上の図は将棋をやっているなら誰もが見た事がある囲いの美濃囲いと穴熊です。
玉が遠く固いこの囲いの攻略に苦戦している人もいると思います。
「振り飛車って囲いが固くて相手にするの嫌なんだよな~」
「美濃囲いってどうやって崩すのかよく分からなくて困ってる」
「穴熊に組まれると手が付けられなくて大変」
なんて悩んでる方はいませんか?
互角で終盤に入った時の美濃囲いや穴熊の固さは脅威ですよね。
どこから手をつけて良いのか分からない、勝てる気がしないなんてちょっと憂鬱になったりしませんか?
でも、もう大丈夫。
対振り飛車の囲い攻略のバイブルとも言える本があるんです。
それがこちら。
谷川浩司先生が書いた「光速の寄せ1 振り飛車破りの巻」です。
この本は対振り飛車の囲いの弱点、急所、崩し方、詰まし方を教えてくれるので、対振り飛車の終盤戦に苦戦している人にうってつけの本なんです。
・美濃囲い
・銀冠
・穴熊
という振り飛車を代表する囲い3つの攻略法を問題形式で出題されて解説されているので1問ずつ解きながらじっくり学べます。
この本を読んで対振り飛車の囲いへの苦手意識を克服しましょう。
では、どんな感じの本なのか紹介したいと思います。
第1章 囲いの弱点について軽く触れている
まず最初は美濃囲い、銀冠、穴熊の特徴と弱点について軽く触れています。本当に軽くなのでサラっと読む感じでいいと思います。
居飛車対振り飛車の中盤の定跡も軽く触れているので駒がぶつかってからどんな感じで進めるのかの基本が少しだけ分かります。
これも本当に軽くなんで詳しくは他の定跡本で学びましょう。
基本から学ぶならこちらの「羽生の頭脳」はオススメです。文庫版になってお得になってます。
ちょっと情報は古いですが全く通用しない訳ではないですし、居飛車対振り飛車の定跡の歴史を学ぶ意味ではとても良い本だと思います。
第2章 囲い崩しの手筋問題60問
美濃囲い、銀冠、穴熊崩しの基本手筋問題が60問も出題されています。本当に基本中の基本から読まなければ知らなかったような手筋まで幅広く出題されていて、これを全部頭に入れれば「美濃囲い」も「銀冠」も「穴熊」も怖くありません。
どんな風に攻めれば良いのか分かれば終盤戦の寄せ合いが楽しくなると思いますよ。
「囲いの急所を知っているとこんなに簡単に崩せるのか・・・」
と感動すること間違いなしです。
「これを知らなかったなんてどれだけ損してたんだ・・・」
って過去の知識不足を後悔するかもしれません。
崩し方だけじゃなく手筋の受け問題もあり、終盤で
「あと1手あれば勝てるのに・・・」
なんて局面になった時の対処法なんかも分かります。
本当に実戦形式の問題なので、右辺で捌き合いをして飛車を成り込んだ後、
囲いのどこから手を付けるのが早いか
という実戦で活きる寄せの感覚が身につくと思いますよ。
持ち駒も
「実戦ではそんなに持ってないよ」
と思うようなものではなく、飛車、角、銀、桂、香、歩 が実戦の終盤だったらよく見る数での出題なので実戦のイメージが付きやすいです。
中盤でうまく捌き合った後はこれらの問題と似た局面になるため、
「あ~そうか、こうやって攻めればうまくいったのか・・・」
という発見があると思いますよ。
第3章 実戦形の詰将棋17問
アマ3級~アマ6段まで幅広い難易度の問題が17問出題されます。実戦形式の詰将棋なので正解に駒余りがありますが、そこが逆にリアルで良いです。
実戦で出てきそうな詰将棋なので、この詰み筋を知っているとためになると思います。
中には「え?ここから詰むの?」という手付かずの美濃囲いを詰ます問題もありちょっと感動しました。
まぁアマ6段クラスの問題なんで解けませんでしたけど・・・
答えを見て
「これは頭の中で全部読みきるのは無理だな~」
って感じでしたね。
でもこの詰み筋を知っているのと知らないのとでは攻め方に違いが出ると思いました。
アマ2段クラスの問題からは私の棋力が低い事もありますが難問です。
分かれ道が多くて読みの深さが必要になります。
あっちならこう、こっちならこうという風に。
読みきるっていうのは大変な事なんだと感じます。
こんなにためになる詰将棋は中々ないと思いますのでオススメです。
第4章 実戦を見る
ここまで手筋問題、詰将棋を解いてきたらいよいよ実戦ですよね。そこで谷川先生が指した実戦からどんな感じで終盤戦を進めていくかを学びます。
・自玉が詰めろか詰めろじゃないか
・相手玉は詰めろか詰めろじゃないか
といった相手玉との手数差が中心的に解説されていて
「終盤は速度」
の意味が分かります。
「まだこちらは詰めろじゃないので今の内に相手玉を寄せてしまいたい」
というような終盤らしい速度勝負の解説がついた実戦の棋譜を13例見ることができます。
1局目の森王位(当時)戦の棋譜はちょっと感動しました。さすがプロの棋譜だと。
終盤の詰めろを利用した受けと手数計算による攻めが見事でキレイに決まった一局です。
ぜひ解説を見ながら棋譜を並べてもらいたい一局です。
こんな将棋が指せるようになったらもう将棋をやめられないだろうなぁと思います。
どの棋譜も終盤に焦点を当てた並べていて面白い将棋なので、ぜひ一度並べてみてください。
最後に
・囲い崩しの手筋・実戦形の詰将棋
・解説付きの実戦譜
の全てを読み終わったら対振り飛車の囲い崩しの基本から応用までかなりのものが身についています。
読む前と読んだ後では囲いへの攻め方が変わること間違いなしです。
今までの何か違う感じだったイマイチな攻め方がかなり改善されると思いますよ。
今までに無い発想が浮かんでくるというか・・・
何かが見える感じがするというか・・・
1回読んだだけでは忘れてしまう事もあるので繰り返し繰り返し読みましょう。
実戦でうまくいかなかったらまた読みなおすと「あ、書いてあった」なんて事があるので記憶するには繰り返すことの重要さが分かった気がしました。
そんな感じで繰り返しながら少しずつ自分の力にしていくといいですね。
徐々に相手の囲いに手を付ける終盤の入り口がワクワクしてくると思いますよ。
「弱点はここだからこんな感じで攻めればこうなってああなって寄せきれそう」
と優勢な局面なら頭の中で相手の囲いが崩れていく所まで見通しがつくようになると思います。
そしてそれが成功した時の気持ちよさはハンパじゃないです。キレイに決まった時の爽快感は良いもんですよ。
まぁ私の棋力だとたまにうまくいく程度なんですけど、それでもこの本を読む前よりははるかに改善されたと思います。何かが変わってきました。
この本を読んでなかったら思いつかなかっただろうな~って手がよくあるので「あ~読んで良かった」とこの本に感謝しています。
対振り飛車の囲い崩しがうまくいかなくて終盤戦に困っているというのならこの本から学ぶ事がたくさんあると思いますのでオススメですよ。
現在は文庫本になって1、2巻がまとまって販売されているようです。
2巻は振り飛車目線で居飛車の囲いの攻略なので、これなら居飛車対振り飛車のどちらを持っても終盤のコツが分かって最高ですね。
振り飛車の囲いの固さに困っていたという方なら間違いなく買いの一冊なのでぜひ読んでみて下さい。
終盤の寄せが楽しくなること、間違いなしです。