今回は「きのあ将棋」や「ぴよ将棋」の初段前後のAIが居飛車穴熊模様にした時に有効だった
「三間飛車」から「向かい飛車」への振り直し作戦
での基本的な勝ちパターンを紹介します。
三間飛車をやった時に持久戦にされて困っている方のちょっとしたヒントになれば嬉しいです。
- 離れ駒がある形で飛車をぶつけるのが狙い
- △1四歩 は大切な一手
- 仕掛ける前に△3二金 で飛車打ちのスキを消す
- 飛車交換から▲4一飛 と打ってきたら後手勝勢
- 「三間飛車」から「向かい飛車」への振り直し作戦をやる場合のポイント
- 最後に
離れ駒がある形で飛車をぶつけるのが狙い
上図は「きのあ将棋」の「郷谷さん(上級-)」に後手番で三間飛車をやった時の序盤戦です。
先手が持久戦の方針を決めたので、穴熊と左美濃のどちらに囲うかを待っている所ですね。
ここから△9五歩 などで待機し、先手が▲9八香 と穴熊を宣言したら△2二飛(下図)と回り・・・
ガッチリ囲われる前に△3二金 ~ △2四歩(下図)と開戦するのが基本方針になります。
上図以下、▲2四同歩 △同飛(下図)
「離れ駒があるから飛車交換できないでしょ?」
と強気に飛車をぶつけるのが気持ちいい一手です。
冷静に▲2五歩 と交換を拒否すれば何でもないんですが・・・
初段前後のAIだと▲2四同飛 と飛車交換してくることがけっこうあり、簡単に有利な中盤戦に持ち込めます。
この飛車交換を誘うのが今回の攻略パターンになります。
本来は▲9八香 を待つのがセオリーですが、この時はうろ覚えでやったのもあって最初の図で△2二飛(下図)と回ってしまいました。
でも、ここからこの戦法の勝ちパターンに持ち込めたので参考手順として実戦譜を紹介します。
△1四歩 は大切な一手
上図以下、▲1六歩 △1四歩(下図)
▲1六歩 には△1四歩 と受けるのが大切な一手です。
これは後に△1三桂 と跳ねる手を用意した意味があります。
今回はその変化にはなりませんが
「△1四歩 は突いておく価値のある一手」
と覚えておいてください。
仕掛ける前に△3二金 で飛車打ちのスキを消す
上図以下、▲9六歩 △3二金(下図)
後手の狙いは△2四歩 ですが、すぐに仕掛けると飛車打ちのスキが残るので△3二金 と上がるのが大切な一手です。
ただ、今回のように先手玉が露出してる場合は△3二金 と上がらずに△2四歩 ▲同歩 △同飛(下図)の仕掛けが成立しなくもありません。
もし▲2五歩 と飛車交換を拒否せず・・・
上図以下、▲2四同飛 △同角 ▲2二飛(下図)
▲2二飛 と「角」「桂」の両取りに打ってきても・・・
上図以下、△2八飛(下図)
角に紐を付ける△2八飛 が王手で入るので・・・
上図以下、▲7八銀 △3二銀(下図)
△3二銀 と手を戻す余裕があり、悠々と飛車を捕獲できるからです。
上図以下、▲6五歩 △2三歩(下図)
▲6五歩 と角筋を通してどうにか飛車を助けにいく手には△2三歩 と打つのが冷静で、いつでも△3三角 と引ける形にしておけば問題ありません。
上図以下、▲4四角 △2九飛成(下図)
▲4四角 にも慌てず△2九飛成 や△6五歩 と指し、機を見て△3三角 を狙えば大丈夫です。
コレはコレで初段前後のAIをハメる攻略手順として使えるので、もし△2八飛 が王手で入る場合はすぐに突っかけるのもアリです。
飛車交換から▲4一飛 と打ってきたら後手勝勢
局面を戻します。上図は△3二金 と飛車打ちのスキを消して仕掛けの準備をした所です。
上図以下、▲7八銀 △2四歩(下図)
本譜は左美濃だったので離れ駒はありませんが、それでもかまわず仕掛けます。
上図以下、▲2四同歩 △同飛(下図)
郷谷さんは▲2五歩 と拒否することもありますが・・・
上図以下、▲2四同飛 △同角 ▲4一飛(下図)
6割くらいは飛車交換から▲4一飛 と打ってきます。
これは後手が待ち受けていた一手で・・・
上図以下、△2二飛(下図)
自陣飛車の△2二飛 で桂取りを受ければ飛車の行き場がありません。
あとはゆっくり飛車を取りにいけば後手勝勢になります。
上図以下、▲2五歩 △3三角 ▲9五歩(下図)
アヤを求めて動いてきますが、後手は急がなくていいので冷静に対応するのが大切です。
上図以下、△9五同歩 ▲同香 △同香 ▲同角(下図)
端の面倒を見て・・・
上図以下、△9一香 ▲8六角 △5二銀(下図)
嫌味を残さない形で△5二銀 と捕獲にいけば紛れもありません。
上図以下、▲6一飛成 △同銀左(下図)
美濃囲いも大きく崩れず文句のない展開ですね。
このように△2四同飛 から飛車交換を誘い、▲4一飛 を打たせて飛車の捕獲を狙うのが1つの攻略パターンです。
▲4一飛 を打たれた形では飛車・金交換が必然ですから、変に得しようとせず無難に指すのが大切になります。
「三間飛車」から「向かい飛車」への振り直し作戦をやる場合のポイント
今回の振り直し作戦を使う場合、駒組みにちょっとだけポイントがあります。それは
左金を4一のまま保留する
ということです。
この金は△5二金左 と美濃囲いを強化するのではなく、△3二金(下図)とバランスよく構えるために使いますから。
左金を保留することで少し作戦の幅が広がるので
相手の動きを見ながら金の方向性を決める
という指し方を覚えると面白くなるかもしれません。
最後に
初段前後のAIが居飛車穴熊模様にした時に有効な向かい飛車への振り直し作戦
の勝ちパターンを紹介してみました。
穴熊を宣言したらすかさず「向かい飛車」に振り、離れ駒がある内に△2四歩 ▲同歩 △同飛(下図)と仕掛ければ勝機があります。
「ぴよ将棋」でも初段前後なら飛車交換をしてくることがあるので試しに狙ってみると簡単に勝てるかもしれませんよ。
ちなみに、△2四同飛 に▲2五歩(下図)と飛車交換を拒否された場合の指し方は・・・
「三間飛車 新時代」
という本で面白い手順が解説されています。
「ちょっとした違いでこんな攻め筋が生まれるのか・・・」
という感動を味わえると思いますよ。
他にも三間飛車での持久戦対策が満載なので、穴熊や左美濃に苦戦して行き詰まりを感じている方はぜひ読んでみて下さい。