今回は「きのあ将棋」の「テスト版ミギイさん」との一局から
を紹介します。
見所は、局後にAIで検討して示された
・序盤のポイント
・正しい攻め方
・指されていたら負けていた寄せの一手
の3つです。
四間飛車に急戦をやった時のヒントとしてお役立てください。
ミギイさんは右に玉を囲うのが好き?
先手が「私」、後手が「ミギイさん」です。ミギイさんは「右玉」を得意とするAIなので、形が整う前に右辺から攻め込もうと早繰り銀を狙ったのが上図です。
△3二金 と雁木模様にしたら▲3七銀 ~ ▲3五歩 と玉の囲いもそこそこに仕掛けるつもりでしたが・・・
上図以下、△4二飛(下図)
まったく予想してなかった四間飛車に振られ、こちらの狙いを外されました。
居飛車の右玉だけじゃなく右側に玉を囲う振り飛車もミギイさんの得意戦法なんでしょうか・・・
こうなると早めに▲3六歩 と突いたのが形を決めすぎる疑問手になるかもしれません。
▲5七銀 は当たりが強くなる疑問手
本局は▲3六歩 を突いた流れを汲み、オーソドックスな「斜め棒銀」を狙ってみました。
ゆっくり押さえ込む展開が好みなので・・・
上図以下、▲3四歩 ~ ▲3五歩 ~ ▲3七銀引 ~ ▲3六銀(下図)
と持久戦模様に進めます。
上図以下、△7四歩 ▲4六歩 △6三金(下図)
いつでも▲4五歩 から仕掛けを狙える形になったので文句のない序盤です。
本譜はここで▲5七銀(下図)と中央を厚くしたんですが・・・
AIで検討すると疑問手だったようで、ちょっと先手持ちだった評価値が互角の0を示しました。
▲5七銀 は後に△7三桂 ~ △6五桂 と桂を活用した時に当たってしまうマイナスが大きく、中央を備えるなら▲6八金直(下図)の方が良かったようです。
銀は4八にいた方がバランスがいいみたいですね。
本譜は▲5七銀 をトガめられる一手が終盤で生まれて危うくなります。
理想的な攻め筋
上図は、▲3七桂 と桂も攻めに使える形にしてから▲4五歩 と仕掛けた所です。
これは居飛車が悪くない流れで、正しく攻め切れれば優勢を築けます。
上図以下、△2二飛 ▲3四歩(下図)
本譜は△2二飛 と2筋の受けを重視したので▲3四歩 から押さえ込み路線で攻めていきます。
上図以下、△3四同銀 ▲4四歩(下図)
銀を3四に誘って▲4四歩 と取り込むのが中学生の頃に「羽生の頭脳」で学んだ懐かしい攻め筋です。
次に▲3五歩 や▲4五銀 などの指したい手が多く面白い展開ですね。
上図以下、△4二飛 ▲4八飛 △4六歩(下図)
お互いに4筋に飛車を振り、4四の歩を巡る戦いになっています。
△4六歩 が振り飛車らしい一手で、どう対応するかで形勢が左右しそうです。
本譜は▲4六同飛(下図)と素直に取ったんですが・・・
AIは▲3五歩(下図)と銀取りに打つ手を推奨していました。
これは一気に決めにいく強い一手ですね。
上図以下、△4四角 ▲同角 △同飛 ▲3四歩(下図)
銀得になったのでこのまま収まれば先手勝勢ですが・・・
上図以下、△3九角(下図)
この角打ちがけっこう怖い反撃です。
上図以下、▲4六飛 △同飛 ▲同銀(下図)
どう指すのか検討したら▲4六飛 とあっさり飛車交換をする手が最善と示されました。
これは押さえ込むことを考えていた私には浮かばない一手です。
上図以下、△2九飛 ▲9五歩(下図)
AIは
「飛車交換になっても後手からそこまで有効な手がない」
と見越していたようで、▲9五歩 と端に手を付けてから▲4一飛 などで絡めば先手優勢だそうです。
決める所でスパッと決める明快な指し方は参考になりますね。
押さえ込みにいった本譜の手順
本譜は△4六歩 を▲同飛(下図)と取ったので押さえ込み路線で進みます。上図以下、△4五歩 ▲同銀 △3五銀(下図)
単純な銀交換は先手有利のため、△3五銀 と飛車を狙うのが後手の読み筋でした。
上図以下、▲4九飛 △4一飛(下図)
ここで正しく指せれば先手勝勢になります。
・▲3四歩
・▲3四銀
・▲4六銀
などが候補ですが、どれがいいのか・・・
私はこの中のハズレを引き、勝勢になるはずの局面を互角に戻す大ミスをしました。
まずは本譜のハズレ手順から紹介します。
▲3四銀 はハズレ
本譜は▲3四銀(下図)と銀を出て攻めを狙ったんですが・・・上図以下、△4四角(下図)
単純に角を捌かれてここまでの押さえ込みで進めてきた流れがパーになりました。
上図以下、▲4四同角 △同飛 ▲同飛 △同銀(下図)
仕方なく大駒の交換をした上図は、単純な△4九飛 の打ち込みや△6五桂 の銀取りなどの厳しい狙いが多く、後手ペースの終盤戦になっています。
美濃囲いへの手掛かりがない状態で大駒の交換をしたのは完全な悪手でしたね。
▲3四歩 なら先手ペース
ここは▲3四銀 ではなく、押さえ込み路線を貫く▲3四歩(下図)と指していれば先手ペースでした。
実戦はこの後の手が見えなかったんですが・・・
上図以下、△2二角 ▲4六銀(下図)
角を浮いた状態にしてから▲4六銀 と4筋を攻めれば後手は対応が難しかったようです。
上図以下、△4四銀 ▲3五銀(下図)
角の素抜きを狙う▲3五銀 が気持ちいい一手ですね。
上図以下、△3五同銀 ▲2二角成 △3六歩 ▲2三馬(下図)
取るとダメと分かりつつも他の手も難しく、△3五同銀 ~ △3六歩 から攻め合いにいくのが最善と示されましたが、▲2三馬 の飛車取りから・・・
上図以下、△5一飛 ▲1七角(下図)
要の銀を狙う▲1七角 を打てば後手は切れ模様です。
後手は飛車の活用に手がかかるのもあり、この展開に持ち込めれば面白かったですね。
最善は▲4六銀 と出る手だった
▲3四歩 でも優勢ですが、ここでの最善手は▲4六銀(下図)と4筋に厚みを増す一手でした。
上図以下、△4四銀 ▲4二歩(下図)
駒が渋滞した感じがあって△4四銀 への対処が難しいと思ったら、▲4二歩 の叩きがありました。
上図以下、△4二同飛 ▲4三歩 △同飛 ▲3四銀(下図)
素直に△4二同飛 と取ってきたら▲4三歩 の叩きから▲3四銀 と飛車・角の両取りを掛け・・・
上図以下、△4一飛 ▲3三銀不成 △同銀 ▲4五桂(下図)
角を取ってから桂を活用すれば先手ペースの終盤になります。
なので、後手が勝負するなら△4二同飛 と歩を取らず△4五銀(下図)と大捌きを狙う方が良さそうです。
上図以下、▲4一歩成 △8八角成 ▲同玉 △2七角(下図)
冷静に▲4一歩成 と飛車を取れば先手優勢ですが、美濃囲いに手が付かない内に居飛車の右辺を荒らされて混戦に持ち込まれると勝負は分かりません。
上図以下、▲4八飛 △4七歩 ▲2八飛 △3六角成(下図)
居飛車は局面を落ち着けるため、攻め急がず丁寧に対応し・・・
上図以下、▲4五銀 △3七馬 ▲5一と(下図)
銀を取ってから飛車を見捨てて▲5一と と反撃にいけば先手ペースの終盤戦になります。
以下、△5一同金 なら▲3一飛 の両取りや▲4四角(▲7一銀 の狙い)が先手で入りますし・・・
△7一金 と逃げたら▲1二飛 ~ ▲6一銀 と絡めば手番を握って攻めが続きます。
こういう展開なら本譜より遥かに良かったですね。
負けていた終盤
上図は▲3四銀 の悪手から大駒の交換になった本譜の進行です。
どうにか勝負形になった所で跳ねてきた△6五桂 を▲6六銀 とかわしたのが悪手で後手勝勢の局面になっています。
本譜は△7九銀 と指してきたので3五の馬の助けもあってギリギリ持ちこたえましたが、ここで決め手がありました。
それがこの一手です。
上図以下、△8八銀(下図)
これで先手は受けが難しく敗勢でした。
▲8八同玉 と取ると、△7九角 ▲7八玉 △6八角成 ▲同馬 △8八金(下図)の送りの手筋から馬を取られて持ちません。
なので△8八銀 には▲6九銀(下図)と受けるくらいですが・・・
上図以下、△7九角(下図)
この角打ちが決め手で先手負けです。
上図以下、▲6五銀 △8九銀成(下図)
どうにか後手の攻め駒を減らすために▲6五銀 と桂を取っても、△8九銀成 の詰めろが厳しすぎます。
▲8九同玉 には△6八竜(下図)があって受けになりません。
△8八銀 は舟囲い攻略の定番の一手なのに見えていなかったのが致命傷でした。
自玉の危険度をもう少し理解できる終盤力が欲しいですね。
泥仕合の末に・・・
上図は、お互いに決め手を逃し合って迎えた最終盤です。
どうにか持ちこたえて後手が7手詰めを受けなかったので勝ちになりました。
ザっと詰み手順を書いておきます。
上図以下、▲7一竜(下図)
この王手で詰みです。
△7二銀打 には▲8二銀 △8四玉 ▲7六桂 △7五玉 ▲6六金(下図)とベタベタ王手すれば詰み・・・
本譜はここでミギイさんの投了となりました。
▲7一竜 に△8四玉(下図)と逃げた場合も・・・
上図以下、▲7六桂 △9三玉 ▲8二銀 △9四玉 ▲9三飛(下図)
▲7六桂 からシンプルに王手していけば詰みですね。
最後に
久しぶりにミギイさんと対局した一局からを紹介してみました。
今回のように飛車が4筋にいない場合・・・
上図以下、▲3四歩 △同銀 ▲4四歩(下図)
と押さえ込みにいくのは有効です。
あとは大駒の交換を極力避け、ジワジワと4筋に厚みを増す▲4六銀(下図)のような手で押していけばペースを握れます。
もし類似形になった時はAIが示した手順をお試しください。