今回は、きのあ将棋の「郷谷さん(上級)」に「相掛かり」をやってみたら
53手
という短手数で勝てたので、ちょっとした記録として実戦譜を紹介します。
シンプルながら決まれば強烈な攻めのヒントとしてお楽しみください。
不慣れな初手▲2六歩
先手が「私」、後手が「郷谷さん」です。初手から、▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩(下図)
将棋を始めて20数年・・・
ガチでやる場合はほぼ100%と言っていいくらい
「先手番では▲7六歩 からスタート」
の将棋ばかりだったんですが、少し前にレビューを書いた
「極限早繰り銀」
「相掛かりの新常識」
の影響を受けて
「▲2六歩 スタートの将棋もやってみよう」
と思っての一局でした。
どうせ居飛車を指すならすぐ角道を開けない方がちょっと形を絞れるメリットがあるので、もしかしたら▲2六歩 スタートの方が有効な気がしてきましたから・・・
初手▲2六歩 に対し、
・△3四歩 なら「極限早繰り銀」
・△8四歩 なら「相掛かり」
というのが今のところ考えているパターンです。
本局は△8四歩 としてきたので「相掛かり」になりました。
飛車先の歩交換を保留する
お互いに飛車先を伸ばして「相掛かり」模様になった上図。
とりあえずシンプルに進めます。
上図以下、▲7八金 △3二金 ▲3八銀(下図)
角頭を金で守ったら、ここ数年で定番になった飛車先の歩交換をすぐにしない▲3八銀 で様子を見ました。
私にはあまり深い意味が分かっていませんが、これには
「飛車の位置を早めに決めない」
という意味があるんだとか・・・
とりあえず後手の駒組みを見ながら一歩交換のタイミングを考えます。
上図以下、△1四歩 ▲9六歩 △8六歩(下図)
お互いに角側の端歩を突き、ここで後手は一歩交換にきました。
後手から形を決めてもらえると方向性も定まるのでありがたいかもしれません。
上図以下、▲8六同歩 △同飛 ▲8七歩 △8四飛 ▲3六歩(下図)
△8四飛 と浮いて構えたので後々の▲6六角 のような手を見据えて▲3六歩 から早繰り銀を目指します。
上図以下、△3四歩 ▲3七銀 △3三角 ▲1六歩(下図)
△3三角 で一歩交換を拒否されましたが、ここからは角換わりでの早繰り銀と似た感じで攻めるつもりなので問題ないと思っていました。
上図以下、△9四歩 ▲4六銀 △2二銀(下図)
△2二銀 までは相掛かり系の将棋なら珍しくない形だと思うんですが、この形の経験値が0というのがちょっと痛いです。
いつもの一手損角換わり系の攻め筋でいいとは思いますが、微妙に怖いのがアレですね・・・
玉を囲ってから仕掛ける
とりあえず先手の攻めの形ができてきた上図。
慌てても反動がキツそうなのでゆっくりいきました。
上図以下、▲6八玉 △4一玉 ▲5八金 △6二銀(下図)
まずはちょっとだけ玉を囲います。
もう少し陣形を整えたい感じなんですが、特に発展性もなさそうなのでここで動きました。
上図以下、▲7六歩(下図)
満を持しての角道の解放です。
ここまでゴチャっと動かれずに駒組みができたので、ずっと避けていた相掛かりも悪くない気がしました。
上図以下、△3一玉 ▲3三角成 △同銀 ▲6六角(下図)
△3一玉 が危険地帯に近づく疑問手だと判断し、当初の狙い通り角交換から▲6六角 と飛車に当てながら打ち直して攻めの形を作ります。
上図以下、△8三飛 ▲8八銀(下図)
すぐ攻めるのも危ないと思って▲8八銀 としましたが、Aperyの検討ではすぐに▲3五歩 と仕掛ける手の方がいいと示されました。
後手に受ける猶予を与えてしまったのはヌルかったかもしれません。
上図以下、△6四歩 ▲3五歩(下図)
郷谷さんは△6四歩 と角を牽制する手を指してきましたが、これはチャンスと思い仕掛けます。
いつもの角換わりと違って先手だけ角筋が急所に通っていてちょっと気持ちいいですね。
上図以下、△3五同歩 ▲同銀 △6五歩(下図)
先ほどの△6四歩 を活かして△6五歩 と角を狙ってきましたが、ここが大きな分岐点でした。
私は逃しましたが、局後のAperyの検討では決め手級の一手が示されましたから。
まずはその手から紹介します。
上図以下、▲3三角成(下図)
ズバッと角を切ってしまうのが分かりやすい攻めだったようです。
上図以下、△3三同桂 ▲3四歩(下図)
金で取っても桂で取っても▲3四歩 の拠点を作れば先手勝勢だそうです。
▲2四歩 からの攻めもあって後手が受け切るのは大変みたいですね。
こういうのがスパッと指せていれば気持ちいいんですが、私が指したのはヌルイ一手でした・・・
決めにいけない▲7七角
軽く角を責められた上図。
ここでズバッと▲3三角成 といければよかったんですが、私が指したのはこの一手でした。
上図以下、▲7七角(下図)
無難に角を逃げ、角筋を残したまま3五の銀を活用した攻めを狙っています。
上図以下、△7四歩 ▲3四歩 △2二銀 ▲2四歩(下図)
▲3四歩 で拠点を作って攻める発想なら、先ほどの▲3三角成 の方が明快でしたね。
でもこれはこれで悪くないと思っていました。
上図以下、△2四同歩 ▲同銀 △7三角 ▲2三歩(下図)
△7三角 と飛車取りで牽制した手に対し、かまわず▲2三歩 といきましたが、ここでシンプルに△2八角成(下図)と飛車を取られていたらけっこう大変だったようです。
上図以下、▲2二歩成 △4一玉(下図)
取るものばかりと思っていた▲2二歩成 をサッとよける△4一玉 が玉を広い方へ逃がす好手でした。
上図以下、▲3二と △5二玉 ▲4二と △6三玉(下図)
これでも先手優勢と示されていましたが、決まると思った所で逃がしてしまった上に飛車を渡してしまったのは怖いです。
優勢になってからの勝手読みは注意が必要ですね。
実戦は後手のミスもあって53手で終わりました
局面を戻します。上図は、△7三角 に対してかまわず▲2三歩 と決めにいった所です。
ここで△2八角成 と飛車を取られていたら大変でしたが、実戦は後手のミスに助けられました。
上図以下、△2三同銀(下図)
これなら攻めに勢いがついて先手の言い分が通っています。
上図以下、▲2三同銀成 △2八角成(下図)
このタイミングで飛車を取らても後手玉が詰むので大丈夫です。
上図以下、▲3二成銀 △同玉 ▲3三銀(下図)
ここで郷谷さんの投了となりました。
以下、△4一玉 と下に逃げれば▲4二金 の頭金で詰み。
△3三同桂 と取っても▲同歩成 から頭金の詰みなので△2三玉(下図)と逃げるくらいですが・・・
上図以下、▲2四金 △1二玉 ▲2二銀成(下図)
でピッタリ詰みます。
微妙に怪しかったですが勝てて良かったです。
もう少し練習していけばちょっと新しい形での勝ち方が見つけられそうな将棋だった気がしました。
しばらくは先手番▲2六歩 スタートを続けてみようかな・・・
最後に
「郷谷さん(上級)」相手にちょっと「相掛かり」をやってみたら短手数で勝てた一局でした。今まではハメ手っぽい勝ちパターンの攻略法ばかりでしたが、
・初手▲2六歩 スタート
・「相掛かり」 + 「早繰り銀」
の将棋なら王道の攻め筋での勝ちパターンとしてまともな将棋を紹介できるかもしれません。
ずっと後手番での将棋ばかりだったので、しばらくは先手▲2六歩 スタートの将棋でやってみて、ちょっとは参考になる攻め筋を紹介できるように頑張ろうと思います。