今回は、対振り飛車への急戦(下図)で・・・
4筋を2枚の金駒で固められた時に気になっていた
△3四歩(下図)から位の奪還にくる手
をAIで検討したら
25年くらい前はダメだと思った変化が意外と有力だった
と分かったので紹介します。
従来の定跡とはちょっと違う指し方としてお楽しみください。
中学生の頃は▲3八飛 と寄るしかないと思ってた
ちょっと図が極端ですが、ポイントとしては
・△5三金 と上がっている
・次に△3四歩 と合わせれば位を奪還できる
という点だけ注目してください。
この形になった場合、「3五の位」を取り返されたくなければ・・・
上図以下、▲3八飛(下図)
歩を合わせられる前に飛車を寄るのが無難です。
これなら△3四歩(下図)とされても・・・
上図以下、▲3四同歩 △同銀 ▲3五歩(下図)
勢力が充分なので▲3五歩 で追い返せますから。
ただ、▲3八飛 と回るとちょっと攻めの形を作りにくい感じがあり、
「できれば飛車は2八のまま、スキができたら▲2四歩 と仕掛けられる形にしておきたい」
と思っていました。
でも、私の力では位の奪還に対応する発想がなく、いつも▲3八飛 と妥協して手詰まりに悩むハメに・・・
しかし、AIが進歩した今、改めて検討したら
「▲3八飛 と寄らなくても先手が悪くならないよ?」
と、当時はダメだと思っていた形を評価していました。
その意外だった手順を紹介します。
堂々と▲4六歩 と突いても戦える
4筋を金駒2枚で支えられた上図・・・
AIは「3五の位」を守る▲3八飛 ではなく・・・
上図以下、▲4六歩(下図)
堂々と仕掛けの準備をする▲4六歩 が成立すると示していました。
上図以下、△3四歩(下図)
「ここで歩を合わせられると位を守れないからダメ・・・」
と思っていましたが・・・
上図以下、▲3八飛(下図)
このタイミングで飛車を寄り・・・
上図以下、△3五歩 ▲同銀 △3四歩 ▲2六銀(下図)
銀をそっぽに追いやられながら位を消されても・・・
上図以下、△7二金 ▲3七銀(下図)
「改めて銀を立て直せば大丈夫」
というのがAIの判断のようです。
昔は
・▲2六銀 と引かされた形が悔しすぎる
・次に△3五歩 と伸ばされると手がない
という思い込みが強く
「コレはない」
と打ち切っていましたが・・・
上図以下、△3五歩(下図)
ここで手を繋ぐ好手がありました。
上図以下、▲3六歩(下図)
先ほどとは逆に、居飛車から位の奪還に歩を合わせれば戦えるようです。
これを△3六同歩 と取ってくれれば▲同銀(下図)で従来の形に合流しそうですし・・・
それを嫌って▲3六歩 に△3四銀(下図)と位を守りにきても・・・
上図以下、▲3五歩(下図)
堂々と歩を取ってしまえば後手の応手が難しいです。
以下、△3五同銀 は▲3六歩(下図)で銀を捕獲できますし・・・
かといって△2五銀(下図)と出ても・・・
上図以下、▲2六歩(下図)
同じように銀を捕獲すれば先手ペースになります。
ここで△3六歩 と足掻く手がありますが、それには▲4八銀右(下図)と引くのが冷静です。
以下、△2六銀 には▲2八飛(下図)と銀を取りにいき・・・
△3五飛 なら▲2六飛 と銀を取ればいいですし・・・
△3七歩成 なら▲同銀 △同銀成 ▲2三飛成 で先手優勢です。
なので、▲3五歩 を取れない後手は△4三銀(下図)と引くくらいですが・・・
上図以下、▲3六銀(下図)
改めて位を支えれば従来の形に合流します。
押したり引いたりして元に戻った感じですね。
これを見て
「最終的に合流するなら何も変わらなくない?」
と思うかもしれません。
でも、▲3八飛 と寄るしかないと思っていた局面に選択肢が増えたのは地味に大きいです。
後手の対応次第では違った将棋になりますから。
私が嫌ってるだけで上図の形も居飛車が悪いってわけでもないですし、
場合によっては飛車を2八のまま戦う展開も視野に入る
というのは小さく見えて大きな変化だと思います。
今回の手順が絶対でもないので、今後の研究課題になりそうですね。
最後に
上図のように4筋を金駒2枚で支えられた時・・・
位の奪還にくる△3四歩 を先受けして▲3八飛 と寄るしかないと思ってましたが・・・
AIのおかげで▲4六歩(下図)と突いても大丈夫というのが分かりました。
ここから△3四歩 と合わせられて▲2六銀(下図)と銀を追い返される形になっても・・・
▲3七銀 △3五歩 ▲3六歩(下図)で位を取り返しにいけますから。
飛車を寄るのは△3四歩 と合わせられてからでいい
と分かっただけでも大きな収穫でしたね。
1手の余裕ができたので形次第では何か打開策があるかもしれません。
これから色々と試していこうと思います。