最近、四間飛車を練習しているんですが、地味ながら私を悩ませる居飛車の戦法があるんですよ。
それも、メジャーな穴熊ではなく、もっと地味なあの戦法です。
現代の居飛車党の人もよっぽどじゃないと指さないんじゃないかなぁ・・・っていうマイナーなね。
そのマイナー戦法・・・
それは・・・
5筋位取り です。
これがさ・・・地味ながら油断ならない戦法で・・・
なんていうか、やられるとちょっと嫌な戦法ですよね・・・
圧迫感があって気持ち悪いし、すでに5筋を制圧されてるから捌きにいくのも難しいし・・・
ジワジワ抑え込んでいく居飛車ならではの圧迫戦法っていう感じです。これぞ居飛車って感じでね。
振り飛車側としてはその圧迫感からいかに逃れ、どうやって捌くかというのが課題になる戦法かと思います。
でも、振り飛車の捌き感覚がイマイチ欠けている居飛車党の私ではどうにもできませんでした。
いつも抑え込まれて面白くない展開になっていましたからね。
それで、ちょっとどうにかしたいとソフトに聞いてみたんですよ。
この局面ではどうすれば捌けるの?この圧迫感から逃れるにはどうするの?って。
そうしたら、ちょっと面白い手が候補に挙がっていたので紹介したくなりました。
最善手ではなかったんですが、これぞ捌きの振り飛車と言える豪快な一手だったのでちょっと感動しましたしね。
もしかしたら5筋位取りを打破する一手になるかもしれませんので、私と似たような悩みを持った方はぜひお聞きください。
抑え込みに来た居飛車党をあっと言わせる捌きの一手をちょっと体感してください。
まずは5筋位取りへの無難な一手から

上の図はシンプルに組んだ「四間飛車 vs 5筋位取り」の基本図です。(後手番)
この5筋を制圧された圧迫感が気持ち悪くて嫌いです。
どうにか抑え込みを打破して豪快に捌きたいんですが、そう簡単にいかないのでいつもモヤモヤしています。
ここから居飛車が仕掛けてきます。
上図以下、△6五歩 ▲同歩 △同銀(下図)
ここでソフトの最善手は平凡な一手が示されました。私もよく指してるつまらない一手です。
上図以下、▲6六歩 △5四銀(下図)
とりあえず、1回落ち着いた局面にしようみたいな工夫も何もない一手ですね。
これだと1歩交換が無事にできた居飛車の主張が通ってる感じでちょっと面白くないです。
それに、5筋の主張が強く、ここからの指し手も難しいというか・・・
シンプルに指すと嫌な筋もありますしね。
例えば・・・
上図以下、▲3七桂 △8六歩 ▲同歩 △8八歩(下図)
みたいな展開になって居飛車がちょっと面白いような気がします。
抑え込まれっぱなしで好き勝手されているみたいでちょっと避けたい変化なんですよね・・・
▲6六歩 はつまらない・・・他に何か面白い手はないものか・・・
そう思っていた所、候補の3番目に意外な一手があり「これ、いいんじゃないか?」と思いました。
無難な一手とは違い、ちょっと豪快に局面を打破しようとする一手でしたから。
これが今回のメインの話です。
次の一手で見るようなハッとする一手をご覧ください。
位取りを打破する豪快な捌きの一手

上の図は居飛車が6筋で一歩交換した局面です。
先ほどは、ここで▲6六歩 と収めて無難な局面にしました。
でも、ここで位取りを打破する思い切った一手があったんです。
それがこちら。
上図以下、▲5六銀(下図)
位取りの歩の前に銀を飛び出す豪快な一手。
この手を見てハッとしましたね。こんな手があるのか・・・と・・・
狙いは角交換ですね。窮屈に抑え込まれるくらいなら捌いてしまおうという感じです。
居飛車がシンプルに対応すると一気に振り飛車が優勢になります。
上図以下、△5六同歩(下図)
と取ってしまうと振り飛車の狙いにハマります。
上図以下、▲2二角成 △同玉 ▲5五角(下図)
と王手桂取りが決まって大捌きが実現します。
上図以下、△3三角 ▲7三角成 △9二飛 ▲6五飛(下図)
これは気持ちいいですね。綺麗に捌けました。
なので、▲5六銀 を△同歩 とは取れません。
じゃあ△同銀 ならどうか。(下図)
これも振り飛車としては面白い展開になります。
上図以下、▲5六同歩 △6三歩 ▲5四銀(下図)
という感じに絡んでいってちょっとのびのび指せている感じがしますね。
場合によっては▲5五角 の角交換も狙えますし、5筋を制圧されていた時と比べたら軽くなってだいぶマシじゃないでしょうか。
こんな感じで、銀を取る変化は振り飛車が捌けて面白い展開になります。
なので、銀を取る変化はないんですが、そうなると難しい変化に突入します。
▲5六銀 は次の一手みたいな豪快な一手でしたが、これで良くなるというわけでもないみたいです。
最善の対応をされるとやや後手の居飛車よしか

上の図は▲5六銀 と豪快に捌きにいった局面です。
ここで銀を取る変化はいずれも振り飛車が面白い展開になります。
なので、居飛車も銀を取らず対応をしてきました。色々あるみたいなんですが、今回、ソフトが示した一手はこちらです。
上図以下、△6二飛(下図)
駒がぶつかってる6筋に目を向けた良い一手ですね。
ここで振り飛車の対応もいくつかあるんですが、今回はソフトが示した1例をご覧ください。
お互いが最善っぽい手を尽くすとこうなりますという感じでね。
上図以下、▲5五銀 △5四歩 ▲6四銀 △同飛(下図)
6五の銀を取る変化もありますが、今回は5筋の歩を取る方を選びました。銀を犠牲に角交換する感じですね。
上図以下、▲2二角成 △同玉 ▲8二角 △6三飛(下図)
角を打ち込み、ここから飛車を狙って攻めていきます。
上図以下、▲6四歩 △5三飛 ▲3七桂 △4四歩(下図)
とりあえず、振り飛車が攻める展開になっているので、いつもの抑え込まれパターンよりは面白い気がします。
上図以下、▲7三角成 △同飛 ▲6五飛 △7八角(下図)
角を捨てて飛車を捌きますが、ちょっと評価値が後手に振れてきました、攻め切るのは難しいのかもしれません。
上図以下、▲7七桂 △8七角成 ▲8五飛 △7七馬 ▲8二飛成(下図)
飛車を成り込みましたが意外と居飛車玉が遠い・・・
上図以下、△4三飛 ▲9一竜 △5一金引 ▲2六桂 △3三銀打 ▲2五桂 △5五馬(下図)
と進み、どうにか攻められるだけ攻めた振り飛車ですが、評価値は320点くらい後手寄りでした。
次の△4五歩 も厳しいですし、ちょっと振り飛車が難しいようです。
豪快な▲5六銀 が最善手じゃなかったのはこういう展開を見越してのものだったのかもしれませんね。
抑え込みを打破する面白い一手だった▲5六銀 ですが、私のソフト検討ではやや居飛車よしになりました。
ただ、途中で変化がたくさんあるので「完全にダメか?」と聞かれると分かりません。
平凡な▲6六歩 で収めるのがつまらないなら▲5六銀 で豪快に捌きにいくのはなくはない手かもしれませんね。
研究しがいのある一手だと思うので、気になった方はじっくりソフトで研究してみるといいかもしれませんよ。
最後に
いつも抑え込まれて困っていた5筋位取りで、振り飛車らしい面白い一手があったので紹介してみました。豪快な捌きが好きな振り飛車党なら攻める展開になるので指してて楽しいかもしれませんよ。
いつもの5筋に圧迫された将棋とは別の将棋になるのでちょっと軽くていい感じですしね。
ちょっとしたソフト検討では残念な結果になりましたが、変化はメチャクチャあるのでまだまだ可能性は残されています。
5筋を抑え込まれた展開が嫌という方なら▲5六銀 は希望の一手になると思うので、この手を突き詰めてみるというのもいいかもしれません。
対人間なら正しく応じるのは難しいので、けっこう楽しい展開になると思いますしね。
5筋の圧迫感から解放されたいならオススメの一手なので1度指してみてください。