今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に
54手
で勝った「後手番 三間飛車トマホーク」の一局を紹介します。
疑問手をトガめて勝つ一例としてお楽しみください。
端攻めを受けない2手で形勢が傾く
先手が「郷谷さん(上級-)」、後手が「私」です。上図はオーソドックスな「居飛車穴熊」vs「三間飛車トマホーク」の駒組みをした所です。
後手としては次に△8五桂 の仕掛けを狙っているので先手は何かしら対応を求められています。
よく見るのは
▲9五角 と歩を取る手・・・
▲8六歩 と桂跳ねを受ける手・・・
▲5八金 と金を上がる手・・・
などでしょうか・・・
個人的に嫌なのは▲9五角 と歩を取られて攻めを催促される変化ですね。
郷谷さんはけっこうな確率で▲9五角 を指してくることがありますが、本譜は違う一手でした。
上図以下、▲3六歩(下図)
「受ける気はない」
という強気の手ですね。
これは後々△5五角 みたいな手が飛車取りに当たるのでありがたい一手に感じました。
上図以下、△8五桂 ▲6八角 △4五歩(下図)
ここをチャンスと見て△8五桂 ~ △4五歩 と攻めの形を作ります。
穴熊崩しの理想形になりつつあるので何か受けないと持たないんですが、先手が指した次の一手がマズく後手有利になりました。
上図以下、▲3八金(下図)
そっぽに上がった▲3八金 は守備力を弱めながら一手パスする疑問手です。
郷谷さんがたまにやる一手ですね。
上図以下、△9七桂成 ▲同桂 △9六歩(下図)
これには定番の△9七桂成 からの端攻めが成立し・・・
上図以下、▲7七桂 △9七歩成 ▲同香 △同香成(下図)
後手の攻めが続く形になりました。
金なし将棋に受け手なし
あとはミスさえしなければ後手が勝ち切れます。
▲6五桂 と銀を取ると△7六桂 が刺さるので・・・
上図以下、▲9七同銀 △8五桂(下図)
本譜は成香を取ってきましたが、角筋を活かして△8五桂 と絡めば寄り筋です。
ただ、AI的には△8五桂 ではなく△7六銀 と擦り込む手を推奨していたので最善ではなかったですけどね。
上図以下、▲8六銀 △7七桂成 ▲同角(下図)
シンプルに駒を交換していき・・・
上図以下、△7七同角成 ▲同銀 △8五桂(下図)
再度△8五桂 と絡めば受けにくいです。
▲8六銀 と桂取りに当てながらかわす手には△5五角 がピッタリですね。
上図以下、▲4三角 △7七桂成 ▲同金 △7六香(下図)
本譜の▲4三角 は△5二金左 と上がってない形でよく見る受けの一手です。
銀取りに当てて催促しつつ、あわよくば馬を自陣に引き付けて粘るヤッカイさがありますが、今回の形では成立しませんでした。
上図以下、▲7六同金 △同銀 ▲同角成(下図)
ここで
「金なし将棋に受け手なし」
の格言が刺さる決め手があります。
上図以下、△9七銀(下図)
銀・桂・香・歩 の持ち駒では
・△9八金
・△8八金
という2つの詰みを受ける術がなく、ここで郷谷さんの投了となりました。
以下、▲8九銀(下図)と打つのが最善だと思いますが・・・
上図以下、△9八歩 ▲同銀 △8八金(下図)
横に進めない銀の弱点を突けば詰みます。
最後に
久しぶりの短手数勝利だったので記事にしてみました。まぁ、嬉しさよりは裏側の読みの甘さを反省する意味が大きいですけどね・・・
ポイントは▲4三角(下図)と打たれた局面・・・
本来ならこの段階で最終手の△9七銀 が必至だと読み切って寄せるんだと思いますが、実戦ではそれに気づいてませんでしたから・・・
「最終的に△9七銀 とかで上から押さえれば受けにくいよね?」
くらいの感じで桂成りから△7六香(下図)と打ち・・・
雑に清算して△9七銀(下図)を打ったら投了されて・・・
「あ、そうか、金がないから必至なのか・・・」
って気付くゴミっぷりでした・・・
先手が金を持ってなくて本当に良かったよ・・・
こういう甘さが命取りになるので、もうちょっと根拠のある読みを背景にした寄せができるようになりたいですね。