きのあ将棋のテスト版AI
「あらきっぺ」さん
と遊んだ一局を紹介します。
個人的にかなりオススメの本として少し前にレビューを書いた
「現代将棋を読み解く7つの理論」
の著者である「あらきっぺ」さんがAIとして誕生したみたいです。
元奨励会三段という実力をそのまま再現したらほとんどの人が勝てないので、どんな調整をして一般向けにしたのか・・・
ギリギリアマ二段を自称するニートが挑んだ一局を紹介します。
オーソドックスな持久戦に進む
先手が「あらきっぺ」さん、後手が「私」です。上図は、後手のノーマル三間飛車に対し、先手が居飛車穴熊に進んだ所です。
郷谷さん(上級)に近いオーソドックスな駒組みで正統派な感じがしますね。
上図以下、△5四銀 ▲6六銀 △3五歩 ▲8八銀(下図)
いつも通り△5四銀 から△3五歩 で石田流を目指します。
上図以下、△4二角 ▲7九金 △3六歩 ▲同歩 △同飛(下図)
先手は3筋を放置する方針だったので、とりあえず一歩交換をして様子を見ました。
上図以下、▲3七歩 △3四飛 ▲5五歩(下図)
▲5五歩 もよく見る一手ですね。
過去の検討では銀を引くのが正着と示されまくったんですが、
「今回はいけるかな?」
と思って前に出てみました。
やっぱり銀は引く一手
上図以下、△4五銀 ▲5八金 △3六歩 ▲同歩 △同銀 ▲6八角(下図)
棒銀っぽく銀を攻めに使った所、▲6八角 の反撃に「あっ」となります。
「やっぱり銀は引いてジックリいくべきだった・・・」
と思いましたが、もう遅いので突っ込みます。
上図以下、△2七銀成 ▲3五歩(下図)
ここが運命の分かれ道で、▲3五歩 じゃなく▲2七同飛(下図)なら先手有利だったようです。
上図以下、△3八飛成 ▲3七飛 △5八竜 ▲3二飛成(下図)
と後手の狙い通り進んだ上図は意外と後手から手がなかったからです。
「金を取れればいける」
という読みはズレていたようです。
後手優勢になるけれど・・・
局面を戻します。上図は、▲3五歩 と飛車の取り合いを強制された局面です。
ここから先手に悪手が出て後手優勢になります。
上図以下、△2八成銀 ▲3四歩 △2九成銀 ▲4一飛(下図)
▲4一飛 が悪手でした。
上図以下、△3一歩(下図)
△3一歩 から飛車の捕獲を狙って後手優勢です。
上図以下、▲5四歩 △同歩 ▲2四歩 △2八飛(下図)
ここまで良い所もなく5連敗くらいしていたので
「このチャンスは逃せねぇ!」
と徹底して受けに回りました。
上図以下、▲5九金 △5一金引 ▲4二飛成 △同金 ▲2三歩成(下図)
△5一金引 がちょっと焦った一手で、▲4二飛成 の飛車角交換をされて形勢が詰まっています。
しかし、▲2三歩成 が疑問で後手優勢に戻りました。
ここは▲2二角 と打たれていたら互角だったようです。
▲2三歩成 には当初の予定通り受けに回ります。
受けに回ったのに受けミスる
上図以下、△2三同飛成 ▲8六角 △5二金寄 ▲3一角成(下図)
△5二金寄 では△3二金 が正着でした。
馬を作られた上図はちょっと先手が盛り返しています。
パッとしない寄せ
上図は、数手進んで寄せ合いになった所です。
2枚飛車の力が強烈なので後手優勢なんですが、ここからいつもの筋悪が出ます。
上図以下、△8四桂(下図)
手筋っぽい桂打ちですが、ここでは△6四香 が勝りました。
△8四桂 は攻めのポイントがズレているので先手に粘りを許してしまいます。
上図以下、▲7七銀引 △9五歩 ▲8六歩 △9六桂(下図)
どうにか桂馬の顔を立てようと端に跳んで攻めました。
しかし、ここは△9六歩 と伸ばした方がよかったみたいです。
上図以下、▲9二歩 △同香 ▲4一馬 △8八桂成 ▲同銀(下図)
なんか攻めが軽い感じがしますね・・・
上図以下、△6九銀 ▲6八金寄 △5八銀成(下図)
△5八銀成 では△7八香 と打った方がよかったみたいです。
上図以下、▲5八同金 △7九飛成 ▲同銀 △同竜 ▲8八銀(下図)
寄せの決め所を迎えていますが・・・
上図以下、△6九竜(下図)
怖くて踏み込めず竜を逃げて長引きます。
ここは△6九竜ではなく△7八銀 ▲7九銀 △8七香(下図)と竜を捨てて絡むのが正着でした。
これなら先手は受けが難しくキレイな勝ちでしたね。
グダグダした寄せ
竜を逃げて勝ちのチャンスを逃した上図・・・
ここから先手の粘りに焦って決め手を逃します。
上図以下、▲6八飛(下図)
ここで△8七香 と打っていれば後手勝ちだったようです。
しかし実戦でそんな手が見えるわけもなく・・・
上図以下、△6八同竜 ▲同金 △3八飛 ▲5二歩成(下図)
と進んで先手にも反撃の余地を与えてしまいました。
上図以下、△6八飛成 ▲6二と △8七香(下図)
もう四の五の言ってられないので△8七香 から決めにいきます。
上図以下、▲7九金 △8八香成 ▲同金 △7九銀(下図)
詰めろで絡む展開になってどうにか勝てそうです。
上図以下、▲7二と △同金 ▲7八飛 △8八銀成 ▲同飛 △同竜 ▲同玉(下図)
自玉は詰まないので慎重に詰めろで迫ります。
上図以下、△5八飛 ▲7八飛 △6八金 ▲7九香(下図)
やっと詰みです。
上図以下、△7八金 ▲同香 △7九銀 ▲7七玉 △6八飛成(下図)
ここで先手の投了となりました。
久しぶりに1勝までの道のりが遠い将棋で疲れましたよ・・・
中盤の甘さや終盤の寄せをもっと鍛えないと連敗地獄は続きそうです・・・
最後に
「あらきっぺ」さんをモデルにしたAIは、郷谷さん(上級)の流れを汲んだ王道のAIとして「きのあ将棋のラスボス」になりそうですね。絶対に勝てないAIは検討用ソフトで充分なので、アマ四段と互角くらいに調整してもらえたらギリギリ希望があって楽しめそうです。
正式なリリースではどうなるのか・・・
期待のAIですね。