今回は実戦詰将棋の問題図になる2手前から始まります。
上図は、そこそこに後手玉に迫り
「自玉はまだ持ちそうだし、もうちょいで勝てそうかな?」
と思っていた所、王手の連続から△3七金 とジッと桂を取られたらほぼ受けなしになって困っている局面です。
「どうしよう・・・余裕かましてる場合じゃなかった・・・」
「2九の飛車がいなければちょっとは延命できそうなんだけど・・・」
と考えた末に指したヤケクソの一手から後手玉を詰み形に持っていくことができました。
それがこの一手です。
上図以下、▲2四飛(下図)
飛車を突っ込み
「どうせ負けるなら最後まで足掻いてから負けてやる」
という投了に近い一手でしたが・・・
上図以下、△2四同玉(下図)
すんなり玉で取ってくれたので後手玉に詰みが生じました。
実戦では詰むとは思っておらず、とりあえずそれっぽい王手を掛けていったら詰み形っぽくなって
「あれ? もしかして詰むの?」
と思い、慎重に考え直したらたまたま詰んだんですが・・・
改めて検討したらちゃんと詰んでいたので実戦詰将棋として出題します。
ここから11手で詰む手順を考えてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え

では答えです。
上図以下、▲3五銀(下図)
△3五同歩 と取ってくれれば▲同馬 で詰む「最後のお願い」みたいな一手から詰んでいました。
上図以下、△1三玉 ▲1二金打(下図)
当然△1三玉 と下へ逃げますが、▲1二金打 から要の銀を消すと・・・
上図以下、△1二同銀 ▲同金 △同玉 ▲1三香(下図)
守りが薄くなったので▲1三香 で上部に誘えば8一の飛車が活用できる詰みが見えてきました。
△1三同玉 には▲1一飛成 △1二香 と下への退路を塞げば▲2四銀打 の詰みなので・・・
上図以下、△2三玉 ▲2一飛成 △2二金打 ▲2四銀打(下図)
△2三玉 と逃げますが、こちらも▲2一飛成 から下への退路を塞げば▲2四銀打 まで同手数で詰みます。
この11手詰めが最短の詰み手順です。
21手も掛かる詰み手順もあります
ちなみに、実戦は初手が▲2六香(下図)という一手から詰ましました。なんとなく上部脱出を嫌った一手ですね。
この場合、先ほどと違って手数が伸びて面倒な展開になります。
上図以下、△2五歩 ▲3五銀 △1三玉 ▲2四金(下図)
▲2四金 と迫るのがこの形での詰み手順ですね。
上図以下、△2四同銀 ▲同銀 △同玉 ▲2一飛成(下図)
バラした後に▲2一飛成 と迫ればどうにか詰み筋に入ります。
上図以下、△2二金打 ▲3五銀(下図)
実戦は上図で△1三玉 と逃げたので▲1二金(下図)で後手の投了となりました。
以下、△1二同金 なら▲2四銀・・・
△2三玉 なら▲2二金 △同金 ▲2四金 までの詰みです。
ただ、▲3五銀 には△2三玉(下図)と逃げるのが最善で・・・
上図以下、▲3四銀 △同玉 ▲3五馬(下図)
ちょっと見えずらかった▲3四銀 の銀捨てから長めの詰み手順になります。
上図以下、△2三玉 ▲2四歩 △1三玉 ▲1二金(下図)
この金捨てがトドメですね。
上図以下、△1二同金 ▲2三歩成(下図)
最後は気持ちいい両王手で詰みました。
11手で詰むのが21手に伸びるヤッカイな手順でしたが、こういう迫り方も覚えておくと役立つかもしれませんね。
解答は以上です。
銀冠で上部に逃げられた時でもどうにか詰む一例として参考になれば幸いです。