今回は、極限早繰り銀の最新の指し方を学べる本
「もはや死角なし!進化版 極限早繰り銀」
のレビューをしたいと思います。
この本は、前作の
「史上最速の攻撃戦法 極限早繰り銀」
を出版してから対策が進んだ後手への対応手順をサラッと学べる本です。
前作では△2二銀型(下図)への攻め方がメインでしたが・・・
本書では△4二銀型(下図)への攻め方がメインになります。
後手の対策が進んだ結果、
「極限早繰り銀には△4二銀型で迎え撃つのが有力」
となったので、その指し方をザっと紹介している感じですね。
ただ、まだ定跡として整備されているわけではないのもあり、深い所までは解説されていません。
とりあえず知っておく必要がある有力な基本手順を学びたい人向けの本ですね。
この記事では、一通り読んだ感想を交えつつ、大まかな内容を紹介するので、購入を迷ってる方の参考になれば嬉しいです。
まずは基本のおさらい
第1章の最初は、極限早繰り銀の基本となる△2二銀型(下図)への攻め筋のおさらいから始まります。「まずはこれを知らないと始まらない」
という手順なので、サラッと基本に触れるには最適な内容ですね。
数ページだけですが、高段者の方ならこれで充分かもしれません。
△4二銀型への攻め方・注意点
基本のおさらいが終わったらメインとなる△4二銀型(下図)への指し方の解説に入ります。△4二銀 は、ここ数年で見直された雁木囲いも視野に入れた柔軟な一手ですね。
この形ではカウンターを狙われる筋があるので、△2二銀型の時のような感覚で指すと痛い目に遭います。
△4二銀型は今後の研究課題というのもあり、約50ページのみでそこまで詳しい内容ではありませんが、
・序盤の落とし穴になるカウンターを食らわない駒組み
・この形への基本的な狙いや攻め筋
が学べる所に価値があります。
ここで基本を抑えてからAIでの研究に進むと理解が深まると思いますよ。
後手早繰り銀
極限早繰り銀は先手番ならではの速攻が売りですが、後手番でも使えなくはありません。第2章では、その後手番での早繰り銀の解説になります。
角換わり模様のスタート(下図)から角交換をせず・・・
△6二銀 ~ △7四歩 ~ △7三銀(下図)と進めるのがスタートです。
先手番の時と違って早めに飛車先の歩交換を許しているのもあり、先手からも
・急戦策
・持久戦策
という狙いがあって一方的に攻める展開にはなりにくいです。
後手早繰り銀を指すなら先手の急戦策への受け方を知っておかないといきなり負けてしまうので、この手順を学べるだけでも価値がありますね。
先手でも後手でも早繰り銀1本に絞って得意戦法にしたいなら必読の内容だと思います。
雁木、矢倉への指し方も学べる
第4章では雁木への早繰り銀(下図)を・・・第5章では先手矢倉への早繰り銀(下図)を解説しています。
現代らしい一手の緩みも許さない速攻で、対策を知らない相手ならあっという間に倒せそうな手順です。
「飛車先不突き雁木」への攻め筋は、▲3五歩 から仕掛ける早繰り銀の基本になる攻め筋として参考になりますよ。
個人的には対矢倉での▲4六角牽制型(下図)への指し方が学べたのが大きかったです。
「あ~そうか・・・そういう攻め方があるのか・・・」
という、早繰り銀だけにこだわらない柔軟性は参考になりましたね。
対矢倉への有力な対策としてこれからお世話になりそうです。
最後に次の一手での振り返りがある
一通り読み終えたら、最後の第6章で要点を抑えた次の一手
が10問出題されます。
極限早繰り銀を指すなら絶対に忘れてはいけない手を振り返ることで理解が深まりますね。
頭に入ったと思っていても、いざ出題されるとけっこう迷ったりするので、こういうまとめで終わるのはありがたいです。
間違えた所を改めて読み返すと記憶に焼き付きやすい気がしますし、まとめは次の一手で出すのが一番かもしれませんね。
最後に
極限早繰り銀への対策が進化した今、△4二銀型への対策手順を知らないなら「もはや死角なし!進化版 極限早繰り銀」
は読んでおく価値のある一冊です。
「前作を読んだけど、実戦では△4二銀型が多くてイマイチ勝てない・・・」
という方は、この本で指し方を学べば悩みも解消できると思いますよ。
前作と併せて早繰り銀の攻め筋をしっかり学び、1手の緩みも許さない速攻で攻め潰しちゃいましょう。