みです。
△4三同玉 と香車を取った場合
△4三同玉(下図)と香車を取った場合は・・・上図以下、▲4一竜 △4二銀引 ▲5二銀(下図)
から詰みます。
上図以下、△5三玉 ▲4三金 △同銀 ▲同竜(下図)
までの詰みです。
実戦はここで「ひよ音」の投了となりました。
最後に
「ひよ音(7級)」との一局から・序盤の無難な駒組みの仕方
・Apery推奨の軽い捌きの手順
を紹介してみました。
低級のひよこに勝つには、実戦で紹介したように
「相手の動きに合わせながら玉を囲い、安全にしてから開戦する」
というのが大切になります。
そうすれば多少のミスをしても簡単に玉が詰まされることがないので負けにくくなり、逆転のチャンスが生まれますから。
「相手に攻められるとすぐ詰まされてしまう」
という場合、玉を囲うようにするだけでかなり改善されると思いますよ。
「速攻で攻め勝つ」
という前のめりな感じで失敗してるなら
「玉の守りを固めて負けにくい形を作る」
という受け身な感じも意識してみてください。
玉を囲う大切さを知り
「負けにくい形に組むメリット」
を理解できれば7級には勝てるようになると思うので、そうなれば脱・初心者ですね。
今回紹介したAperyの手順なども参考に「ひよ音」を撃破しちゃいましょう。