脱・初心者を目指すための
5級を越える将棋講座
第10回は
基本となる手筋「香車」編
の1回目として
・田楽刺し
・歩の代わりに使う香
の2つを紹介します。
最も基本となる「香車」の使い方を知り
香車ならではの強さ
を活かす手が浮かぶようになってください。
「田楽刺し」とは・・・
「田楽刺し」というのは
縦(同じ筋)に並んだ駒の前に「香」を打ち、どちらかの駒を取れる状態にする一手
のことです。(下図)
上図の▲5五香 が最も基本となる「田楽刺し」の例ですね。
香車ならではの「縦に貫く利き」を活かし、
「前にある駒」が逃げても「後ろにある駒」が取れる
という間接的な両取りになるのが特徴です。
上部にスーッと利きが通った香車を「槍」に見立て、縦に並んだ駒を串刺しにするイメージと言えば分かりやすいでしょうか・・・
香車を持ったら常に狙いたい定番の手筋です。
では、実戦で「田楽刺し」を狙える有効な形を紹介していきます。
角頭への香打ちを狙う「田楽刺し」
実戦で「田楽刺し」を決める場合、先ほどの図のように上部に利きがない角の弱点
を突き
「角の頭に香車を打つ形」
を狙うのが基本になります。
香を持った時、「角」の下に「金」や「銀」が重なったら狙い目です。
その一例が下図になります。
相居飛車の将棋で見かける形ですが、持ち駒に香車がある場合は3筋に並んだ「角」と「金」を狙う手があります。
上図以下、▲3五歩(下図)
角頭の歩を突くのがその始まりです。
これを△3五同歩(下図)と素直に取ると・・・
角の上にスペースができるので・・・
上図以下、▲3四香(下図)
そこに香車を打てば、角頭を狙った定番の「田楽刺し」が決まって「角」か「金」を手にする権利を得られます。
実戦ではこれを察知して▲3五歩 は取らず、△4二角(下図)のように逃げますが・・・
上図以下、▲3四歩(下図)
シンプルに歩を取っておけば歩得した先手ペースです。
そう簡単に「田楽刺し」は決まらないので、それを含みに小さなポイントをあげる感じになりますね。
こういう狙いを秘めた一手が指せれば5級越えは目の前ですよ。
飛車を捕獲する「田楽刺し」
もう1つ、「田楽刺し」を含みにした実戦の一例を紹介します。上図は「雁木」に組んだ時によく見かける形です。(現在、後手番)
ここから△8六歩(下図)と一歩交換にいくのが定番ですが・・・
先手が香車を持っている場合はそれができません。
3手後に意味が分かります。
上図以下、▲8六同歩 △同飛(下図)
普通なら上図から▲8七歩 △8二飛 と進む所・・・
上図以下、▲8七香(下図)
香車を持っている場合は▲8七香 という強烈な一手があります。
これで飛車が助からず、いきなり飛車得して勝勢です。
このように横への逃げ道がない場合、香車を打つと飛車ですら捕まえることができます。
最初に「田楽刺し」は「上部への利きがない角の頭に打つのが基本」と紹介しましたが、香の下に駒の支えがある場合は・・・
上図の▲5六香 のように上部への利きがある駒の前に打っても成立します。
横へ逃げることができなければその駒を100%取れるのが香車ならではの強さです。
実戦の中で
・縦に駒が並んでいる
・横への逃げ道がない
という状況になっている駒、もしくはそうなりそうな駒があることに気付いた場合、
「田楽刺し」で有利になるチャンスです!
もし見つけたら
「香車を打つ形に持っていけないか・・・」
と考えてみると思わぬ好手が見つかるかもしれませんよ。
歩の代わりに使う香 「底香」「焦点の香」
香の手筋2つ目は「歩の代わりに使う香」
という使い方を紹介します。
これは手筋というより、
歩が使えない時に香を代用したら歩の手筋と同じような利点がある
というちょっとした小技です。
メジャーな例として
・底歩
・焦点の歩
の代用に香を使った
・底香
・焦点の香
を紹介します。
底歩の代用「底香」
上図は、先手の美濃囲いに対し、後手が△7九飛 と2枚飛車で寄せにきた所です。
ここで5筋に歩が打てるなら▲5九歩 と「底歩」を打って大丈夫なんですが、あいにく5七に歩がいるので打てません。
平凡に受けるなら▲4八金寄 ですが、これだと△5八銀 や△5八歩(下図)と絡まれて危ういです。
こういう時に有効なのが歩の代わりに香を使う「底香」(下図)です。
歩の代わりに▲5九香 と打てばガッチリと囲いが固くなり、▲4八金寄 とした形よりしっかりしています。
「底歩」を打ちたい気持ちが強くて「香」を温存しがちですが、
「歩の次に安い香」を「歩の代わりに使う」
のはけっこう効果的です。
歩が使えない時は香車を歩の手筋の代わりに使うといいですよ。
歩より強烈な「焦点の香」
上図は、▲3三歩 の「焦点の歩」が打てれば「舟囲い」が崩壊する形です。
実戦では美濃囲いの3筋の歩を切るのはあまりなく、滅多に叶わないのが痛いんですが・・・
ここで歩の代わりに香車使えば一気に寄せを狙えます。
上図以下、▲3三香(下図)
「玉」「金」「桂」の3枚が利いた所に打つ▲3三香 が「焦点の香」です。
この香打ちが入れば、どう対応されても6一の竜と連携した厳しい寄せが決まります。
△3三同金 は▲5二竜 と金を取って大成功・・・
△3三同桂 は▲1一竜 と香を取れますし・・・
△3三同玉 は▲2一竜 と桂を取れるので・・・
取る手がないなら△2二玉(下図)と逃げるくらいですが・・・
これには▲3三香 と香を打った形ならではの迫り方があります。
上図以下、▲3一竜(下図)
一段目まで通った香の利きを活かして▲3一竜 と入れば寄り形です。
△1三玉 と逃げるのは▲2二銀 △1二玉 (△2四玉 は▲2五歩 で詰み)▲2一竜(下図)の詰みなので・・・
△1二玉(下図)と逃げますが・・・
上図以下、▲3二香成(下図)
香車を成れば受けが難しいです。
歩の代わりに香を使った利点が分かる手順でしたね。
「焦点の歩」を狙いたいけど歩が打てない場合、思い切って香車を打ち込むのはアリですよ。
最後に
基本となる手筋「香車」編の1回目として
・田楽刺し(下図)
・底香(下図)
・焦点の香(下図)
を紹介しました。
一番分かりやすい香車の手筋なので、まずはこれらを的確に使えるようになるのが大切です。
ちょっと使いずらい駒かもしれませんが、まずは「田楽刺し」だけでも意識して狙ってみてください。
もし「田楽刺し」を含みに攻めを狙えるようになれば5級は越えてますよ。
※「5級を越える将棋講座 第11回」は下記リンクからどうぞ。
【5級を越える将棋講座 ⑪】香の手筋2「歩の弱点を突いた香の使い方」を解説【金底の歩 対策】 - ダメ人間ブログ【ニートの愚痴と将棋の記録】