きのあ将棋の「実戦よくある形の詰将棋」に挑戦しました。
今回はこちら。
「よくある詰め 256」です。
上のリンクから挑戦してみてください。
詰将棋っぽい手が通用しない
こちらの問題、「実戦よくある形の詰将棋」という通り、実戦でも出てきそうな形ですよね。
ただ、竜の利きが強くて詰みそうだけど詰まなそうな微妙な感じです。
これ詰むんだ・・・
それがこの問題を見た時の率直な感想ですね。
う~む・・・
でも詰将棋っていうんだから詰むんだよな・・・
とは言っても詰みの形があんまり浮かばないような・・・
この手の問題はやっぱり上部に玉を逃がすと捕まらないんだろうなぁ・・・って感じなんですが、どうやっても上部へ逃げられる感がある・・・
一応、銀の利きで8四は塞いでいるけど、9三まで逃げられると竜が強くてどうやっても詰まなそう。
とりあえずそれっぽい手を読んでみるか・・・
というわけで、最初に考えたのはコレ。
上図以下、▲7一角成(下図)
取れば▲7二金の詰みなので取れない。
こういう取れるけど取れない手っていうのは詰将棋っぽいよね。
とりあえず玉は逃げる一手。
上図以下、△9二玉(下図)
そして思う・・・あれ?詰まない?って。
竜が邪魔・・・
とは言ってもまだなんとかなるかもしれない。
一応、ここで詰将棋っぽい一手はありますから。
それがこちら。
上図以下、▲8三金(下図)
ちょっとハッとしません?対応を誤ると詰みますから。
△8三同歩なら▲9三金。
△8三同玉なら▲8二馬。
いずれも一手で詰んでしまいます。
しかし、そう簡単にいくわけもなく・・・
上図以下、△8三同竜(下図)
で詰みません。
やっぱり竜の力は強かった・・・こいつさえいなければ・・・
というわけで読み直し。
初手▲7一角成はパッと浮かぶ手ではあるけどハズレでした。
となると・・・
う~ん・・・
もうちょっと変わった手が求められるのかな?
じゃあこれはどうだろ?と考えた次の手はこちら。
▲9三桂(下図)
ちょっと詰将棋っぽい手ですよね。
竜を無視して玉を攻める感じで盲点をついた手みたいで。
仮に△9三同香(下図)と取ると・・・
上図以下、▲7一角成△9二玉▲9一金△同玉▲8一金△9二玉▲9一金打△8三玉▲7二馬(下図)
で詰みます。
9三の退路を防ぎつつ、強力な竜を完全無視した完璧な詰み手順、詰将棋っぽい。
でも、それは勝手読みというやつで・・・
▲9三桂以下、△9二玉(下図)とかわされると詰みません。
一瞬「これだ」って思ったんですがダメでした・・・
う~む・・・
となると残された手はこれか?
▲7二金(下図)
何ていうか、詰将棋っぽさはない手ですよね。普通の王手、まさに実戦って感じ。
ただ、これも詰ますのは容易じゃないような・・・
上図以下、△9二玉▲8二金(下図)
と進みますが、これは竜が大活躍してしまう・・・
上図以下、△8二同竜▲同銀成△同玉(下図)
こうなると詰ますのは難しい・・・
玉が広いし、バラして玉を裸にするっていうのは詰将棋っぽくないよね。
そもそもここから捕まえる手順が全く見えない・・・
この広い玉が捕まるの?どうやっても上部脱出が避けられないような・・・
う~む・・・手がかりが掴めん・・・
これは無しかな?
となると?他の手って事になるんだけど・・・
もう手がない・・・
じゃあこのバラした玉を捕まえるしかないの?
マジで?ちょっと待ってよ・・・この玉を捕まえるの難しいよ・・・
分からん・・・
もうダメだ・・・いくら読んでも玉を捕まえる手順が見えてこない・・・
考え始めてから1時間・・・
いつまで経っても詰まない玉・・・
本当に分からない・・・もうホントにダメだ・・・
降参・・・
降参だよ・・・
参りました・・・きのあ将棋様に完敗です・・・
私には一生かかっても解ける気がしません・・・負けました・・・
でも、このまま分からないままじゃ夜も眠れない・・・
というわけで出番です。
Bonanza先生、助けてください!
結局1時間くらい考えましたが解けず、Bonanza先生に答えを聞く事になりました。
悔しい・・・
自分のヘボさに悲しくなる・・・
でもしょうがない、分からないもんは分からないんだから・・・
もう解ける気がしないので「明日また考えよう」とはならず、完全にあきらめてここで答えを教えてもらう事にしました。
盲点に盲点を重ねた手順が答えだった
この詰将棋、みなさんは解けましたか?答えを見た私の感想としては、詰将棋慣れしてるほどちょっと解きずらい問題かな?って感じでした。
本に出題されているようなキレイな詰将棋に慣れているほど盲点に盲点を重ねた手順に見えるような気がします。
では答えです。
▲7二金△9二玉▲8二金△同竜▲同銀成△同玉▲7二金△同玉▲6二飛△7三玉▲6五桂△8四玉▲8五歩△同玉▲8六金△8四玉▲8二飛成△8三歩▲6二角成(下図)
までの19手詰めが正解でした。
私にとって盲点だったのは2つ。
1回バラしてから再度玉を捕まえにいくという所。
そして、上部に逃がしても捕まえる事ができたという所です。
バラしてから捕まえる詰将棋って本とかには中々ないですよね。
なんか上手くパズルみたいに解くのが詰将棋って感じで。
そして上部脱出を阻止するのが詰将棋の基本みたいな思い込みがあったので、8四にまで逃がしたらもう捕まらないというあきらめが読みを打ち切る原因でした。
途中までは読めていたけれど、その先が見えてなかったというか、こんな答えのはずがないっていう思い込みであきらめていた感があります。
こんな詰み筋あるなんて実戦詰将棋っていうのは面白いですね。
本ばかりで練習していると思いつかないような手順が出てくるので勉強になりました。
私みたいに本の詰将棋しか解いてない方はきのあ将棋の詰将棋を解いてみるといいですよ。
実戦ならではの筋なんかがあって面白いですから。
オススメです。
細かい部分を補足します
ちょっと答えだけだと細かい部分が分からないと思うので補足します。まず、▲8二金(下図)と王手を掛けた所。
先ほどは△8二同竜と取りましたが、ここは△9三玉(下図)と逃げる手もあります。でも大丈夫です。
上図以下、▲8三金打△同竜▲同金△同玉▲8四金△9二玉▲8二飛(下図)
で詰みます。
なので▲8二金は△同竜と取るのが最善みたいですね。
そしてバラした後のこちら(下図)
ここからどう捕まえるのかがポイントなんですが、▲7二金(下図)が明快な一手ですね。
他にも▲8一金でも詰んだりしますが、今回は▲7二金を解説します。
ここでも取らずに逃げる変化があります、でも詰みます。
上図以下、△8三玉なら▲8二飛△9三玉▲8三金で詰みますし、
△9三玉なら▲8三金△同玉▲8二飛△9三玉▲8五桂(下図)で詰みます。
なのでここは△7二同玉と取るのが最善です。
そして決め手ともいえる飛車打ちの▲6二飛(下図)が実現します。
答えでは△7三玉と逃げましたが、ここは△8三玉(下図)と逃げる手もあります。でもこちらも詰みます。
上図以下、▲8四歩△同玉▲7六桂(下図)で上に逃げても下に逃げても金打ちまでです。
上に逃げたら▲8六金、下に逃げたら▲8四金ですね。
なので、答えの通り△7三玉と逃げるんですが、▲6五桂(下図)が決め手ですね。
ここも答えでは△8四玉と逃げましたが、△8三玉(下図)と逃げる手もあります。でも詰みます。
上図以下、▲6三飛成△8四玉▲7三竜△8五玉▲8六金(下図)
までの詰みです。
角の利きによって、意外と上部脱出できそうでできないっていうのがポイントですね。
これに気付かなかったばかりに読みを打ち切ってしまって解けませんでした。
角による上部脱出阻止の筋があるというのが1つ頭に入ったので、これからはもうちょっと先まで読むようにしようと思いました。
最後に
詰将棋であまり見ない答えだったので盲点になり解けなかった問題を紹介してみました。特に、1回バラしてから再度捕まえにいくっていうのは玉が広くて難しかったですね。
捕まる気がしなかったです。
これをあっさり解けた方はすごいですね。
よくある詰将棋の型にはまらず柔軟な対応が出来る素晴らしい対応力を持った方だと思います。
本ばかりじゃなくてこういう実戦問題も解く必要があると改めて感じました。
きのあ将棋にはこういった詰将棋がたくさんあるので、まだやった事がない方は解いてみるといいですよ。
実戦ならではの駒余りのある詰将棋っていうのもいいトレーニングになりますから。
きのあ将棋を棋力アップに有効利用しましょう。