今回は、端攻めの基本を学びたい級位者にオススメの本
「将棋・端攻め全集」
のレビューをしたいと思います。
この本は
「将棋・端攻め全集」
のタイトル通り、1筋、9筋を中心に狙う「端攻め」に焦点を当て
① メジャーな端攻めの手筋
② 定番の戦法でよく見る端攻め
③ プロの実戦で現れた端攻め
といった流れで基本的な端攻めを一通り学べる本です。
基本とは言っても正しく学ばないと気付けないような手もあり、読む前と読む後で端攻めの見え方が変わって楽しくなると思います。
「それっぽい端攻めを覚えたけどたまにミスる」
「持ち歩の数や形別での有効な攻め方を知りたい」
「もう少し筋の良い端攻めを覚えたい」
といった感じで
「ちょっと基本的な攻め筋を覚えてきたけど、もう少し質を上げながらバリエーションを増やしたい」
と思っている級位者の棋力アップにピッタリの内容ですね。
この記事では
・ちょっとした端攻めの問題
・個人的に収穫のあった部分
を元に大まかな内容と感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。
ちょっとした端攻めの問題
この本では・居飛車 vs 振り飛車
・矢倉
・棒銀
・角換わり
・横歩取り
など、メジャーな戦法での端攻めを紹介しているんですが
「端攻めってどんな感じなの?」
「そんなに有効だったりする?」
といった疑問を持っている方もいると思うので、まずは私の実戦から切り取った局面を元に端攻めの魅力や雰囲気を感じてもらおうと思います。
第1問 角換わりでの端攻め
上図は、先手が2筋で一歩交換をして飛車を引いた後に△2二歩 と固く受けた所です。
しかしこの手は疑問手でした。
ここで端から手を作る手順があるんですが、どう指せば攻めが成立するでしょうか。
答えは数行下に書くのでちょっと考えてみてください。
では答えです。
上図以下、▲1四歩 △同歩 ▲1三歩(下図)
▲1四歩 と突き捨てて▲1三歩 と垂らすのが定番の手筋です。
この手には
・△1三同桂
・△1三同香
の2つの応手が考えられるのでそれぞれ解説します。
ますは△1三同桂(下図)と桂で取った場合から・・・
この手には弱くなった3筋を狙うのが効果的です。
上図以下、▲3五歩 △同歩 ▲4五桂(下図)
3筋を突き捨ててから▲4五桂 と跳ね・・・
上図以下、△4四銀 ▲3四歩(下図)
▲3四歩 と垂らせば、次の▲3三歩成 が厳しく先手ペースです。
端に垂らした一歩から生まれた有力な攻め筋ですね。
この展開が嫌なら▲1三歩 を△同香(下図)と取る手もあります。
これには▲2五桂 と跳ねて銀・香の両取りを掛けても悪くありませんが、端攻めの手筋が刺さるもっと有効な一手があります。
上図以下、▲1二歩(下図)
香車の下に打つ▲1二歩 が攻めを続ける好手です。
上図以下、△4四銀 ▲1一歩成(下図)
△4四銀 と桂を逃げるスペースを作って受けるくらいですが、▲1一歩成 と「と金」を作り・・・
上図以下、△3三桂 ▲1二と(下図)
ジッと引いた▲1二と の香取りが受けにくく先手ペースです。
この端から手を作る手順は実戦では気づかず、局後にAperyに示されて知りました。
「端歩を突き捨てて▲1三歩 と垂らしただけで攻めが繋がるとは・・・」
と、端攻めの魅力を感じた手順でしたね。
第2問 美濃囲いを寄せる端攻め
上図は、美濃囲いの金を狙って▲6二香 と打った手に対し、△7一金 と逃げた所です。
ここで初めて見た時は感動した寄せの手順があります。
端を絡めてどうやって寄せるのが効果的か考えてみてください。
答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、▲9五歩 △同歩 ▲9二歩(下図)
端を突き捨てて▲9二歩 と香車を叩くのが上手い一手です。
△9二同玉 は▲7一竜 と金を取られてしまうので△9二同香(下図)と取るくらいですが・・・
上図以下、▲9一角(下図)
空いた9一のスペースに、守りに使うには頭が丸くて弱い角を捨てるのが好手です。
上図以下、△9一同玉 ▲7一竜(下図)
後手玉を隅に送り、浮いた金を▲7一竜 と取れば寄りですね。
上図以下、△8二角 ▲7二竜(下図)
受けるなら△8二角 くらいですが、▲7二竜 と銀を取れば盤石です。
先ほど△9一角 と角を捨てた効果で受ける駒がなく、仮に△7一角打 と打っても竜取りにならないので手番を握って寄せに入れます。
歩1枚で寄り筋に入る▲9二歩 の叩きは本当に感動した一手でした。
実戦的な端攻めを学べる
本書では、例題として出した上記2問のような有力な端攻めを学ぶことができます。個人的に収穫があったのは
・棒金(下図)での攻め筋
・振り飛車での端攻め(下図)
の2つですね。
けっこう実戦で似た局面になった時に失敗していたんですが、この本を読んだら正しい手順を知れて指し方が改善されました。
一通り「基本手筋」「戦法別の端攻め」を学んだ後は、12例も紹介された
プロの対局で現れた端攻め
を見ることで実戦としての感覚も学ぶことができます。
端攻めでポイントを上げ、盤面全体に影響を及ぼす実戦ならではの指し方は参考になりますよ。
ここまでの流れで端を絡めて攻める強烈さを知ると、実戦でも常に「端から手が作れないか」を考えるようになってきますね。
実戦で歩を2~3枚持つとワクワクしてきますから。
手がないように見える局面でもちょっと端に歩を垂らすだけで手になったりしますし、学んだ手筋で手が繋がって優勢になれた時は最高ですね。
まだ失敗も多いですが、端から手を作る発想が少しでも浮かぶようになったのは大きな価値がありました。
最後に
「将棋・端攻め全集」は、端攻めについて分かりやすくまとまっているので基本から学びたい級位者にオススメの本です。
図から図への手数も3~5手くらいで読みやすいですし、初めての手筋本としても良いと思います。
手筋を知っているかどうかで手の見え方も変わってくるので、少しでも端攻めに興味があるなら読んでみてください。
攻め筋が広がって棋力アップのキッカケになると思いますよ。