今回は「きのあ将棋」の
郷谷さん(上級-)
を超絶シンプルな
「原始棒銀」
で攻略する手順を紹介します。
単純な攻めへの受けが意外と疎かな欠点を突き、
17手
で優勢に持ち込める手順をお楽しみください。
- 「原始棒銀」をやると▲3五銀 を許す傾向があった
- 棒銀の基本的な攻め筋
- △3三桂 は歓迎
- 61手で仕留めた驚異の読み筋
- 最後に
- 追記:△4四角 に▲2五飛 ではなく▲2八飛 と引いた変化についても検討しました
「原始棒銀」をやると▲3五銀 を許す傾向があった
先手が「私」、後手が「郷谷さん(上級-)」です。初手から、▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 8五歩(下図)
今回の攻略手順は、初手▲2六歩 に△8四歩 と突いてきて「相掛かり」模様になった時に有効です。
上図以下、▲7八金 △3二金 ▲3八銀(下図)
お互いに角頭を受けたら▲2四歩 と一歩交換にはいかず、▲3八銀 とすぐさま棒銀を狙います。
上図以下、△7二銀(下図)
▲3八銀 に対し、△7二銀 と上がってくれたらチャンス到来です。
もしここで△7二銀 ではなく△8六歩 と一歩交換にきた場合は今回の攻略手順は使えません。
上図以下、▲2七銀 △1四歩 ▲2六銀(下図)
△7二銀 には▲2七銀 ~ ▲2六銀 と銀を繰り出し、これ以上ないほどシンプルに攻めの形を作るのがポイントです。
このまま無条件に▲3五銀 と出られれば先手優勢になる勝負所を迎えています。
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同飛 ▲8七歩(下図)
後手はこのタイミングで一歩交換をした後、△8五飛 や△8四飛と中断に引き、
飛車を2~3筋の受けに働かせる
のが定番の手順ですね。
「やっぱ簡単に決まるわけないか・・・」
と思っていた所・・・
上図以下、△8二飛(下図)
郷谷さんは△8二飛 と深く引いてきたので・・・
上図以下、▲3五銀(下図)
簡単に▲3五銀 と出ることができました。
「たまたまミスしただけかな?」
と思って何局か試したんですが、郷谷さんはこの局面で△8二飛 と引く確率が高く
▲3五銀 を許す傾向がある
というのが分かりました。
ここまで書いてきた色々な攻略法の中でも
17手にして先手優勢
になれる今回の手順が一番シンプルで分かりやすいかもしれません。
棒銀の基本的な攻め筋

▲3五銀 と出て棒銀が成功した上図。
ここからは私のグダグダ実戦譜ではなく、61手で仕留めたAIの手順を紹介します。
上図以下、△3四歩 ▲2四歩(下図)
△3四歩 と急所の銀に働きかけてくる手には▲2四歩 と突くのが棒銀の基本手筋ですね。
△3五歩 と銀を取ると▲2三歩成 が強烈なので・・・
上図以下、△2四同歩 ▲同銀 △2六歩(下図)
△2四同歩 から銀を呼び込むしかありません。
この局面になると△2六歩 から手筋の受けを狙ってきますが・・・
上図以下、▲2六同飛 △4四角(下図)
飛車取りの△4四角 に▲2八飛 と引かず・・・
上図以下、▲2五飛(下図)
▲2五飛 と浮くのが郷谷さんを最短で仕留める一手になります。
私は△3三桂 が飛車に当たるのが嫌で▲2八飛 と引いていましたが、AI的には△3三桂 は歓迎だったようです。
本譜はその誘いに乗ってきた△3三桂 をトガめ、見事な勝ちっぷりを見せてくれました。
※ ここで△3三桂 ではなく△2二銀 と受けてくることもあるので、そうなった場合は下記リンクの記事を参照してください。
△3三桂 は歓迎

上図以下、△3三桂(下図)
飛車取りに桂を跳ねられ、
「どこに飛車を逃げるのかな?」
と思っていたら・・・
上図以下、▲3三同銀不成(下図)
あっさり銀 桂交換をして飛車を成り込むのがAIの狙いでした。
上図以下、△3三同角 ▲2一飛成 △2二銀打(下図)
竜を閉じ込められたら次の手が難しいと思っていたんですが・・・
上図以下、▲4五桂 △4四角 ▲2三歩(下図)
取った桂と歩で手を作っていく構想があったようです。
上図以下、△2三同金 ▲7六歩(下図)
眠っていた角をここで解放します。
指されてみると受け切るのは大変そうですね。
上図以下、△8八角成 ▲同銀 △1二角(下図)
竜を捕獲されましたが、これはAIの読み筋でした。
ここからの攻めは見事ですよ。
61手で仕留めた驚異の読み筋

並みの発想では▲1二同竜 と角を取る所・・・
上図以下、▲2四歩(下図)
▲2四歩 というAIならではの深い読みが入った好手がありました。
△2四同金 なら▲3三角 の王手が厳しいですし・・・
△3三金 なら▲3一竜 △同銀 ▲3三桂成 の二枚替えが強烈です。
上図以下、△2一角 ▲2三歩成 △2八飛(下図)
なので歩は相手にせず△2一角 と飛車を取り、△2八飛 の反撃をするくらいですが・・・
上図以下、▲2二と(下図)
7八の金取りを無視して▲2二と と踏み込むのが完全に見切った一手でした。
もし△2二同銀 と「と金」を取れば▲3八銀 と受けられてしまうため・・・
上図以下、△7八飛成 ▲7九金(下図)
後手も勢い△7八飛成 と金を取りますが、▲7九金 としっかり受ければ先手玉は意外と寄りません。
上図以下、△8七飛成(下図)
ドキッとする勝負手にも・・・
上図以下、▲7八金 △同竜 ▲6九銀(下図)
あっさり竜を取って▲6九銀 と受ければこれ以上 迫る手がありません。
△8八竜 と銀を取ると▲3三角 の王手竜取りがあるので取るなら桂ですが・・・
上図以下、△8九竜 ▲5三桂成(下図)
▲5三桂成 が詰めろで入り、速度が一気に逆転しました。
△5二歩 と安く受けると▲3三角 から詰みがあり・・・
△5二金 と受けると▲同成桂 と金を取ってから▲7九金 と竜を捕獲する手や、▲3一と と銀を取って寄せにいく手などがあって収拾がつきません。
上図以下、△5八歩(下図)
受けがないなら攻めるしかないので王手をしてきましたが・・・
上図以下、▲4八玉 △5九歩成(下図)
▲4八玉 と逃げるのが冷静ですね。
△5九歩成 は王手ではないので詰ましにいきます。
上図以下、▲3三角 △4二金 ▲4一飛(下図)
ここで郷谷さんの投了となりました。
上図以下、△4一同玉 ▲3一と △同玉 ▲4二成桂(下図)
までの詰みですね。
個人的に▲4一飛 が見えにくい一手で詰みに気づくまで時間が掛かりましたよ・・・
それにしても、AIらしい完全に読み切った上での完勝譜でしたね。
最後に
意外なことに郷谷さん(上級-)
には
「原始棒銀」が有効
だったので一例として攻略手順を紹介してみました。
今までは
「上級に原始棒銀なんて通用しないよなぁ・・・」
と思ってやらずにいたんですが、ここまで書いてきた攻略法の中でも最短の
17手
で優勢になれる手順が見つかったので息抜きにやってみてよかったです。
上級の郷谷さんを簡単に倒せる手順を求めていた方は、今回のAIの手順を参考に「原始棒銀」をお試しください。
追記:△4四角 に▲2五飛 ではなく▲2八飛 と引いた変化についても検討しました
AIの推奨は△4四角(下図)の飛車取りに・・・▲2五飛 と浮く手でしたが、ここは▲2八飛(下図)と引いても悪くありません。
飛車が目標にされにくいので穏やかな変化が好きな人にオススメです。
ここからの変化もAIで検討したので、興味がありましたら下記リンクの記事をどうぞ。