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【5級を越える将棋講座 ⑰】銀の手筋2「腹銀」「尻銀」を解説【玉を縛る銀の使い方】

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脱・初心者を目指すための

5級を越える将棋講座

第17回は

基本となる手筋「銀」編

の2回目として、寄せに効果的な

・腹銀
・尻銀

を紹介します。

玉を逃がさない銀の使い方

を覚え、5級を越える寄せの力を身につけてください。


「腹銀」とは・・・

「腹銀」というのは

玉の横に銀を打つ一手

のことです。(下図)

銀を使った寄せの手筋として最も基本となる一手ですね。

ナナメの利きで「玉の上下を包囲する」ように迫り、的確に退路を塞ぐことができます。

実例を見た方が早いので、例題を元に「腹銀」の効果を実感してください。


端玉を包囲する「腹銀」

上図は端に玉を追い詰めた所です。

▲2二金 と打つと△1三玉 から逃がしてしまうんですが、ここで持ち駒の「銀」を上手く使うと受けなしに追い込むことができます。

それがこの一手です。

上図以下、▲2二銀(下図)

玉の横から銀を打つ「腹銀」が1三からの脱出を防ぎつつ、▲1三金 △同桂 ▲2一銀不成(下図)の詰めろになる好手です。

その詰めろを受けるには

・△2四歩 と退路を開ける手
・△3一金 と要の銀を対処する手

などが考えられますが、正確に指せば後手玉は逃げ切れません。

意外と難しいのでそれぞれの手に対する応手を解説します。

△2四歩(下図)と退路を開けた場合は・・・

上図以下、▲3三と(下図)

「と金」を引いて▲2三金 の詰めろを掛けるのが好手です。

① △3三同桂
② △3一桂
③ △3二金
④ △2三金

といった受けが考えられますが、正確に指せばどれも受けになっていないため、これで後手玉は受けなしになります。

ザっと応手を解説しますね。

① △3三同桂 と「と金」を取るのは▲1三金(下図)の詰みなので取れません。

② △3一桂(下図)と打って▲2三金 の詰みを防いでも・・・

上図以下、▲1一銀成(下図)

▲1一銀成 から2三の地点を使わない詰みを狙えば詰みます。

以下、△1一同玉 なら▲2二金 の詰み。

△1三玉 なら▲1二金 の詰みです。

ちなみに、▲1一銀成 以外にも▲1三歩 △同桂 ▲2一銀不成(下図)

と迫り、以下、△2一同玉 ▲2二金 といった詰みもあります。


③ △3二金(下図)と打って▲2三金 や、後の▲2二金 の詰みを防いできたら・・・

上図以下、▲1三歩 △同桂 ▲3二と(下図)

▲1三歩 で桂を跳ねさせてから▲3二と と金を取っておけば

・△2一銀不成
・△2三金

からの詰みを受ける手がなく必死です。

以下、△2三玉 から脱出しようとしても▲3三と △1二玉 ▲2三金 の詰みですし・・・

△3四銀(下図)と打って▲2三金 からの詰みを受けてきても・・・

上図以下、▲2一銀不成 △2三玉 ▲3三金(下図)

の詰みです。


④ △2三金(下図)と受けるのが最後の手段ですが・・・

上図以下、▲1三歩(下図)

▲1三歩 と打てば受けなしに追い込めます。

以下、△1三同金 は▲2一銀不成 △同玉 ▲2二金 の詰みなので・・・

上図以下、△1三同桂(下図)

桂で取るしかありませんが、3三に桂の利きがなくなれば・・・

上図以下、▲2三と △同玉 ▲3三金(下図)

シンプルな王手から詰みます。

以下、△1二玉 に▲2三金打 までですね。

上記のように対応すれば△2四歩 は大丈夫です。


次は▲2二銀 に△3一金(下図)と打った場合の応手を解説します。

すぐにこの金を取ると玉を逃がしてしまいますが・・・

上図以下、▲1三金 △同桂 ▲3一銀不成(下図)

▲1三金 と捨てて退路を封鎖してから▲3一銀不成 と詰めろで金を取れば逃げられません。

上図以下、△2五桂 ▲2二銀不成(下図)

△2五桂 で1三からの脱出をしようとしても、▲2二銀不成 と改めて縛れば必死になります。

以下、△2一桂 や△2四銀(下図)と打って▲1三金 の詰めろを防いでも・・・

上図以下、▲1三金 △同銀 ▲2一銀不成(下図)

の詰みなので受かりません。

こうして見ると玉の横に貼り付く「腹銀」の包囲力が分かる手順ですよね。

ナナメの利きで上下を縛る感覚がなんとなく伝わったでしょうか・・・


馬と連携した「腹銀」

もう1つ、定番の「腹銀」の使い方があるので紹介します。

上図はあと少しの所まで後手玉を追い詰めた所です。

△1三玉 と逃がすと捕まりませんが、ここで馬と連携した「腹銀」を使うと1手で受けなしに追い込めます。

上図以下、▲3二銀(下図)

▲3二銀 が馬の利きと連動して玉をキレイに包囲する一手です。

① △1三玉
② △1二金
③ △2四金

といった受けが考えられますが、どれも受けになりません。

① △1三玉 と上部へ逃げようとしても、馬の利きを活かした▲2三銀成(下図)で詰みです。


② △1二金(下図)と打って▲2三銀成 を防いでも・・・

上図以下、▲3一馬(下図)

今度は馬を寄る王手があってピッタリ詰みます。


③ △2四金(下図)と1二への退路を残しながら▲2三銀成 を受けても・・・

上図以下、▲3一馬 △1二玉 ▲2一銀不成(下図)

▲2一銀不成 と下から王手する手があって詰みます。

初手の▲3二銀(下図)「馬と連携した複数の詰みを狙う厳しい一手」だったんです。

改めて上図を見て馬と銀が連携した「腹銀」の効果を確認してください。

もし初手に▲3二銀 ではなく▲3一銀 と王手したら△1三玉(下図)でまったく捕まらないのを考えると・・・

「次に狙いを秘めた『腹銀』の方が厳しい」

というのが分かると思います。

こういった手順から

「王手で逃がすくらいなら詰めろで包囲した方が効果的」

というのに気付ければ5級越えは果たしていますよ。


「尻金」を狙う「腹銀」

「腹銀」の使い方として「玉を危険地帯に誘うパターン」も紹介します。

上図は後手の矢倉にあと少しの所まで迫った局面です。

この形を見た時、

「玉が3二にいれば▲3一金 の『尻金』で詰むんだけどな・・・」

と気付いた方は鋭いです。

もし持ち駒に金が2枚あれば▲3二金 △同玉 ▲3一金 から簡単に詰むんですが、あいにく「金」と「銀」1枚ずつしかありません。

こういう時は「腹銀」の詰めろで迫れば解決します。

上図以下、▲3二銀(下図)

あえて王手を掛けず、玉の横に銀を打つのが好手です。

△3二同玉 と取れば▲3一金 △2二玉 ▲2一金 △1二玉・・・と押していって▲2一飛成(下図)の「尻金」の手筋で詰むので・・・

① △1四歩
② △4二銀
③ △1二銀

といった銀を取らない受けをするしかありません。

しかし、どれも受けにならず詰みます。

① △1四歩(下図)と上部への退路を開けても・・・

上図以下、▲2一飛成 △1三玉 ▲2三竜(下図)

▲2一飛成 ~ ▲2三竜 と銀の利きがしっかり働いて玉を逃がしません。


② △4二銀(下図) と3三からの退路を開けても同じで・・・

上図以下、▲2一飛成 △3三玉 ▲2三竜(下図)

と迫れば詰みます。


③ △1二銀(下図)と打って▲2一飛成 を防いでも・・・

上図以下、▲3一飛成(下図)

玉が狭くなったので▲3一飛成 の一手で詰みます。

王手ではないけど結局 受けがないから取るしかない

という「腹銀」で危険地帯に誘う使い方でした。

実戦でもたまに見かけるので覚えておくと役立つと思いますよ。


「尻銀」とは・・・

玉を包囲する銀の使い方には

「尻銀」

という手筋もあります。

「尻銀」というのは

玉の下に銀を打つ一手

のことです。(下図)

「腹銀」が上下を包囲するのに対し、「尻銀」は左右を包囲する感じですね。

実例を見た方が分かりやすいのでさっそく解説に移ります。


「尻銀」による一手必死

上図は「尻銀」が最も効果的に働く「一手必死」を狙える形です。

玉を2二に逃がすと面倒なんですが、的確に「銀」を使うと逃げを許さず1手で受けなしに追い込めます。

ここから一手で受けなしにするには・・・

上図以下、▲3一銀(下図)

「尻銀」の名の通り、玉の下から銀を打って2二への退路を塞ぐのが効果的です。

これでどう対応しても詰みを逃れることができません。

△2四歩 と退路をあけても▲2二金 の詰みですし・・・

△3四歩 と真上へ逃げようとしても▲4二馬(下図)の詰みです。

「腹銀」でもそうでしたが、馬と連携すると「銀」が強力に働くのが分かりますね。

ちなみに、▲3一銀 以外にも▲4一銀(下図)から必死を狙えるのに気付いた方はいますか?

取れば▲4二金 の「頭金」で詰むので・・・

上図以下、△2二玉 ▲3一馬(下図)

玉を逃げますが、▲3一馬 と追いかけるのが好手で寄り筋です。

馬を取れば▲3二金 の詰みなので・・・

上図以下、△1二玉 ▲3二銀成(下図)

端に逃げるしかなく、そこで▲3二銀成 と銀を成れば受けがありません。

△1三銀 と受けても▲2一馬 で詰みます。

第1回の「金・銀」の3手詰め「下段に落とす銀」

第4回の「角」の3手詰め「下段に落とす角」

の応用が浮かび、端に追い詰める手順が見えた人は5級を越えてますよ。


実戦的な「尻銀」の使い方

最後にもう少し実戦的な「尻銀」の例を紹介します。

4一に金がいるので単純な攻めは通用しませんが、先ほど解説した

・「尻銀」
・▲4一銀 から始まる必死手順

を応用すると後手玉を受けなしに追い込むことができます。

ちょっと難しいですが、せっかくなので寄せ問題として挑戦してみてください。

答えは数行下に書きます。





では答えです。

上図以下、▲3一銀(下図)

あえて金の利いている所に打つ▲3一銀 が好手です。

このままだと▲2二金 の詰みですし・・・

△3四歩 と逃げ道をあけても▲2二金 △3三玉 ▲4五桂 の詰みなので・・・

上図以下、△3一同金 ▲4四桂(下図)

銀を取るしかありませんが、金を「馬で取れる3一」に誘ってから▲4四桂 の「歩頭の桂捨て」で迫るのが好手順で寄り形に持っていけます。

もし△2二玉 と逃げたら▲3一馬(下図)と入り・・・

△3一同玉 なら▲3二金 の詰み・・・

△1二玉 なら▲1三金 △同桂 ▲2二金 の詰みなので、△4四同歩(下図)と桂を取るしかありません。

これには先ほどの必死手順の類似パターンが刺さります。

上図以下、▲4三金 △2二玉 ▲3一馬(下図)

馬を取れば▲3二金 の詰みなので・・・

上図以下、△1二玉 ▲3二金(下図)

玉を逃げるしかありませんが、▲3二金 と金を入れば受けなしに追い込めます。

▲2二馬 を防いで△1三銀 と打っても▲2一馬 の詰みがあるので受かりません。

「尻銀」で金を急所に誘い・・・

「歩頭の桂捨て」で空間をあけ・・・

「下段に落とす角(馬)」で迫り・・・

「馬」と「金」の必死の形に追い込む・・・

ここまでの講座の集大成のような問題でした。

もし第1回から読み進めてきて上記の必死問題が解けた方がいましたら、ここまでの講座でしっかり成長した証拠です。

寄せに関しては5級を遥かに越え、2級 ~ 初段クラスになっていると言っても過言ではありません。

自信を持って実戦に臨んでください。


最後に

基本となる手筋「銀」編

の2回目として

・腹銀
・尻銀

を使った寄せの手筋を紹介しました。

単純に王手を掛けるのではなく

・▲2二銀 の「腹銀」


・▲3一銀 の「尻銀」

のように「玉を包囲して逃がさない寄せ方」を覚えればスムーズに収束する終盤力が身に付くと思いますよ。

読みの隠れた「腹銀」や「尻銀」の詰めろで迫れるようになったら5級以上は確定です。

王手より詰めろ

の感覚を少しづつ理解して5級を越えた将棋に近づいてください。


※「5級を越える将棋講座 第18回」は下記リンクからどうぞ。

【5級を越える将棋講座 ⑱】銀の手筋3「下段に落とす銀」「桂頭の銀」を解説【ナナメの利きを活かす】 - 人生詰んだニートのブログ