今回は「ぴよ将棋w」の
Lv16 ピヨ郎(2級)
を「先手番▲5五歩位取り中飛車」で倒した一局を紹介します。
見所は
・5筋と7筋を絡めた攻め
・実戦詰将棋(13手詰め)
の2つです。
局後の検討でAIが示した手も書いていくので棋力アップに役立つと思います。
2級を倒す一例として参考になれば嬉しいです。
5筋の位を取る
先手が「私」、後手が「ピヨ郎(2級)」です。初手から、▲5六歩 △3四歩 ▲5八飛 △4二銀(下図)
相振り飛車も考えられる手の広いスタートになりました。
上図以下、▲7六歩 △4四歩 ▲5五歩(下図)
前回の反省を活かし、怯まない▲7六歩 で自然な駒組みを心がけます。
飛車を振られても中飛車らしく中央から攻める意思表示として▲5五歩 の位取りをして形を決めました。
上図以下、△4三銀 ▲6八銀 △8四歩(下図)
△8四歩 と居飛車を宣言されたので持久戦模様の将棋になりそうです。
これなら5筋の位も活かせるかもしれません。
急戦への反撃手順

ここからはオーソドックスな対抗形の駒組みをしていきます。
上図以下、▲4八玉 △3三角 ▲3八玉 △3一金(下図)
△3一金 は2級っぽさのある少し疑問の一手ですね。
上図以下、▲2八玉 △7四歩 ▲3八銀(下図)
先手は美濃囲いが完成したので強い戦いができるようになりました。
上図以下、△8五歩 ▲7七角 △6二銀 ▲5七銀(下図)
後手玉が不安定な内に攻めの形を作ろうと▲5七銀 と上がります。
本譜は△4一玉 と囲いましたが、ここで△7三銀(下図)から攻めを狙う手もちょっと気になるので補足します。
上図以下、▲5六銀 △6四銀 ▲6六歩 △7五歩(下図)
この形の場合は銀対抗のような▲6六銀 と受け寄りの手ではなく▲5六銀 と形よく上がり・・・
上図以下、▲6五歩(下図)
強く反発する▲6五歩 を狙う方が効果的でした。
上図以下、△7六歩 ▲6四歩(下図)
角取りの△7六歩 には居玉の欠点を突いて▲6四歩 と踏み込む手があるからです。
上図以下、△7七歩成 ▲6三歩成(下図)
玉の固さが大差で後手はピンチになっています。
上図以下、△4二玉 ▲7七桂(下図)
玉を逃げた所で▲7七桂 と「と金」を取り返せば、次に▲6五桂 の気持ちいい跳ね出しを見た先手優勢です。
疑問の突き捨てをトガめる反撃
局面を戻します。上図は先手が▲5七銀 と上がった所です。
ここで後手が△7三銀 から攻め合うのは居玉が祟ってちょっと無理気味だったので・・・
上図以下、△4一玉 ▲5六銀 △7五歩(下図)
△4一玉 と囲いましたが、▲5六銀 に△7五歩 と早い仕掛けをしたのが悪く先手ペースになりました。
上図以下、▲7五同歩 △5一金(下図)
本譜の前に、ここからAIが推奨する2つの駒組みが参考になったので紹介します。
1つは▲7八飛(下図)と三間飛車に振り直し・・・
上図以下、△3二玉 ▲5八金左(下図)
7筋の突き捨てをシンプルに活用する形です。
中飛車ならではの駒組みで左銀を好形にしたことに満足して次の急所を狙う柔軟な指し方ですね。
個人的に好みの形なので中飛車に固執せずこういう手を選べると楽しくなれそうです。
そしてもう1つ、▲7四歩(下図)とすぐさま攻めっ気を見せる手もありました。
上図以下、△7二飛 ▲6六角 △7四飛 ▲6五銀(下図)
「△7二飛 で歩を取られるけど大丈夫?」
と思ったら、取らせて銀を活用するのが狙いだったようです。
上図以下、△7二飛 ▲5四歩 △4二金左 ▲5三歩成(下図)
リズムよく5筋から攻め込めて好調ですね。
上図以下、△5三同銀 ▲5四歩 △6二銀 ▲7四歩(下図)
5筋と7筋に拠点を作り、次に▲5五角 を狙えば陣形がのびのびした先手ペースです。
歩を犠牲に駒を前に進める発想は見習いたいですね。
5筋と7筋を絡めた攻め
局面を戻します。上図は後手が△5一金 と形を引き締めた所です。
ここで▲7八飛 や▲7四歩 と7筋の突き捨てを利用するのがAI推奨の手でしたが・・・
上図以下、▲6五銀(下図)
私が指したのは中央からの攻めを狙う▲6五銀 でした。
▲5四歩 から棒銀風の攻めを狙う一手ですね。
上図以下、△5二金 ▲7四歩(下図)
すぐに▲5四歩 といかず、1回▲7四歩 と指したのが攻め幅を広げる一手です。
上図以下、△5一銀 ▲5四歩 △6二銀 ▲5三歩成(下図)
△5一銀 が疑問で、▲5四歩 からの攻めがシンプルに決まりました。
上図以下、△5三同銀(下図)
ここで▲5五角(下図)と飛車取りに上がっていれば・・・
上図以下、△9二飛 ▲7三歩成 △5四歩 ▲8二と(下図)
飛車を取って薄い後手玉に迫る分かりやすい攻めが決まっていたようです。
これなら固い玉を背景にした振り飛車らしい終盤戦を楽しめそうですね。
私が指したのは▲5五歩 ではなく▲5四歩(下図)と拠点を作る一手で・・・
上図以下、△6二銀 ▲5五角 △9二飛(下図)
似たように進み、コレはコレで先手ペースだったんですが・・・
△6二銀 で7筋が受かってるように見えた錯覚から次の一手が指せず微妙になりました。
気持ちいい攻めがあった

ここで決め手があります。
上図以下、▲7三歩成(下図)
先ほどのようにシンプルに歩を成るのが好手だったようです。
上図以下、△7三同桂 ▲同角成 △同銀 ▲5三歩成(下図)
ズバッと角を切り、中央に「と金」を作れば玉に近い場所で攻めが続いて先手勝勢でした。
これは振り飛車っぽい気持ちいい手順ですね。
歩成りから角切りにいく手が見えてなかった私は▲7八飛(下図)と回ったので・・・
上図以下、△4五歩(下図)
△4五歩 から角交換を迫られて形勢が詰まってしまいました。
▲7八飛 は
・玉から遠い所を攻める
・働きの悪かった角を使われる
という筋の悪さが際立つ悪手でした・・・
まだ形勢は先手も悪くないとはいえ、気持ち的には敗勢です。
筋悪の攻めで長引く

ここから筋悪の攻めでグダグダします。
上図以下、▲3三角成 △同桂 ▲8三角(下図)
▲8三角 は攻め合い勝ちを狙ってるなら悪くない手でしたが・・・
上図以下、△8二飛 ▲6一角成 △4四角(下図)
△4四角 と良い感じに角を使われて焦り、受けに回ったことでギクシャクしました。
上図では▲6二馬(下図)と切り・・・
△同金 なら▲7一銀 の割り打ち・・・
△同飛 なら▲7三歩成 から竜を作る手・・・
△同角 なら▲7三銀 から角か飛車を取る・・・
といった攻める手を狙っていれば先手ペースに持ち込めたようです。
実戦は▲6二馬 ではなく▲7六飛(下図)と浮き・・・
上図以下、△9九角成 ▲7七桂(下図)
▲7七桂 で馬を封じる手を選んだせいか、ここからも一気に攻める発想が浮かばず長引きました。
筋悪の馬切り

上図は数手進んで△7二歩 と受けられた所です。
ここで▲7三銀成 △同歩 ▲5二馬 △同銀 ▲4四桂(下図)と攻めるのがAIの推奨手でしたが・・・
またしても筋悪の手順で形勢を微妙にしました。
それが▲6二馬 △同金 ▲7一銀(下図)と割り打ちを決める手順です。
ここで△4四角 と打たれていたら馬が生還する流れもあって危うかったようです。
上図以下、△5四銀 ▲8二銀不成 △5三金 ▲7三銀上不成(下図)
本譜は△5四銀 だったのでマシな進行ですが、なんか重くてイマイチですね。
実戦詰将棋の出題

上図は、数手進んでどうにか寄せが成立した局面です。
ここから最長13手の詰みがあり、どうにか詰ますことができて勝ちになりました。
最後に実戦詰将棋として出題するのでお時間のある方は解いてみてください。
答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、▲4二飛(下図)
ここに飛車を打てば詰みます。
・△5四玉
・△4二同金
の2つに分かれるのでそれぞれ解説します。
△5四玉 と逃げた場合
△5四玉(下図)と逃げた場合は・・・上図以下、▲5五歩 △同玉 ▲5六銀(下図)
▲5五歩(△同銀 は▲6五銀 の詰み)の叩きから▲5六銀 と捨てれば詰みます。
△5四玉 は▲5五歩 △同銀 ▲6五銀 の詰みなので△5六同玉(下図)と取りますが・・・
上図以下、▲7六竜 △5五玉 ▲6六竜(下図)
▲7六竜 と引きつければ上部へ逃がさず詰ますことができます。
▲6六竜 が地味な好手で・・・
上図以下、△5四玉 ▲5五歩 △同銀 ▲6五竜(下図)
銀を無力化する▲5五歩 から▲6五竜 の王手を掛ければ詰みます。
これが最長13手詰めの手順になります。
△4二同金 と飛車を取った場合
△4二同金(下図)と飛車を取った場合は・・・上図以下、▲4二同竜 △5四玉 ▲5五歩 △同玉(下図)
先ほどのように▲7六竜 と引く手はありませんが、金を入手しているので・・・
上図以下、▲6六金 △5四玉 ▲5五歩(下図)
▲6六金 から追い返して▲5五歩 と打てば・・・
上図以下、△5五同銀 ▲6五銀(下図)
までの詰みです。
実戦はここでピヨ郎の投了となりました。
最後に
筋悪ながらピヨ郎(2級)に勝った一局から、AIが推奨していた・三間飛車に振り直す発想(下図)
・5筋と7筋を絡める攻め(下図)
を紹介してみました。
2級くらいだと△7五歩(下図)のような疑問の仕掛けをしてくることがあるので・・・
こういう手を上手く利用できれば気持ちよく勝ち切れそうですね。
AIのように一目でトガめられるようになりたいもんです・・