今回は振り飛車党のバイブルとして名高いこちらの本を紹介したいと思います。
「四間飛車を指しこなす本1」です。
発売したのが2000年という事なので、かれこれ19年も販売され続けている息の長い本です。
絶版にならないという事は売れ続けているという事、それだけ多くの人に読まれ続けてるって事なんですね。
将棋の本ってあんまり売れないからか、すぐ絶版になるのでこれはすごい事です。
でもそれも納得、これは名著中の名著だったから・・・
これを読まずに四間飛車を語るなって話ですよ。
私、将棋を始めたのが中学生の頃なので、かれこれ20年近く将棋をやっているんですが、なんで今までこれを読まずに来たんだと後悔した本です。
こんな分かりやすくて読みやすくて為になる本は今までなかったと言えるほどの本だったからです。
本のタイトルの通り、これを読めば四間飛車を指しこなす事ができるんじゃないかと言えるほどね。
いや、ホントすごい、最高の本、これを紹介しないで何を紹介するんだって感じです。
もう無駄話をするのも勿体無いので、さっそく本の紹介をしたいと思います。
振り飛車を覚えるならまずこの本からで間違いないです
振り飛車の基本といったらやっぱり「四間飛車」ですよね。バランスがよく一番オーソドックスな振り飛車ですから。
振り飛車をやるならまずは四間飛車を学び、基本的な振り飛車の感覚を養うのが分かりやすく上達への近道かと思います。
そうなった時、まずどうやって学べばいいかと悩んだらこの本です。
この本からスタートすれば間違いないと思います。
基礎の基礎からスタートするので、何も知らなくてもスムーズに四間飛車を学ぶ事ができるからです。
本当に基礎からですよ。こんな序盤から始まりますから。(下図)
この局面、まずは四間飛車という形にするにはどうしますか?
という「いや、そこから?」というほどの初心者に優しいスタートです。
そしてもう1つの基礎、囲いについても・・・(下図)
ここで囲いを完成させてください
というもうアレしかない一手の出題です。
でも
「四間飛車って何?」
「何をどうすれば四間飛車なの?」
「囲いってなに?」
という初心者の方にとってはありがたい構成ですよね。
本当に何も知らなくても1から丁寧に教えて貰えるので混乱する事もなく流れるように四間飛車を学ぶ事ができます。
なので、振り飛車を覚えようと思ったならまずこの本からで間違いないですよ。
次の一手方式なので頭に入りやすい
この本は普通の定跡書とはちょっと違い、「次の一手方式」で書かれています。次の一手というのは、ある局面を出されて
「ここでどう指しますか?指し手を示してください」
と問われる形式の事です。
例えば下図のような局面を出され、
後手が飛車先の歩を伸ばしてきました、ここで振り飛車には絶対の受けの一手があるんですがどう指しますか?
と指し手を聞いてくる感じです。
これがすごく読みやすいんですよ。
ポイントとなる局面を提示され・・・
そこでどう指せばいいかを考え・・・
答えを出してから進む・・・
という流れによって、まるで実戦を指しながら隣に先生がいて手取り足取り教えて貰ってるような状態になるからです。
局面もただ示されるのではなく、上に書いたようにキチンと答えにたどり着けるようにアドバイスがついているので、
「この局面では何を考えればいいか」
が分かるからとても優しいです。
ここまで丁寧な将棋の定跡書はないんじゃないかってくらいにね。
序盤、中盤、終盤とポイントの局面を1つ1つ解いていく事で、四間飛車のポイントが掴めていくので漠然と定跡書を読むより覚えやすいかと思います。
何から何まで初心者に優しい設計ですね。
振り飛車のさばき感覚が養える
振り飛車を指す上で大切なのは「さばき」という感覚です。「さばき」というのは言葉で説明するのは難しい言葉なんですが、大雑把に言うと
「いかに駒を効率よく最大限に働かせるか」
という事になると思います。
これが将棋の基本でもあり極意でもあるすごく難しい感覚なんですが、この本ではそのさばきの感覚を養うことができます。
今、まさにその駒がさばける(最大限に働かせる)局面を提示してくれて
「ここで駒をさばいて下さい」
という問題があるからです。
貴重なチャンスを逃さず、勝機へ変えるためのね。
そういった問題を何問か解く内に
・さばける局面
・さばきとは何か
に気付けるようになってくると思います。
そして、将棋というゲームはそれに気付けるかが大切になってきます。
というのも、実は将棋ではさばける局面というのは中々出てくる事はないからです。
なぜなら、お互いに相手の駒をいかにさばかせないかを考えながら指すからです。
でも、相手にミスがあると駒をさばけるチャンスが訪れる事があります。
となると、まずそのさばける局面か気付く嗅覚みたいなのが必要になるんですね。
その「ここは駒をさばけそう」という感覚を養うためには、さばける局面で的確に駒をさばく経験が必要になってきます。
この本にはその駒がさばける局面というのがいくつか登場するので、そこで駒をさばく感覚を覚える事ができます。
「こういう感じだといけそう・・・」
「これをさばくって言うのか・・・」
みたいな感じで何かを感じ取る事ができるかもしれません。
この本は初心者向けみたいな感じでここまで紹介してきましたが、そういった点では初段前後の方にも読んで貰いたい本ですね。
この何ともいえない難しい「さばき」という感覚・・・
この本をキッカケにゆっくり学んでいきましょう。
一通りの急戦定跡を学ぶ事ができる
四間飛車を指しこなす本というタイトルですが、この本で指しこなす事ができるようになるのは急戦についてです。将棋には「急戦」と「持久戦」という大きく分けると2つの戦い方があるんですが、急戦というのはその名の通り、急な戦い、早めに開戦してくる戦形の事です。
持久戦については「四間飛車を指しこなす本2」で解説されているので、この本が読み終わったらそちらをどうぞ。
この本ではメジャーな急戦定跡が一通り網羅されています。
「斜め棒銀」(下図)
「△6五歩早仕掛け」(下図)
「棒銀」(下図)
「山田定跡」(下図)
「矢倉引き角」(下図)
といった感じでね。まず覚えておかなければいけない定跡を覚える事ができます。
序盤、中盤の振り飛車には欠かせない一手、感覚の解説に始まり、終盤の寄せきる所まで解説されている丁寧ぶり。
対急戦を迎え撃つ上で、振り飛車を指すなら大切な感覚を養う事ができます。
例えば、こんな局面。(下図)
先ほどの斜め棒銀の画像ですね。居飛車が攻めて来たんですが、ここで振り飛車ならこう指す所、という一手があります。分かりますか?
もう1つ、例えばこんな局面(下図)
ここでも振り飛車なら指しておきたい一手があります、分かりますか?
答えは書けないので詳しくは本書をご覧下さい。
こういう手がパッと見えるようになると振り飛車党として胸を張れますね。
そして最後に掲載されている終盤の受け、寄せ問題も見逃せません。
振り飛車で出やすい終盤の受け方、寄せのコツを学ぶ事ができます。
これを知ってるか知らないかで勝敗に関わってくる事もあるのでとてもありがたいです。
今は分からないという方も、この本を読む事で振り飛車の序盤、中盤、終盤のコツを掴めますから安心してください。
このように、序盤、中盤、終盤と振り飛車の大切なポイントを解説してくれているので、この本を読めば四間飛車の対急戦定跡の基本はだいたい身につきます。
知らないと一気に攻め潰されてしまう急戦ですが、読んだ後は急戦で来られてもしっかり受けて立つ事ができるようになると思いますよ。
最後に
振り飛車をやるならまずこの本から。「四間飛車を指しこなす本 1」
は、そう言えるほどオススメしたい本だったので紹介してみました。
私は居飛車党なんですが、最近、気分転換に振り飛車をやっていて
「な~んか上手くいかないんだよな~、振り飛車の感覚が掴めないんだよな~」
となっていたんですが、この本を読んだら何とな~く振り飛車の感覚をつかめてきたような感じになった気がします。
相手の力を逆用するような一手というか・・・軽く受け流す一手というか・・・
そういう感じの手を考えるようになってきました。ホントこの本で振り飛車を教わってよかったです。
それに、教えてもらえなければ全く思いつかない一手の発見もあったりして感動しましたしね。
特に感動したのはこの局面。(下図)
私の実戦でこの局面になった時、私はここから上手く指せず負けてしまいました。
でも、この本で全く同じ局面が載っていて、ここでは振り飛車が有利になる一手があったという事を知ったんです。
どんな手だと思いますか?わずか三手で振り飛車が有利になります。私にはけっこう意外な手でした。
居飛車の抑え込み感覚とは違う、振り飛車のさばき感覚がないと指せない一手だなと・・・
「これぞ振り飛車!」
「なるほどな~」
「こんな手が・・・」
「探せばあるもんだな・・・」
って感じですね。
本のネタバレになってしまうので答えを書く事はできないんですが、気になった方は本書をご覧下さい。
163ページの問137で答えが書いてあります。
ピンチに見えても実はさばく事の出来るチャンスの局面だったというのを知れたのは大きかったです。
「振り飛車ってのは奥が深いな~」
って思いましたね。
こういうキレイなさばきを常にできるようなカッコイイ振り飛車を指せるようになりたいと思いました。
振り飛車を上手に指しこなしたい
キレイにさばける将棋を指したい
そんな希望がある振り飛車党のみなさん、まずはこの本で振り飛車の基本から学んでみませんか?
この本を読む前と読んだ後では、間違いなく振り飛車に関する感覚が変わっていると思います。
振り飛車らしいキレイなさばける将棋
そういった将棋を指したいなら本当にオススメです。
この本なら間違いないので、ぜひ読んでみてください。