今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に
後手番 ノーマル三間飛車
で挑み
58手
の短手数で勝てた将棋を紹介します。
見所は
・歩を狙う△4五銀 からの攻め
・飛車を犠牲にした3枚替え
・シンプルな寄せ
の3つです。
ちょっとした攻略の一例としてお楽しみください。
角を引けない▲6八金寄 はチャンス?
先手が「郷谷さん(上級-)」、後手が「私」です。上図は、後手のノーマル三間飛車に対し、郷谷さんが▲6八金寄 と少し変わった囲い方をした所です。
金が邪魔で▲6八角 と引く手が消えているスキに3筋方面から動ければ理想かもしれません。
上図以下、△8二玉 ▲5七銀 △5四銀(下図)
すぐに△5四銀 と動く手もあったと思いますが、7一玉型だと強く戦えないと判断して△8二玉 と囲いました。
でも、▲5七銀 との交換は上部が厚くなるのでちょっと損だったかもしれませんね。
上図以下、▲6六銀 △3五歩 ▲7八金上(下図)
▲6六銀 の受けに△3五歩 から石田流を目指す定番の流れに入りました。
ここで▲7八金上 と囲った形が
「左辺に駒が片寄って右辺が薄いから攻めるチャンス」
に見えたので、いつもと違う攻め筋を試してみました。
歩を狙う△4五銀 からの攻め

ここから早く攻めたい時に使える一手があります。
上図以下、△4五銀(下図)
単純に5六の歩を狙いながら銀を出る△4五銀 がその一手です。
自然な流れでこれから攻める3筋に駒を足せるのが良い感じですね。
ただ、AIの評価値的には微妙で、▲5五銀 とか出られると少し先手持ちの互角(+150点)くらいだったりします。
でも、3筋から動く展開に持ち込めるので、今回のように駒が片寄った将棋なら有力だと思います。
上図以下、▲5七銀(下図)
本譜は▲5七銀 と歩を受けてきました。
これには狙い通りの攻めを決行します。
上図以下、△3六歩 ▲同歩 △1五角(下図)
▲6八金寄 で5九への角筋が止まった欠点を突き、角成りの先手で端に角を出れば手が繋がると判断した手順です。
しかし、局後の検討では△1五角 が先手有利になる悪手(+400点)と示されました。
先手に離れ駒がないため、シンプルに▲1六歩(下図)から角成りを許し・・・
上図以下、△5九角成 ▲2四歩(下図)
2筋突破を見せて後手の攻めを誘えば先手ペースになるようです。
上図以下、△3六飛 ▲3七歩(下図)
△3六飛 には▲3七歩 と受けるのが冷静で・・・
以下、△3四飛 と飛車を引けば▲2三歩成 で先手が良いですし・・・
△3七同馬 ▲同桂 △同飛成(下図)と3筋突破を狙っても・・・
上図以下、▲5八飛(下図)
スキがない形に飛車を逃げておけば後手からの攻めが難しく、先手玉の固さが活きる展開になります。
玉がガッチリしてる時は軽すぎる攻めをしてもダメみたいですね。
飛車を犠牲にした3枚替え
局面を戻します。上図は△1五角 と角成りの先手で攻めを狙った所です。
ここで▲1六歩 から催促されたら先手ペースでしたが、本譜は違う手だったので後手も戦える展開になりました。
上図以下、▲4四角(下図)
郷谷さんが選んだのは角を飛び出して香取りを狙う一手です。
普通の一手に見えてコレが形勢を互角に戻す疑問手でした。
上図以下、△3六銀(下図)
香取りを無視して△3六銀 と出るのが厳しく、後手の攻めが成立しています。
上図以下、▲1一角成 △4七銀成(下図)
△4七銀成 で後手の攻め駒が一気に働く形になりました。
上図以下、▲3八歩 △5七成銀(下図)
上図が本局の明暗を分けるポイントの局面です。
正着は▲5七同金 と取り、△3三角 ▲同馬 △同飛 と進める手順でしたが・・・
上図以下、▲2一馬(下図)
飛車取りに馬を寄ったのが悪く・・・
上図以下、△6八成銀 ▲3二馬 △7八成銀(下図)
守りの金銀を一気に剥がす3枚替えが決まって後手ペースになりました。
さすがに金銀3枚との交換は無理だったようです。
上図以下、▲7八同銀 △5九角成 ▲3三馬(下図)
△5九角成 に▲3三馬 も疑問で寄り形になっています。
ここは▲7九銀 と受ける方が紛れがあったかもしれません。
シンプルな寄せ

受け駒が足りない内に寄せの形を作ります。
上図以下、△6八金(下図)
シンプルに貼り付く△6八金 が厳しいです。
次の△7九銀 を受けようにも手が難しいですね。
上図以下、▲7七馬 △7九銀 ▲9八玉(下図)
▲7七馬 と馬を引き付けてきましたが、狙い通り△7九銀 から迫り・・・
上図以下、△8八金 ▲同馬 △同銀成 ▲同玉 △7九角(下図)
△8八金 から清算して△7九角 と打てば寄り形です。
上図以下、▲9八玉 △7八金(下図)
△7八金 と寄れば定番の必至形ですね。
上図以下、▲9二金 △同香(下図)
最後に王手を1回打った所で郷谷さんの投了となりました。
狙いの攻めだった△1五角(下図)が疑問だったのは残念でしたが・・・
久しぶりの短手数勝利に繋がった一手として良くも悪くも忘れないようにしたいですね。
寄せの途中で生じた実戦詰将棋
局面を少し戻します。上図は△7九角 と寄せが決まった所です。
本譜は▲9八玉 と逃げましたが、ここで▲7七玉(下図)と上部へ逃げる手が気になった人もいると思うので補足します。
この手には△7八金(下図)から詰みがあります。
▲7八同玉 は△6八馬 の詰みなので▲6六玉(下図)と逃げるしかありません。
広く見えますが、ここから上手く迫ると詰みます。
実戦詰将棋として出題するので、お時間のある方は解いてみてください。
答えは数行下に書きます。
では答えです。
上図以下、△4八馬(下図)
馬引きの王手から詰みます。
上図以下、▲5五玉 △5四銀(下図)
△5四銀 が美濃囲いの金を詰みに参加させる好手で・・・
上図以下、▲4四玉 △4三金(下図)
△4三金 までのキレイな詰み上がりになりました。
7九の角がスーッと玉の退路を塞いでるのが強烈ですね。
最後に
いつもと違う▲6八金寄(下図)と囲った手をキッカケに・・・左銀速攻から△4五銀 ~ △3六歩 ~ △1五角(下図)の軽快な仕掛けを試した一局でした。
AI的には疑問の手順でしたが、対応を間違えれば大変なことなる攻め筋として覚えておいて損はないと思います。
先手に離れ駒があれば成立する場合もあるような気がしますしね。
ちょっと研究課題として△4五銀 を色々試してみようかな・・・