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「将棋奇襲② 新鬼殺し戦法」のレビュー 含みを持たせたハメ手のレクチャー

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今回は、序盤から罠が満載な戦法を解説した

「将棋奇襲② 新鬼殺し戦法」


のレビューをしたいと思います。


この本は、ハメ手の定番「鬼殺し」を進化させた

新鬼殺し戦法

を解説した本です。

「新鬼殺し」は受け方を知ってる相手には通用しない「鬼殺し」と違って

「ハメ手風の手順を回避されても定跡形や力戦形として戦える」

という利点があり、単純に終わらない幅の広さが魅力の戦法ですね。

初見で対処するのは難しいので

「怪しい手順で序盤から時間を使わせたい」

「自分だけ深く研究した勝ちパターンに持ち込みたい」

といった「対人間」との一発勝負を意識した時に有効な戦法かもしれません。

振り飛車党の人なら変化球として使えば楽しくなりそうな戦法ですし、知識として入れておく価値があると思いますよ。

この記事では

・大まかな内容
・収穫のあった部分

に触れながら感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。


「鬼殺し」の基本から解説されている

「新鬼殺し」の解説の前に、まずは従来の「鬼殺し」を知らないと始まらないので

・「鬼殺し」のハメパターン
・それを回避する受け方

の基本手順をサラッと解説しています。

初手から、▲7六歩 △3四歩 ▲7七桂(下図)

▲7七桂 の怪しい桂跳ねから・・・

上図以下、△8四歩 ▲6五桂(下図)

いきなり桂を飛び出すのが「鬼殺し」なのは有名ですね。

次の一手を知ってるかでハメ手を受け切れるかの分かれ目になるんですが・・・

もし上図を見て△6二銀 と指そうと思った人はカモです!

それだと定番のハメパターンに入ってしまいますから。

もし「鬼殺し」の受け方を知らないなら本書で学ぶと「新鬼殺し」までセットで学べるのでお得かもしれません。


「新鬼殺し」とは・・・

「新鬼殺し」は、初手▲7六歩 に△8四歩(下図)と指してきた時に狙える戦法です。

上図以下、▲7五歩 △8五歩 ▲7七角(下図)

いきなり▲7五歩 と突き、

「早石田の序盤を間違えたのかな?」

「7五の歩を目標に反発していけば優勢になれそう」

と思われそうな形に進めます。

上図以下、△3四歩(下図)

△3四歩 と角をぶつけられた所で▲6六歩 と指せば一局の将棋なんですが、ここで

「え? クリックミス? ウッカリ?」

と思われそうな一手を指すのが「新鬼殺し」の始まりです。

具体的な手は読んでからのお楽しみとして伏せますが、知識なしでこの手は指せないですね。

「▲6六歩 以外は無理じゃない?」

「角道を止めないと角交換から馬を作られそうだけど大丈夫?」

という疑問こそがハメパターンへ誘う罠になっているのが面白い所です。

本書では

・角交換から色々な角打ちへの対応手順
・新鬼殺しならではの指し方

が詳細に解説されているので

「角交換から馬を作れば勝ちでしょ」

と油断して突っ込んできた相手を数手後に後悔させる「ハメ手ならではの地獄」に落とすことが可能になります。

「こんな手が成立するんだ・・・」

「将棋って深すぎてわけが分からないな・・・」

と思ってしまう乱戦はメチャクチャ面白いですよ。

所々で出てくる「急所の手筋」は横歩取り超急戦などの乱戦を勝ち切る時にも活きると思います。

こういう将棋を知るとハチャメチャな将棋を制するコツを掴めるかもしれませんね。


相手が誘いに乗ってこなかった時の指し方が参考になる

上図の局面で▲6六歩 を指さないことに危険を察知し、相手が角交換の誘いに乗らないことも考えられます。

そうなった時に「定跡形と合流できる」のが「新鬼殺し」の利点です。

伸ばした7筋の歩を有効利用して

・急戦でいくなら「早石田急戦」(下図)


・持久戦にするなら「力戦三間飛車」(下図)

のような形に進めるのが定番の流れになります。

その流れを汲み、本書では

・第4章で「石田流」
・第5章で「力戦三間飛車

がサラッと解説されているので、ハメ手路線を回避されても大丈夫なように配慮がされています。

ここで面白かったのは「早石田急戦」で「後手よし」になっている局面に疑問を感じた米長先生が

「定跡からもう一歩進んで先手も戦える形に持ち込む手順」

を解説していた所です。

これは意外な収穫でしたね。

冷静に見ればそこまで大差ではない局面を実戦的に解決する方法として参考になりました。

現代ならAIも使えば色々と改善案が見つかるかもしれませんね。


最後に

対人間に有効な奇襲戦法を学びたいなら

「将棋奇襲② 新鬼殺し戦法」


は参考になる一冊です。

三間飛車が好きな身としては、序盤から駆け引きがある「新鬼殺し」を取り入れて幅のある序盤を目指すのもアリだと思いました。

単調なハメ手と違って

「理想とする手順を回避されても戦える」

というのが心強いですしね。

人間を惑わす複雑な力戦形の将棋を取り入れたいならオススメなので、興味があったら読んでみてください。

本書はかなり古い本なので古本屋などでしか見かけませんが、現在では

「ネット将棋で勝つ米長の奇襲」


として

・「将棋奇襲① 角頭歩戦法」
・「将棋奇襲② 新鬼殺し戦法」

の2冊が1冊にまとまって販売されています。

どちらの戦法もただのハメ手で終わらず力戦形の一局の将棋になるので

「ハマればよし、ハマらなくても研究の範囲内」

という有利な戦いに持ち込みたいならオススメです。