今回は
「四間飛車を指しこなす本 2」
のレビューをしたいと思います。
この本は、四間飛車を指すなら避けて通れない
居飛車穴熊
に対する基本的な指し方を学べる本です。
飛車を左から4番目の筋に振って美濃囲いに組む
というのは覚えたけど、居飛車が△3三角(下図)と持久戦を目指した時・・・
コレといった対策を知らず簡単に穴熊に組まれ、
「堅くて遠い玉に手が付けられず勝てる気がしない・・・」
みたいな状況になっている級位者は多いと思います。
本書では、そういった方の悩みを解決できる
序盤から動いて簡単に組ませない指し方
を5つ解説しているので「最初に読む穴熊対策本」としてオススメできます。
読み終えた頃には
・主導権を握るコツ
・組まれる前に動く発想
・穴熊の急所を攻める感覚
などが身に付いて持久戦の将棋が楽しくなると思いますよ。
この記事では、本書の内容に触れながら感想を書いていくので、購入を迷ってる方は参考にしてみてください。
実戦感覚で読める「次の一手」方式
本書は普通の定跡書とは違い実戦感覚で読める「次の一手」方式
で書かれた実戦的な内容になっています。
ポイントになる局面でどう指すかを問われ、ヒントを元に考えてから進むので
・考えるべき局面
・どこに目を向けるか
・定番の狙い筋
などの要所が分かりやすくなっています。
何度も読み返すことで「方向性が定まった筋の良い将棋」に近づきますし、級位者の頃は逃しがちな「勝負所に気付く嗅覚」も磨けて上達が早まると思います。
「相手が力を出す前に技を掛ける」指し方が学べる
軽く本書の流れに触れます。まずは
「なぜ穴熊に組ませるとダメなのか」
について「振り飛車が不利になる具体例」に触れてから
「そうならない為の5つの作戦」
に進み、本書のテーマでもある
「相手が力を出す前に技を掛ける」
という「対 穴熊」において大切な指し方を学べます。
・▲5六銀 からの速攻(下図)
・王道の▲6六銀型(下図)
といった
「まずはコレを知らなきゃ始まらない」
と言えるメジャーな作戦や・・・
・角交換を狙う積極策
・▲4八飛戦法
などの知らなきゃ指せなそうな作戦・・・
そして著者の藤井猛九段が考案した「藤井システム」の基礎まで・・・
これらの「対 持久戦」における有力な積極策を通して
敵陣が不安定な内に開戦する手順
を知ると「相手が力を出す前」を狙う大切さが理解できると思います。
この考え方を軸に
・仕掛けのタイミング
・相手陣の急所
・どの形ならどの作戦が有効か
を間違えないようになれば指し方が大きく改善されて作戦負けしにくくなりますね。
「序盤の注意点」から「寄せの手筋」まで幅広く触れているので、この1冊がしっかり頭に入れば初段に届くと思いますよ。
格言を通して穴熊と戦う時のポイントが分かる
実戦的な「次の一手」を解いていく中で穴熊と戦う時の格言
として覚えておきたい言葉がいくつか出てきます。
ネタバレ防止に伏字にしますが
・玉の堅さは常に〇〇との〇〇
・2つ以上の筋を突く時は〇〇されても〇〇な方から突く
・端攻めを決行する場合は常に〇〇の〇〇を意識する
など、これらを理解すると
なぜその手を指すのか・・・
なぜその順番じゃなければダメなのか・・・
といった「他の戦法にも応用できる考え方」が分かって成長に繋がると思いますよ。
最後に
居飛車穴熊に苦戦してるなら「四間飛車を指しこなす本 2」
を読んで「対 持久戦」の基本をしっかり学ぶのがオススメです。
本書を通して
相手が力を出す前に技を掛ける手順と感覚
が身に付けば
「ガッチリ組まれた穴熊に手が出せない・・・」
という悩みは解消されますし、逆に
「穴熊に組んでくれた方が攻めやすくて助かるかも・・・」
と前向きに戦えるようになりますから。
持久戦を目指す△3三角 のウンザリ感を
「待ってました!」
のワクワク感に変えたいならぜひ読んでみて下さい。