今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」が四間飛車をやってきた時の
玉頭銀
への対応手順を紹介します。
見所は
・すぐ▲6五歩 と突いてきたら居飛車ペース
・疑問だった△7三角 の合わせ
の2つです。
いざやられるとヤッカイな玉頭銀を攻略する一例としてお楽しみください。
すぐ▲6五歩 と突いてきたら居飛車ペースになる
先手が「郷谷さん(上級-)」、後手が「私」です。上図は、後手の急戦に対し、先手が▲5六銀 と玉頭銀を見せてきた所です。
この手を見たら定番の仕掛けで動きます。
上図以下、△7五歩 ▲同歩 △6四銀(下図)
7筋の歩を突き捨ててから銀を出るのがスピード感のある手順ですね。
ここで▲7四歩 と突くのが手筋の一手ですが、郷谷さんは疑問手を指すことがけっこうあります。
それがこの一手です。
上図以下、▲6五歩(下図)
攻められる前に目標になりそうな角を交換してしまおうという手ですね。
振り飛車らしい一手ですが・・・
上図以下、△7七角成 ▲同桂 △7五銀(下図)
シンプルに角交換から△7五銀 と出られると
・居飛車の銀が好位置にいる
・8筋を破られそう
・7七の桂が攻めの目標にされる
などの欠点をカバーするのが難しい振り飛車が不利になります。
この段階でAIの評価値は後手有利(-400 ~ -600くらい)を示しているので、すぐ▲6五歩 と突いてきた場合は居飛車ペースになるようです。
郷谷さんが玉頭銀をやってきた時は、上図を目指すのが1つの勝ちパターンになるかもしれません。
ただ、居飛車ペースとはいえ振り飛車からも反撃があるので油断できません。
次の一手への対応を誤ると形勢がひっくり返るので注意が必要です。
疑問だった△7三角 の合わせ
居飛車の攻めが成立した上図。
楽勝パターンに見えますが、次の一手がけっこうヤッカイだったりします。
上図以下、▲4六角(下図)
振り飛車の定番、飛車を睨む角打ちです。
ここでどう指すかで形勢が決まるんですが、もし次の一手が浮かんだ方は注意が必要です。
上図以下、△7三角(下図)
シンプルに角筋を受ける悪くない一手に見えますよね。
この手は私が実戦で指した一手で、本譜は狙い通り▲7三同角成 △同銀(下図)の交換から・・・
上図以下、▲7一角 △8四飛 ▲6四歩 △同歩 ▲2六角成(下図)
と進み、馬を作られつつも△7六歩 や△8六歩 などの攻めがある後手有利の局面に進んだんですが・・・
局後に検討したら△7三角(下図)の受けに意外な反撃がありました。
上図以下、▲6四歩(下図)
この歩突きが先手の飛車・角を働かせる好手だったようで、後手有利だった評価値が互角(+90)に戻っています。
指されてみると応手が難しいですね。
素直に△6四同歩 だと▲7四歩 △8四角(下図)と角を追われ・・・
次に▲8五桂 や▲6五銀 などから4六の角が働く絶好の攻めを食らいそうですし・・・
▲6四歩 を放置して△7六歩(下図)と反撃しても・・・
上図以下、▲6五飛(下図)
銀取りに飛車を浮くのが好手で・・・
上図以下、△6四銀 ▲8五飛 △8四歩 ▲2五飛(下図)
7七の桂が生きている内に飛車を大きく使えば、居飛車が窮屈になって振り飛車ペースになります。
上図以下、△7七歩成 と桂を取るのは▲7四歩 の角取りがありますし・・・
△3三桂 と飛車を取りに当てても▲6五桂(下図)と跳ねるのが好手で攻めが止まりません。
▲6四歩 にAIが推奨していたのは
・△8六歩
・△6四同角
ですが、どちらも先手ペースになるようです。
一例を紹介します。
△8六歩 と突いた場合
▲6四歩 に△8六歩(下図)と8筋突破を目指した場合・・・上図以下、▲6三歩成(下図)
踏み込むのが最善のようです。
△6三同銀 だと▲7三角成 △同桂 ▲7四歩(下図)が厳しいので・・・
取るなら△6三同金(下図)になります。
この手には
・▲6五飛
・▲7三角成
・▲6三同飛成
などの豪快な手が候補に挙がっていて、どれも先手ペースに進むようです。
一例として▲7三角成(下図)の変化を紹介します。
△7三同銀 は▲6三飛成 の金取りがあり・・・
△7三同金 は▲6二飛成 △同飛 ▲6五桂 という攻めが厳しいので・・・
上図以下、△7三同桂 ▲7一角(下図)
桂で取るのが最善と示されましたが、それでも▲7一角 という一手がありました。
△7一同銀 なら▲6三飛成 と金を取って先手ペースなので・・・
上図以下、△7二飛 ▲6三飛成 △同銀 ▲2六角成(下図)
△7二飛 と寄るのが最善のようです。
それには▲6三飛成 と切り、▲2六角成 と馬を作れば陣形差が大きく振り飛車ペース(+400)になります。
△6四同角 と取った場合
▲6四歩 には素直に△同角(下図)と応じる手もあります。これには思い切った一手がありました。
上図以下、▲6四同飛 △同銀 ▲6五歩(下図)
飛車を切って角筋を残すのがポイントです。
これで飛車のコビン攻めを含みに手を作れます。
上図以下、△7三銀引 ▲4五銀(下図)
歩を取って▲7四歩 と打つ狙いがあるので後手は忙しいですね。
飛車を睨む▲4六角 に△7三角 と打って簡単に受かると思っていたのに、▲6四歩 の歩突きから紛れてしまった後手の失敗は明白です。
ずっと「角を合わせて受かっている」と思っていましたが、相手が対応を間違えていただけだったんですね。
これからは気を付けないと・・・
最後に、▲4六角 への正着を紹介して終わります。
▲4六角 への正着は△7三歩
飛車を睨む▲4六角 への正着は・・・
上図以下、△7三歩(下図)
角ではなく歩で受ける手だったようです。
上図以下、▲7四歩 △8四飛(下図)
▲7四歩 には△8四飛 と浮いてしまえば大丈夫のようですね。
上図以下、▲7三歩成 △同銀 ▲7四歩(下図)
ただ、再度▲7四歩 と打つのがちょっと気になる一手です。
△7四同飛 と取ると▲8五桂(下図)でちょっと紛れそうですから。
こうなると微妙なので、▲7四歩 は△同銀(下図)と取り・・・
上図以下、▲9一角成 △7六歩(下図)
角成りを許して△7六歩 の反撃をするのが正着になります。
これなら評価値が後手有利(-400)をキープしているので充分ですね。
以下、▲6七金 と受けてきたら△9九角 と露骨に7七の地点を攻めればペースを掴めます。
最後に
郷谷さんが四間飛車から玉頭銀をやってきた時、すぐに角交換を狙う▲6五歩(下図)を突いてくることがあります。これには素直に角交換に応じて△7五銀(下図)と出れば後手ペースになります。
ただ、次の▲4六角(下図)への対応を間違えると逆転するので・・・
正着の△7三歩(下図)を打ってしっかり優勢をキープしてください。
間違っても△7三角 と合わせちゃダメですよ。
これだけ気を付ければ▲6五歩 の変化は大丈夫だと思います。
もし類似形に遭遇した時は今回の手順を参考に勝ち切ってください。