今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」を65手で倒した
角換わり腰掛け銀
の一局を紹介します。
見所は
・玉を囲うのが悪手?
・ミスにつけ込んだ攻め
・褒めたい▲4五銀
の3つです。
いつもより踏み込めた一局をお楽しみください。
玉を囲うのが悪手?
先手が「私」、後手が「郷谷さん(上級-)」です。上図は、先手がバランス型の腰掛け銀、後手が昔ながらの駒組みをしている所です。
ここまでは何の変哲もない進行だったんですが、次の一手が疑問だったようです。
上図以下、△2二玉(下図)
普通に玉を囲った一手でいきなり評価値が先手有利(400点)に振れました。
これから攻められる2~3筋に近づいたことで当たりが強くなっているのがマイナスなんでしょうか・・・
角換わりの場合、玉は4二や3一で待つのが無難かもしれません。
ミスにつけ込んだ攻め

すでに先手有利の上図。
対局中はAIの評価値が見えてないので有利とまでは思ってませんでしたが、
「ちょっと攻めやすいかな?」
という感じはありました。
ここから仕掛けます。
上図以下、▲4五歩 △7三桂(下図)
定番の▲4五歩 をスルーしての桂跳ね・・・
△4五同歩 と取ると▲3五歩 から一方的に攻められる展開を嫌った一手でしょうか・・・
ただ、これがやや疑問で形勢はさらに先手に振れていきました。
上図以下、▲4四歩 △6五桂 ▲6六銀 △8六歩(下図)
▲4四歩 と歩を取れたのは地味に大きいですが、桂跳ねの勢いに任せて後手が先攻する流れになっています。
一手ミスれば終わりなのでちょっと怖い展開ですね。
上図以下、▲8六同歩 △4四銀 ▲2四歩(下図)
△4四銀 と受けに回ったスキを突いて▲2四歩 から反撃します。
上図以下、△2四同歩 ▲2五歩(下図)
4筋で取った歩で▲2五歩 と継ぎ歩をするのが玉頭に拠点を作る好手でした。
△2五同歩 と取れば▲2四歩 と垂らす「継ぎ歩と垂れ歩」が決まるので・・・
上図以下、△8八歩 ▲同金 △3五歩 ▲2四歩(下図)
後手は△8八歩 ~ △3五歩 と反撃にきましたが・・・
△3五歩 を手抜いて▲2四歩 と拠点を作ったのが大きく、先手優勢がより確定してきました。
あとは金駒が1枚入れば寄せにいけそうですね。
上図以下、△3六歩 ▲4一角(下図)
玉頭の拠点を活かす▲4一角 が狙いの一手です。
ただ、AIで検討したら△3一玉 と引かれた時にちょっと忙しくなるので、ここは▲3四角 と上から打った方がよかったみたいです。
上図以下、△2七歩 ▲同飛 △3四角(下図)
次に▲2三歩成 を食らったら終わりなので△2七歩 で飛車を上部に誘ってから△3四角 と受けてきました。
△3七歩成 と桂を取った手が飛車に当たるので忙しく、いつもならここで焦ってミスをかます所・・・
本局はちょっと冴えていたのか良い手が指せました。
褒めたい▲4五銀

何もなく後手に手番を渡すと逆転されそうな上図。
ここで決め手級の一手が出ます。
上図以下、▲4五銀(下図)
3七の桂が生きている内に突っ込んだ▲4五銀 が攻めを続ける好手でした。
もし△4五同銀 のように取ってくれたら▲同桂 が絶好の一手で寄り筋です。
上図以下、△8六飛 ▲8七歩 △2六歩(下図)
本譜は△8六飛 ~ △2六歩 でお互いに飛車取りになる忙しい局面になりましたが・・・
上図以下、▲3四銀(下図)
飛車を見捨てて角を取る▲3四銀 が狙っていた一手で寄せが見えてきました。
この手が▲2三歩成 からの詰めろなので後手は忙しいです。
上図以下、△5七桂成 ▲同金 △4二金右 ▲2三歩成(下図)
△4二金右 と受けた手に▲2三歩成 と迫った所で郷谷さんの投了となりました。
以下、△2三同金 は▲同銀成 ~ ▲3二金 から詰みなので△3一玉(下図)と下へ逃げますが・・・
上図以下、▲3二と △同金 ▲同角成(下図)
シンプルに金2枚を取り・・・
上図以下、△3二同玉 ▲4三金 △2二玉 ▲2三金(下図)
▲4三金 と打てばどこへ逃げても捕まります。
以下、△3一玉 に▲3二金右 の詰みですね。
最後に
何気なく囲った△2二玉(下図)が悪手だった一局でした。玉頭への攻めが返って早くなった感じがあるので、角換わり腰掛け銀では3一や4二で玉を待機するのがよさそうですね。
ミスに乗った勝ちとは言え、
・地味に厳しかった▲2五歩(下図)の継ぎ歩・・・
・玉頭に迫る▲4五銀 ~ ▲3四銀(下図)・・・
の攻めが見えてちゃんと指せた所は褒めたいです。
20局に1回あるかないかの奇跡の1つとして記録しておこうと思います。