上図は、居飛車穴熊 vs ノーマル三間飛車 の中盤戦です。
後手の私が▲5五金 と飛車取りに打たれて少し困った局面ですね。
ただ、AIで検討したら後手優勢(-1000点)だったので正しく指せれば勝てます。
△3四飛 と逃げても▲2三馬 からジリ貧になりそうなので
「逃げる手はない」
と思ったのは良かったものの、次の手がズレていて形勢を損ねました。
そのミスは後半に書くので、まずはここでの正着を考えてみてください。
ポイントは
自陣にスキを作らず相手玉に絡む
です。
どう指せば安全に攻める形を作れるでしょうか・・・
答えは数行下の見出しで書きます。
次の一手の答え
では答えです。
上図以下、△5五同飛(下図)
あっさり金と刺し違えるのが正しい感覚でした。
上図以下、▲5五同歩 △6九銀(下図)
手番を握って△6九銀 と絡めば「手付かずの片美濃」を活かして攻めに専念できます。
この時「5三に歩がある形」が自陣のスキを消しているのがポイントです。
以下、▲7七金 や▲7九金 と逃げると△6八銀(下図)と駒を足しながら絡めるので・・・
AIは▲2八飛(下図)と受ける手を推奨していましたが・・・
上図以下、△4八歩(下図)
飛車の利きを止めておけば後手の攻めを受けるのが難しいです。
このまま先手の大駒が働かない内に穴熊を薄くできれば悪くない終盤に入れそうですね。
実戦で指したズレた一手
ここで△5五同飛 と指していれば安全に戦えたのに、私が指したのは・・・
上図以下、△7六銀(下図)
「どうせ飛車・金 交換になるなら飛車はそのままにして銀で圧力を掛けた方がいい」
と攻めに出る手でした。
評価値は後手有利(-500点)なので悪手ってほどでもないんですが△5五同飛 より劣ります。
その理由は
先手に手番を渡してしまう
のもありますが・・・
上図以下、▲5四金 △同歩(下図)
「5三の歩」が前に出て自陣にスキが生じるから
です。
この後、何かの拍子で▲4四角 が急所に刺さる攻防手になったりして危ないんですよね・・・
正着の所で「5三に歩がある形」を評価したのは角打ちへの安全度が段違いだからでした。
上図以下、▲2二馬(下図)
握った手番で馬を受けに利かせるのがAIの推奨手で、こうなるとちょっと面倒な感じ・・・
一応、次に△6九銀 からの攻めが早いので正しく指せれば大丈夫っちゃ大丈夫ですが、こういうほころびが逆転を生む要素になるので
安全に勝てる形
があるならそれを選べる判断力は大切ですね。
最後に
対 穴熊の将棋では
自玉が安全な形で先に絡む
のが勝ちパターンの1つになります。
そう考えると
なるべく自陣にスキを作らないで寄せに入る
のが大切なので、今回のような局面になった時に
「先手の攻めは大駒を有効に使えるかがポイントっぽい・・・」
「じゃあ大駒に対して一番スキがない形で迫る手はないか・・・」
と考えなければいけませんでした。
「攻め一方の△7六銀」しか浮かばず「自陣も意識した△5五同飛」を考えもしなかったのはダメでしたね。
たまたま差がついた局面だったからよかったものの、こういう直感のズレはちょっと有利な将棋を自らひっくり返すから致命傷です。
うっすらでもいいから
「▲4四角 が攻防に利きそうだから5三に歩がいた方がいいかも」
と最初に思えるようにならないとグダグダ将棋が続きそうです・・・