今回は、きのあ将棋の
test-robo 強さ200
に「先手番 三間飛車トマホーク」で挑み、あっけなく負けた一局の反省をしながら振り返ります。
「郷谷さん」とは違う対応をしてきた「test-robo」攻略法のヒントとしてお楽しみください。
やや警戒しながら穴熊を組んでくる
先手が「私」、後手が「test-robo 強さ200」です。上図は、私のノーマル三間飛車に対し、持久戦模様の駒組みをされた所です。
この辺りまでは「郷谷さん(上級)」と似た感じでしたが、ここから少しずつ違いが出ます。
上図以下、△3二金 ▲4八玉(下図)
test-roboは素直に△1二香 から穴熊にはいかず、△3二金 と固める慎重派でした。
これには早い仕掛けも危険と思い、▲4八玉 で5七の地点を守りながら様子を見ます。
上図以下、△9四歩 ▲5六銀 △7二金 ▲4五銀(下図)
あんまり待機してもガッチリ穴熊に囲われて受けが間に合ってしまいそうなので▲5六銀 から角頭を狙うトマホーク定番の仕掛けを決行しました。
上図以下、△8四飛 ▲1七桂 △2四歩(下図)
端攻めを狙う▲1七桂 に対し「郷谷さん」とは違う対応が出ました。
「すぐに桂を跳ねさせないよ」
という△2四歩 ですが、これには定番の一手があります。
上図以下、▲2六歩(下図)
次に▲2五歩 と突っかけて桂を攻めに参加させる▲2六歩 が攻撃を緩めない一手です。
この形は実戦では初体験でした。
そしてここから「test-robo」の応手に悪手を指して敗勢に陥ります。
玉頭戦を簡単に制される

トマホークらしく桂馬を働かせようとした上図。
次の一手から形勢が後手へ傾いていきます。
上図以下、△1四歩(下図)
桂馬が飛ぶ前に取ってしまおうという攻め駒を責める端歩突きです。
こちらも桂馬を取られる前に攻めを狙います。
上図以下、▲2五歩(下図)
桂の跳ねる道を作る▲2五歩 で、端歩がくる前に桂を捌きにいきました。
ここで test-robo の上手い一手が出ます。
上図以下、△3五歩(下図)
8四の飛車の利きを2筋まで通し玉頭戦へ参加させてきたのが上手い一手でした。
この手への対応を誤り一気に形勢を損ねます。
上図以下、▲2七銀 △1五歩(下図)
攻めに厚みを足そうと▲2七銀 で援軍を送ろうとしましたが、△1五歩 とシンプルに端を伸ばされ困りました。
1筋の桂取りが間に合う展開になり攻め手がなくなりそうです。
上図以下、▲2六銀 △1六歩 ▲2四歩 △1七歩成(下図)
桂を取られてトマホークの売りが消し飛びました。
上図以下、▲1七同香 △同香成 ▲同銀 △2四飛(下図)
警戒していたはずの飛車が大活躍して玉頭戦は先手の大敗です・・・
上図以下、▲2五歩 △1四飛 ▲1六歩 △4四香 ▲1五香(下図)
後手は飛車を犠牲に先手玉の急所を狙う構想だったようです。
上図以下、△1五同飛 ▲同歩 △4五香 ▲5八金左 △5五桂(下図)
ここからの玉頭を強烈に突き刺す後手の攻めがキツく、粘れるだけ粘ったんですが結局ボロカスに敗れました・・・
途中までは本で学んだ展開だったのに一手変化されただけでダメになる弱さが嫌になりますね・・・
このままでは悔しいので感想戦がてらAperyに指し継いでもらってお手本を見せてもらいました。
形勢が一気に傾いた△3五歩 にはどう指せばよかったのか・・・
Aperyの解答をご覧ください。
Aperyのトマホーク

上図は、▲2五歩 と桂馬を働かせようとした手に対し、△3五歩 と飛車の横利きを通してきた所です。
先ほどはここで▲2七銀 と指してダメになりました。
どう指せばよかったのか、Aperyの指し手を紹介します。
上図以下、▲1四歩(下図)
軽く端歩を取ってしまうのが最善だそうです。
上図以下、△1四同香 ▲2七銀(下図)
香車を走らせてから▲2七銀 と上がり、先ほどと似た形に見えますが・・・
上図以下、△1六歩 ▲1五歩 △同香 ▲2六銀(下図)
ここで香取りになるのが大きな違いでした。
もし△1七歩成 と桂馬を取ってきても▲1五銀 と玉頭を圧迫しながら香車を取って攻めが続きます。
これはさすがですね。
実戦はこの展開を嫌ったのか test-robo は違う手を指してきました。
上図以下、△3六歩 ▲2四歩 △3七歩成 ▲同玉 △2四角(下図)
△3六歩 ~ △3七歩成 から玉を右辺へ引きずり出し、▲2四角 で角成りを狙っています。
しかし、Aperyにとっては読み筋だったようです。
上図以下、▲6五歩 △4四歩 ▲2五桂(下図)
トマホークらしく角と桂馬が急所に働く展開に持ち込んでいます。
ちなみに、ここで△5七角成 とされても▲6八金 △2四馬 ▲4四銀(下図)と攻めが続いて先手ペースです。
トマホークらしい指し回しで圧倒する

△5七角成 は無理と判断した test-robo は違う手で迫ってきます。
上図以下、△1七歩成 ▲6六角 △7四飛 ▲7五歩 △8四飛(下図)
△1七歩成 には▲6六角 と飛車に当てながら5七の地点を守り、▲7五歩 △8四飛 とすることで、いつでも▲7四歩 から飛車を狙う手を用意しました。
これも飛車が8四にいるトマホークならではの上手い手順です。
振り飛車を評価しないAIなのに、キッチリこの戦法を指しこなしているのはすごいですね。
上図以下、▲4四銀 △3三歩 ▲3四歩(下図)
急所を的確に突く▲3四歩 で攻めが筋に入ってきました。
ここで後手が対応を誤ったことで一気に先手勝勢になります。
上図以下、△3四同歩 ▲3五銀引(下図)
△3四同歩 と取ったことで角筋が通り、▲3五銀引 が絶好の開き王手になりました。
上図以下、△3三角 ▲同桂成 △同金 ▲2四銀(下図)
これ以上ないくらい角筋を有効に活かしてますね。
上図以下、△4四桂 ▲1五銀上 △1四歩 ▲7四歩(下図)
玉頭の駒が生きている内に飛車を封じる▲7四歩 を決行して勝負ありです。
上図以下、△1五歩 ▲3三銀不成 △同桂 ▲8四角(下図)
△7四同飛 と飛車交換を狙っても▲2三香 と打ち込んでから飛車を取られ、返って寄せが厳しくなります。
玉頭の脅威を少しでも緩和しようと△1五歩 と銀を取りましたが、普通に飛車を取られて寄り筋です。
上図以下、△6七銀 ▲7七飛 △7六銀打 ▲4一角(下図)
飛車取りに銀2枚を使った所で▲4一角 と打てば後手は受けが難しくなっています。
上図以下、△4五桂 ▲4六玉 △2三歩 ▲2四金(下図)
▲2四金 でガッチリ上部を抑え、先手の勝になりました。
上図以下、△7七銀成 ▲2三金 △2一玉 ▲2二歩(下図)
ここで test-robo の投了となりました。
以下は、△2二同銀 ▲3二角成 △1一玉 ▲2二馬 の詰みですね。
最後に

上図の△3五歩 に対し、▲2七銀 と攻め駒を足す発想は同じでも、ちょっとした手順の違いで形勢がガラッと変わる面白い将棋でした。
私が弱かっただけで「test-robo(強さ200)」にもトマホークは有効なのが分かったので、今回のAperyの手順を覚えておくと攻略に使えると思います。
この反省を活かしてリベンジマッチをしないとな・・・