今回は「ぴよ将棋w」の「ピヨ幸(三段+)」に
石田流
で挑んだ一局から、局後の検討でAIが示した
・駒組みの急所
・さばきの手順
・実戦では逃した詰み(11手詰め)
を紹介します。
この記事が三間飛車を指す方の棋力アップに繋がれば嬉しいです。
「ぴよ将棋w」がやってくる早めの突き捨て
先手が「ピヨ幸(三段+)」、後手が「私」です。本局はピヨ幸が飛車先の歩を保留して簡単に石田流に組ませてくれる展開になりました。(下図)
お互いに玉を囲い合う落ち着いた序盤が続くと思いきや・・・
上図以下、▲2四歩(下図)
このタイミングで飛車先の歩を突き捨ててきたので、これを逆用する駒組みを目指す展開になります。
本譜は△2四同歩 と取ったんですが、ここは△2四同飛(下図)と取る手もあったようです。
上図以下、▲2四同飛 △同歩 ▲2三飛(下図)
飛車交換から▲2三飛 と打ってくる手には・・・
上図以下、△3三角 ▲2一飛成 △3二銀(下図)
角をかわして△3二銀 と受ければ飛車を捕獲できます。
ただ、これはこれで難しく・・・
上図以下、▲4一竜 △同銀 ▲4五桂(下図)
浮いた角を狙う▲4五桂 で先手の攻めが続きます。
AIの評価値的には+-50前後をいったりきたりする互角ですが、低段の私には一手ミスったら終わりの後手を持つのが怖い展開です。
▲2三飛 は先手が狙っている一手なので、あえて飛び込まない方が無難かもしれません。
2筋からの逆襲を狙うならスキを消す△3二金 が有効
上図は、2筋の突き捨てを逆用して△3三桂 ~ △2五歩 と伸ばし、△2四飛 からの攻めを狙っている所です。
本譜はここで△5二金左 と本美濃を完成させたんですが、この形の場合はバランスを取って△3二金(下図)と上がる方がいいみたいです。
何手も前からAIが△3二金 を推奨していたので駒組みの急所だったみたいですね。
2筋からの攻めを狙うなら左辺のスキを消す
という感覚が大事なのかもしれません。
AIが示したさばきの一手
上図は△3二金 ではなく△5二金左 と進めた本譜の進行です。
先手が▲8七銀 と銀冠を目指したタイミングで上手い一手がありました。
上図以下、△4五歩(下図)
この突き出しがずっと狙っていた△2四飛 を絶好の一手に変える好手です。
上図以下、▲4五同銀(下図)
2二の角が浮いているので▲4五同銀 と取られて困ったように見えますが・・・
上図以下、△2四飛(下図)
ここで△2四飛 と寄るのが角に紐をつけながら2筋の逆襲も見た絶好のさばきでした。
先手は
・△4五桂 の銀取り
・△2六歩 の逆襲
の両方を受けるのが難しく後手優勢です。
この展開に持ち込めれば気持ちよかったんですが、本譜は△4五歩 ではなく、3五の地点を守るために△1三角(下図)と上がる凡手でチャンスを逃しました。
類似の局面をけっこう見かけるので、△4五歩 を覚えておけば次からキレイにさばけそうです。
見えなかった寄せと詰み
上図は、2筋からの逆襲が成功して後手ペースで進んだ終盤戦です。
後手陣は玉頭に手を付けられていますが、まだ詰みはないので寄せを狙って受けなしに追い込めば勝てそうですね。
実戦は角と竜の利きをシンプルに活用してベッタリ△6八金(下図)と打ったんですが・・・
ここは△6八金 を打つ前に△5八竜(下図)と飛車取りに寄るのが好手だったようです。
持ち駒に「桂」と「歩」しかない先手はこの飛車取りを受けにくく、▲8九飛 のように逃げるしかありません。
そうなれば飛車が無力化するので△6八金 がより強烈になって分かりやすい寄せでした。
本譜のように飛車が6九にいる形で△6八金(下図)と打った場合は・・・
上図以下、▲6八同飛 △同角成 ▲同金 △同竜(下図)
と駒の交換になった時・・・
上図以下、▲7八金(下図)
金で受けられると次の手がなく竜を逃げる展開になります。
ここで銀があれば△7九銀 で手が続くので
「△8三銀 と銀を取ってから△6八金 と打てばいいんじゃないか」
とも思いましたが、それだと△8三銀 のタイミングで▲4六歩 と角筋を止める手がヤッカイに見えて踏み込めませんでした。
ただ、▲7八金(下図)と受けられた場合は・・・
上図以下、△6九竜 ▲7二銀成 △同金 ▲7九銀 △3八飛(下図)
△6九竜 ~ △3八飛 と地道に迫っていけば悪くないようです。
読みの中では上図のような展開を浮かべていたんですが、本譜は△6八金 ▲同飛 △同角成(下図)のタイミングで・・・
▲6八同金 ではなく・・・
上図以下、▲8二金(下図)
王手で反撃してきたため・・・
上図以下、△6二玉 ▲7二銀成 △同金 ▲同金 △同玉(下図)
手順に銀を手にすることができて寄り筋に入りました。
上図以下、▲8三歩成 △6二玉 ▲6八金 △同竜 ▲7八金(下図)
先ほどより好条件で▲7八金 と受けられた形になって後手勝勢になっています。
「△7九銀 と打てれば勝ち」
と思っていたので気付かなかったんですが、実はここで詰みがありました。
最後に実戦詰将棋として出題するので、お時間のある方は△7九銀 ではない好手で詰ます手順を考えてみてください。
答えは数行下の次の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。
上図以下、△8九飛(下図)
玉を下段に落とす飛車打ちで詰んでいました。
▲9七玉 と逃げる手には△8七金 ▲同金 △9九飛成(下図)の詰みがあるので・・・
素直に▲8九同玉(下図)と取るしかないんですが・・・
上図以下、△7九金(下図)
この金捨てが好手で詰みます。
玉を逃げるのは△7八竜 から詰むので・・・
上図以下、▲7九同金 △9八銀(下図)
ここも素直に取るしかないんですが、△9八銀 が空間を空ける好手で手が続きます。
上図以下、▲9八同香 △9九金(下図)
香を吊り上げて空いた9九に金を打てば・・・
上図以下、▲9九同玉 △7九竜 ▲8九金 △8八金(下図)
「送りの手筋」と「一間竜」でキレイに詰みました。
これがパッと見えていればカッコよかったですね。
実戦は△8九飛 ではなく△7九銀(下図)と打ったので・・・
上図以下、▲9七玉 △7八竜(下図)
予定通りほぼ受けなしに追い込み、王手ラッシュのあとピヨ幸の投了となりました。
投了図はこちらです。
最後に
2023年、ぴよ将棋との1戦目を勝利で飾ることができました。今回のように▲2四歩(下図)と早めの突き捨てをしてくるのが「ぴよ将棋w」のクセですが・・・
悪手ってほどの一手ではないので、三段以上になってくると慎重な指し手が求められますね。
今回のように突き捨てを逆用して△3三桂 ~ △2五歩(下図)から反撃を狙った場合・・・
3五の地点をケアして△2四飛(下図)と回ることができれば優勢になりやすいです。
その△2四飛 を実現するためにAIが示した△4五歩(下図)はかなり使えるので、類似形になった時はお試しください。