今回は、寄せの基礎が学べる本
「寄せが見える本 基礎編」
のレビューをしたいと思います。
この本は、寄せの基本となる
「詰めろ」で迫り、受けなしの「必死」に追い込むための基礎手順
がまとめられているので、タイトルの通り
「寄せの手順が見えるようになるための基礎を学べる本」
になっています。
「終盤の寄せが上手くいかない・・・」
「勝勢だったのにスパッと決まらず逆転される・・・」
「もっとスマートな寄せをしたい・・・」
といった悩みを抱えた級位者向けの本ですね。
この記事では、ちょっとした必死問題を交えつつ率直な感想を書いていくので、購入を迷っている方の参考になれば嬉しいです。
寄せの感覚を掴む必死問題
「寄せの問題ってどんな感じ?」という方に向けて、まずは簡単な問題を出題します。
上図は、私の実戦から切り取って少しアレンジを加えた寄せ問題です。
ここから後手玉に「王手」や「詰めろ」を掛けながら必死に追い込んでください。
初心者には難しいかもしれませんが、寄せに使えるいくつかの基本手筋が含まれた問題なので少し考えるだけでもトレーニングになると思いますよ。
答えは数行下の見出しで書くので答えが分かったらスクロールしてください。
必死問題の答え
では答えです。上図以下、▲7二竜(下図)
ズバッと竜を切るのが必死に持っていく好手になります。
△9三玉 と逃げると▲8五桂 △8四玉 ▲7五馬 などで詰むので△7二同玉(下図)と取るしかありません。
ここで次の手が浮かぶかがポイントですね。
上図以下、▲6四桂(下図)
桂を捨てる▲6四桂 が空間をあける手筋です。
もし△8二玉 と逃げたら▲7一馬(下図)と入り・・・
馬を取れば▲7二金 で詰むので△9二玉 と逃げるしかありませんが、▲9三金(下図)の退路封鎖の手筋から・・・
上図以下、△9三同桂 ▲8二金(下図)
という手順で詰みます。これは定番の詰み筋ですね。
なので▲6四桂 は△同歩(下図)と取るんですが・・・
上図以下、▲6三金(下図)
空いた6三に金を打てば手が続きます。
上図以下、△8二玉 ▲7一馬 △9二玉(下図)
そして▲7一馬 から玉を端に追い込んだ上図が必死問題としてポイントになる局面です。
あと一手で必死になります。
上図以下、▲7二金(下図)
ヘタに王手を掛けず、ジッと金を入る▲7二金 が好手で受けがありません。
△8四歩 と逃げ道を作っても▲8二馬 で詰みますし、△9三銀 と打って8二の地点を受けても▲8一馬(下図)で詰みます。
この本では▲7二金 のような基本的な寄せの一手を学ぶことができるので、パッと浮かばなかった人は本書を読む価値がありますね。
「寄せが見える本 基礎編」の感想
・ちょっと読みにくい印象・「寄せの手筋200」の方がオススメかも
の2つに分けて感想を書いていきます。
ちょっと読みにくい印象
本の構成として・予習問題
・予習問題の解答・解説
・練習問題
という流れになっていて、予習問題の答えを見るには数ページ先の解答を見ないといけないのが読みにくかったです。
問題と答えを分けずに一問一答の方が個人的に読みやすかったのでそこがマイナスでした。
あと解答と解説が
間違った手の解説 ⇒ 正解の解説
という流れなのもイマイチでしたね。
こちらとしては答えを求めているので、まず答えを示してから間違った手の解説に移った方が読みやすい気がします。
この辺は個人の感覚なので意見が分かれる所ですね。
結論から始まる文章が読みやすい人にはストレスを感じるかもしれません。
ただ、練習問題は問題の次のページに解答・解説があったので読みやすかったです。
丁寧な解説をするために多くページを割く都合上 仕方がないとはいえ
「予習問題もこの構成ならよかったのに・・・」
と思ってしまいましたね。
「寄せの手筋200」の方がオススメかも
寄せの本を買おうと思った時、おそらく迷うのが「寄せの手筋200」
だと思います。
もし「寄せが見える本 基礎編」と「寄せの手筋200」で迷っているなら、私は「寄せの手筋200」をオススメします。
本書で書かれている基本的な内容はだいたい抑えてありますし、応用問題も含め、メジャーな手順を1冊で学べる点が優れているからです。
あと一問一答形式なので読みやすい点もオススメの理由ですね。
「ページを割いた丁寧な解説で基礎をしっかり学びたい」
という場合なら「寄せが見える本 基礎編」もいいですが、
「何か一冊 寄せの本を買ってみようかな・・・」
という感じなら、とりあえず1冊でOKな「寄せの手筋200」の方がいいと思います。
最後に
寄せの基本を学ぶなら「寄せが見える本 基礎編」
は悪くない一冊です。
「難しすぎる問題を見ると嫌になる」
という場合なら基礎が詰まった「寄せが見える本 基礎編」を・・・
1冊で済ませたいなら「寄せの手筋200」をどうぞ。