今回は「ぴよ将棋w」の
Lv8 ピヨ平(10級)
に43手で勝った「相掛かり」の一局を紹介します。
見所は
・序盤の基本(▲9六歩 と▲3六歩 の違い)
・AI推奨の「と金」の使い方
・後手からの反撃の筋
の3つです。
致命的なミスをしがちな10級を攻略する一例としてお楽しみください。
▲9六歩 の意味
先手が「私」、後手が「ピヨ平(10級)」です。初手から、▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩(下図)
お互いに飛車先を伸ばし合い「相掛かり」のスタートになりました。
上図以下、▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀(下図)
まずは▲7八金 △3二金 で角頭を守り合い、▲3八銀 △7二銀 とお互いに飛車先の歩交換を保留する展開になっています。
この辺は油断ならない有段者っぽい感じですね。
ここでちょっとした分岐点を迎えています。
▲9六歩 と様子を見るか、すぐに▲3六歩(下図)と突いて右銀の活用を急ぐかです。
▲9六歩 を省略して▲3六歩 と突いた場合・・・
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同飛(下図)
と、このタイミングで一歩交換して3六の歩を取りにいく意欲的な手順があります。
次に△8七歩 と打たれると終わりなので▲8七歩(下図)と受けざるを得ませんが・・・
そうなると飛車を大きく使って△3六飛(下図)と一歩取る手が成立します。
突いたばかりの歩を取られて失敗かと思いきや・・・
上図以下、▲3七銀 △3四飛 ▲4六銀(下図)
と、一歩を犠牲に銀を素早く繰り出すのが先手の主張になります。
これはこれでアリな展開で好みが分かれる所ですね。
本譜は△3六飛 と一歩取られるのが嫌なので▲9六歩(下図)と様子を見ました。
無難な進行が好きなら▲9六歩 がオススメですね。
王道の相掛かりに進む
先手が▲9六歩 と様子を見た上図。
本譜は後手も様子を見てきたので無難な駒組みが続きます。
上図以下、△9四歩 ▲3六歩 △8六歩 ▲同歩 △同飛(下図)
▲3六歩 を突いた所で△8六歩 から一歩交換にきましたが、▲9六歩 の効果で△8七歩 を受けなくていいのが利点です。
仮に△8七歩 と打たれても▲9七角 とかわせば大丈夫ですから。
角頭の受けを省略できるので▲3七銀(下図)と上がり、王道の居飛車らしい進行です。
ここまでは特に乱れもなく10級も油断できない感じがしますね。
後手の致命的なミスで勝勢に
上図以下、△8二飛 ▲8七歩(下図)
△8二飛 には▲8七歩 と受けるのが大切です。
もし放置して▲4六銀 と指したりすると△8六歩(下図)の垂れ歩を食らって終わりですから。
▲8七歩 と受ければ後手からの急な攻めもないので、以下、△3四歩 ▲4六銀(下図)と進むのが定番です。
△3四歩 には▲2四歩 から一歩交換する手もありますが、本譜は銀の活用を急ぐ▲4六銀 を選択しました。
この辺は好みですね。
ここで後手が△4二金(下図)という疑問の一手を指してきたので仕掛けます。
上図以下、▲2四歩(下図)
角頭が弱くなったのでそこを突く普通の一手です。
上図以下、△2四同歩 ▲同飛 △3二金(下図)
とすれば特に致命傷になるわけでもない一局の将棋なんですが、10級ということもあり△2四同歩 と取らず△6二玉(下図)という致命的なミスをしてきました。
上図以下、▲2三歩成 △2七歩 ▲同飛 △4四角(下図)
これにはありがたく▲2三歩成 と急所に「と金」を作って先手勝勢です。
△4四角 と逃げた上図で「と金」を上手く活用するポイントの一手があります。
Apery推奨の「と金」さばき
どう攻めても先手の勝ちに見える上図ですが、ここで▲2四と(下図)と引くのがApery推奨の上手い一手です。
次に▲3四と と角取りに寄る手が▲2一飛成 も見た強烈な一手になります。
一瞬フワっとしたヌルイ手に見えて、次に急所を突き刺す一撃を狙った高段者らしい一手ですね。
本譜は▲2四と が見えず▲2二歩(下図)という平凡な攻めをしたので後手に面白い反撃の筋を与えていました。
4四の角を活かした反撃を考えてみてください。
飛車先を逆襲する反撃
先手の攻めが決まったように見えますが、後手にも手がないわけではありません。
上図以下、△2二同銀 ▲同と △2六歩(下図)
まずは△2六歩 で飛車を押さえ・・・
上図以下、▲2八飛 △8五飛(下図)
眠っていた飛車を△8五飛 と浮いて△2五飛 を狙うのが面白い反撃です。
この局面では△2五飛 と回られても▲1六銀 や▲3八金 という受けがあるので大丈夫ですが、場合によっては使える手順になります。
飛車先を逆襲する反撃として覚えておくといつか使える日が来るかもしれませんよ。
寄せまでの手順
局面を戻します。上図は、▲2二歩 と先手が桂取りに歩を打った所です。
ここで△2二同銀 ~ △2六歩 と飛車を押さえる反撃もありましたが・・・
上図以下、△3三桂 ▲2一歩成 △5一金 ▲3一と(下図)
△3三桂 とシンプルに桂を逃げたので「と金」攻めが決まって先手勝勢になりました。
上図以下、△8三飛 ▲3三と △同角 ▲2一飛成(下図)
△8三飛 と一手パスのような手に乗って▲3三と ~ ▲2一飛成 と飛車を成り込んであと少しです。
上図以下、△8五歩 ▲3二と △4四角 ▲4二と(下図)
10級ということもあり「好きに寄せてください」と言わんばかりの応手ですね。
上図以下、△4二同金 ▲7一銀 △5二玉 ▲6二金(下図)
ここでピヨ平の投了となりました。
途中で▲2四と のような好手を逃しつつも、43手で終わったのでそんなに悪くない一局だったと思います。
最後に
ピヨ平(10級)との一局を通して、ちょっとだけ「相掛かり」の基本に触れてみました。序盤に▲9六歩 と▲3六歩(下図)を突くタイミングでのちょっとした違い・・・
次に強烈な狙いを秘めた▲2四と(下図)・・・
の2つは実戦で使えると思うので、似た局面になったらお試しください。