今回は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に「三間飛車トマホーク」で挑み
ヤッカイな▲5五角(下図)
への対応を間違えて苦戦した一局を紹介します。
AIが示した正着も書いていくので、相手の狙いにハマらない指し方の一例にどうぞ。
▲3六歩 ~ ▲5五角 がヤッカイだった
先手が「郷谷さん(上級-)」、後手が「私」です。まずは上図の△9三桂 と端攻めを狙った局面から▲5五角 までの流れを書いていきます。
この局面では6割くらい▲9五角 と歩を取る傾向がありますが・・・
上図以下、▲3六歩(下図)
最近の郷谷さんは▲3六歩 と端攻めを受けない手が増えてきた気がします。
飛車のコビンが開くからありがたい手に見えましたが・・・
上図以下、△8五桂 ▲5五角(下図)
端攻めを狙う△8五桂 に、いつも通り▲6八角 と引かず、大胆に▲5五角 と出てきたことで気付きます。
▲3六歩 は攻めの一手じゃなく▲3七角 と引くスペースを作った手だったんだと・・・
先手の狙いは角を使った牽制でした。
美濃の弱点を睨みつつ、場合によっては▲3七角 ~ ▲2六角 と中途半端な後手玉を狙う感じですね。
この狙いにハマらないためには玉のコビンを開けないのが大切です。
なので▲5五角 への正着は△5四銀(下図)と角取りに引く手で・・・
上図以下、▲3七角 △4五歩(下図)
自陣を引き締めながら△9七桂成 の端攻めを見せておけば後手ペースになるというのがAIの判断でした。
香が手に入れば△7六香 と絡む手もあって悪くない流れですね。
以下、▲7四歩(下図)がちょっと気になりますが・・・
上図以下、△6五銀(下図)
銀を上がって▲7三歩成 ~ ▲7四歩 としつこく絡む手を受けておけば大丈夫です。
こういう展開を見越した対応ができれば良かったんですが、私が▲5五角 に指したのは△5四銀 ではなかったので先手の狙いにハマる形になりました。
やや疑問の△5四歩
局面を戻します。ここでの正着は△5四銀 ですが、私が指したのは・・・
上図以下、△5四歩(下図)
玉のコビンを開ける△5四歩 だったので・・・
上図以下、▲3七角 △4五歩 ▲2六角(下図)
いつものノリで角道を開けたら玉を突き刺す▲2六角 を食らってしまい、先手の狙い通りの展開になってしまいました。
「一度出た銀を引きたくない」
っていう変な攻めっ気が祟った感じですね。
ただ、コレはコレでまだ後手持ちの展開らしく、正しく指せれば大丈夫なようです。
この王手をどう受けるかですが・・・
上図以下、△5二玉(下図)
実戦で指した平凡な△5二玉 は次善手でした。
ここに玉を逃げると▲4四桂 の王手飛車があり・・・
上図以下、▲8六歩 △9七桂成 ▲同香(下図)
丁度いい所に落ちていた桂を取りに▲8六歩 と突かれて困りましたから・・・
AI的には正しく応じれば後手ペースと示していても、実戦心理としては
「あ、桂を渡したら王手飛車があるじゃん・・・」
「メッチャ受けにくい・・・」
「▲2六角 が大活躍しちまった・・・これはヤバイ・・・」
みたいな感じで敗戦模様でしたよ。
△5二玉 は▲5三角成 を受ける自然な手に見えましたが、実は角成りを許しても大丈夫だったようで、逃げるなら△5一玉(下図)が最善でした。
上図以下、▲5三角成 △4二金(下図)
角を成られても△4二金 と受けておけば急に後手陣が引き締まり、△9七桂成 からの攻めを見た後手ペースでしたから・・・
目先の一手ばかり見てないで数手先を読んで形勢判断をするのは大切ですね・・・
▲4四桂 への対応
局面を戻します。次に▲4四桂 の王手飛車があるのでどう対応するかが問題です。
実戦は△4二飛(下図)と平凡に受け・・・
上図以下、▲7七桂 △7六銀 ▲6八桂(下図)
銀が捕まってピンチに見えましたが・・・
上図以下、△9六歩(下図)
銀取りを無視して△9六歩 と踏み込んだのが好手で後手ペースになりました。
ただ、△4二飛 と指した所では、いきなり△9六歩(下図)と踏み込む方がよかったようです。
上図以下、▲4四桂 △4三玉 ▲3二桂成 △同玉(下図)
飛車を犠牲に玉を安全にして端攻めを狙う発想ですね。
こうなると玉に近い場所を戦場にしている後手ペースでした。
端攻めが成立する場合、トマホーク側の飛車はニート化することがあるので、そういう時は取らせて得をする発想が大事なのかもしれません。
分かりやすい展開になる
局面を戻します。上図は銀取りにかまわず△9六歩 と突いた所です。
銀を取るか・・・
端の面倒を見るか・・・
判断が分かれますが、実戦は・・・
上図以下、▲7六桂 △9七歩成(下図)
銀を取ってきたので急所に「と金」ができて分かりやすくなりました。
△9八と の詰めろなので先手も気を使う展開ですね。
上図以下、▲5三銀(下図)
この王手飛車取りがちょっと怖いですが・・・
上図以下、△5一玉 ▲8九玉(下図)
先手も銀を渡すと危ないので何とも言えない感じです。
本譜は飛車を取らず▲8九玉 と逃げたので・・・
上図以下、△4三飛(下図)
冷静に飛車をかわして後手優勢になりました。
ちなみに、▲7六桂 と銀を取った所で▲9六同香(下図)と端を受けた場合は・・・
上図以下、△9六同香 ▲8九玉 △7七銀成 ▲同銀 △1四桂(下図)
入手した桂・香を利用して先手の右辺から攻める手があったようです。
以下、▲3七角 と逃げたら△2六香 と飛車取りに打てば良いですし・・・
▲5三銀 と王手飛車を掛けてきたら△4三玉 ▲4二銀成 △同金(下図)と進めれば・・・
先手から有効な手がなく後手ペースです。
勝負手の▲4四角には・・・
局面を戻します。上図は△4三飛 と逃げて先手が切れ模様になった所です。
あとは慌てなければ勝てそうですね。
上図以下、▲9七銀 △同香成 ▲9八歩 △9六成香(下図)
先手の無理な対応に自然と応じ、ゆっくり勝つ展開を目指します。
上図以下、▲2四歩 △同歩 ▲4四角(下図)
ちょっと惑わす▲4四角 にドキっとしましたが・・・
上図以下、△4四同飛(下図)
飛車で取るのが冷静で後手優勢をキープできました。
上図以下、▲4四同銀成 △同角 ▲4三飛 △3三角打(下図)
角の重ね打ちで急所を睨めば寄せ切れそうです。
安全勝ちを目指す無難な進行
受けのない先手は・・・
上図以下、▲6四桂 △同歩 ▲6六歩(下図)
暴発気味の一手を指してきました。
AI的には▲6四桂 の所で△7七角成 と踏み込んで勝ちと示していましたが、無理をして負けるのが怖かったので無難に対応し・・・
上図以下、△5二金右(下図)
飛車を取って攻め手を奪う安全勝ちを目指しました。
上図以下、▲4四飛成 △同角 ▲6九角 △7六桂(下図)
ジワジワ駒を足せば盤石ですね。
上図以下、▲5九銀 △2五香(下図)
飛車筋を通して受ける▲5九銀 に△2五香 と打った所で郷谷さんの投了となりました。
最後に
三間飛車トマホークでやられるとちょっとヤッカイな▲5五角(下図)には・・・角の睨みで牽制される展開になると面倒なので△5四銀(下図)と引いて自陣を引き締め・・・
以下、▲3七角 △4五歩(下図)と進めて・・・
△9七桂成 の端攻めを狙いながら様子を見れば大丈夫だと思います。
玉のコビンを開ける△5四歩(下図)は▲2六角 が刺さるのでオススメしません。
もし似た変化になった時はお気を付けください。