今回は、一手損角換わりの新しい指し方を学べる本
「大夢流 一手損角換わり 受け師直伝の受け将棋」
のレビューをしたいと思います。
この本は「一手損角換わり」の基本となる
・腰掛け銀
・棒銀
・早繰り銀
の手順をサラッと学びながら
最新の「△7二金型」(下図)
の狙いや指し方を知ることができる本です。
本書の売りは
・4手目 角交換
・△7二金型
を中心とした最新形を学べる所なので、ある程度は「一手損角換わり」の知識があり
羽生九段が採用して話題になった「羽生流右玉」について知りたい
と思っている有段者にオススメですね。
この記事では、軽く内容に触れながら感想を書いていくので、購入を迷ってる方は参考にしてみてください。
基本もサラッと学べる
メインは最新形ですが、一手損角換わりを指す上で必要な基本も8手目角交換(下図)
の形で解説しています。
お互いに左金の形を決めたオーソドックスな形を元に一手損したメリットが分かる「腰掛け銀」の一例に触れ・・・
その後、メジャーな変化の「棒銀」や「早繰り銀」をやられた時の受け方について少し新しい手順をザっと紹介している感じですね。
一手損角換わりの知識が浅くても、応用が利く有段者ならこの手順を知るだけで基本は充分かもしれません。
個人的に面白かったのは「端棒銀」(下図)の変化です。
ここから銀・香交換に進むのが定跡ですが、その変化で出た「大夢流の受け方」は参考になりました。
初見だと
「え? そんな手ある?」
って感じがしそうなのに有力なのが良いですね。
新しい指し方として取り入れようと思いました。
「4手目角交換」と「△7二金型」が面白い
私の中では△3二金 と上がってから角交換にいくのが定番でしたが、形を決めない4手目 角交換(下図)
から始まる有力な変化を知れたのは大きかったです。
お互いに色々な含みがあり
・乱戦も視野に入れた駒組み
・△3二金 を決めない利点を活かす速攻の受け方
などの面白い変化もありますが、目玉は最新の△7二金型(下図)です。
この手を見て
「これから速攻を狙われそうなのに金をそっぽに上がる?」
「飛車の横利きが止まったけど大丈夫?」
「どう見ても悪手寄りの疑問手としか思えない・・・」
「狙いがサッパリ分からん・・・」
と思った方は本書を読む価値がありますよ。
この手は有名な「羽生流右玉」(下図)に繋がる有力手で・・・
令和2年頃に最新だった変化ですから一手損角換わりを指すなら必見の情報です。
玉が囲いの外にいる不安な形と思いきや、これが有力だっていうんだから将棋は面白いですね。
従来の形でちょっと行き詰まりを感じていた人は新しい発想を学ぶことで楽しく指せるようになると思いますよ。
対話形式の自戦記が参考になる
本書の後半は著者の「渡辺 大夢」先生の実戦譜を元に講座の復習と補足を兼ねた解説がされています。アマ強豪の「ミマ」さんという方との対話形式で進むので堅苦しくない感じがいいですね。
ポイントの局面を元に
「ここでどう指しますか?」
と質問をされた「ミマ」さんが手を答え、それに対する応手と正解手を渡辺先生が解説する流れで進みます。
「次の一手」として実戦感のある復習ができますし、ここで使った棋譜も簡単な解説付きで掲載されていているので良いまとめになっていると思いました。
受け将棋の渡辺先生ならではの勝ち方や考え方に触れられたのも良かったです。
著者の個性を出す意味でもこういった形式はアリかもしれません。
最後に
一手損角換わりを指しているけど・4手目 角交換
・△7二金型
・羽生流右玉
などの新しい指し方にイマイチついていけてないなら
大夢流 一手損角換わり
で学ぶのがオススメです。
本書を読めば
そもそもの狙いは何?
従来の形と比べて何が優秀なの?
といった疑問が解決して指し方が改善されると思いますよ。
手の意味を知るのは大切なので、漠然と指していた方は本書を通して理解を深めてみてください。