人生詰んだニートのブログ

人生詰んだニートが「日々の愚痴」や「趣味の将棋」について書いているブログです。

「奇襲大全」のレビュー【格上に一発入れる秘策が学べる本】

今回は、対人間との勝負を意識した棋書

「奇襲大全」


のレビューをしたいと思います。


この本は「奇襲大全」の名の通り、初見では対応が難しい「奇襲戦法」を40種類も紹介している本です。

一発勝負のトーナメントを勝ち上がらなければいけないアマチュアに向けに

「格上を未知の局面に誘って一発入れるための秘策」

を幅広く伝授し、

「この将棋だけは絶対に勝つ!」

「この人にだけは負けたくない!」

といった人間との大一番を制することに重点を置いた本になっています。

この記事では

・大まかな内容
・収穫のあった部分

に触れながら感想を書いていくので、購入を迷ってる方のお役に立てれば嬉しいです。


実戦的な指し手が目白押し

奇襲戦法と聞くと

・鬼殺し
パックマン

のような「あからさまなハメ手」をイメージしてしまうかもしれませんが、本書では上記のハメ手以外に

・定跡を外して自分だけ深く研究した力戦形に持ち込む

・定跡の裏をかいて作戦勝ちを狙う

といった

「ただのハメ手で片づけるにはもったいない実戦的な指し方」

が多数収録されています。

解説で使われている棋譜

・アマ強豪
女流棋士

といった全国トップクラスの棋力を持つ人に奇襲が成立したものが中心で、一部プロに通用した棋譜もあるので

「一筋縄ではいかない対応の難しさ」や「決まった時の強烈さ」

が分かって戦法の信頼性はバッチリです。

こういった基本を外しても有力な指し方を知ると

「メジャーな戦法がすべてじゃない」

という「将棋の奥深さ」「力戦の可能性」を感じますね。

定跡を覚えると強くなった気がしますが、本書を読むと

「初見で狙いを察知し、その場で対応する力こそが真の棋力なのかも・・・」

「自力が試される力戦を制してこそ強さを証明できる」

という感じがするかもしれません。


「相手の得意形を外す駆け引き」や「定跡の裏をかく駒組み」が面白い

本書の面白い所は「対人間」との一発勝負を意識しているので、最序盤から相手を揺さぶる手が満載な所です。

例えば、居飛車党相手に初手▲7八金(下図)と上がったり・・・

後手番で▲7六歩 を待ってから△3二金(下図)と上がって振り飛車を誘い、相手の得意を外す駆け引きを持ちかけたり・・・

初心者感を匂わせる不自然な浮き飛車(下図2例)をやってみたり・・・

初手合いだったら

「ん? 基本が分かってない人なのかな?」

と油断を誘う一手で、対人間ならではの心理的な罠も兼ね備えた戦法が解説されています。

当然、ただ心理的に油断させるだけじゃなく、ここから研究した手順があるので、ドップリ罠にハマった相手は数十手後には青ざめることになります。


他にも、振り飛車側からいきなり▲6五歩(下図)の角交換を仕掛けたり・・・

初手▲3六歩 から▲3八飛(下図)の袖飛車にして穴熊を封じる作戦や・・・

横歩取り模様から定跡を外す速攻の△8六歩(下図)で相手の予定を完全に狂わす戦略など・・・

オーソドックスな定跡を頭に入れて安心してる有段者のスキを突き、未知の力戦に誘う巧妙な指し回しが面白いです。

これらは初見で対応するには難しく、こちらだけ研究した形に持ち込めるため、実戦的にはかなり有力な指し方になりますね。

突き詰めて研究すれば「格上に一発入れる秘策」としてドル箱戦法になるかもしれません。


個人的に見所だと思う戦法

本書の中で個人的に見所だと思ったのは

振り飛車を主体にした奇襲戦法

ですね。

ハメ手の戦略として

・自陣は低い形で飛車打ちのスキを作らず

・相手陣に飛車打ちのスキができたら機を見て飛車交換を狙う

というのがあると思いますが、そういった狙いの有力な戦法がいくつかあり、力戦振り飛車の可能性をかなり感じました。

・角頭歩をヒントに編み出した戦法

・鬼六流ドッカン飛車

・アヒル戦法

・ヒラメ戦法

(これらの戦法は駒組みがネタバレになるので図は伏せます)

で解説された手順はかなり使えそうで役立ちましたね。

強引だけどやられると困る豪快な一手はいつか狙ってみたいです。


そして本書で一番の収穫だったのは、ハメ手というより「ノーマル三間飛車」の駒組みを工夫した

「右米長玉」

という戦法を知れたことです。

現代の穴熊対策として有力な「左銀速攻」(下図)の原型になる戦法だと思うんですが・・・

「〇〇を〇〇ない形をこうやって活かす方法があったのか・・・」

と盲点だった発想を知れて駒組みの感覚が改善されたのは大きかったですね。


筋違い角にムリヤリ四間飛車にした形への解答が載ってる

振り飛車党に飛車を振らせない作戦としてメジャーな

「筋違い角戦法」(下図)

に対し、△6二飛 ▲3四角 △4二飛(下図)とムリヤリ四間飛車にする形があると思いますが・・・

この形に対する解答が紹介されていました。

もし振り飛車を封じるつもりで筋違い角をやったのに上記の形にされて具体的な対策がなかった人は読む価値がありますね。


「勝つコツ」というコラムが面白い

おまけ程度に戦法の合間に挟まれている

「勝つコツ」

というコラムが対人間を意識した小話が満載で面白かったです。

・(ちょっとセコイ)番外戦術
・ハッタリをかます
・相手のペースにさせない小さな駆け引き

などの話や

・迷ったら〇〇を指せ
・分からない時は〇〇を攻めろ
・〇〇には力戦型
・〇〇には振り飛車

といった棋理とは少し違う対人間を意識した格言には勝負師の気合を感じました。

全体を通して

「人間との勝負に勝つ」

という方針が貫かれていて、勝ちにこだわって対局に挑む気構えが学べた気がします。


最後に

マチュアならではの一発勝負で格上に勝つための秘策を探しているなら

「自分は深く研究済み」だけど「相手にとっては未知の局面」

に誘うアイデアが満載の

「奇襲大全」

はオススメの一冊です。

40種類も解説された奇襲戦法の中で使えそうなものを1つ突き詰めると

「ここぞという時」

の強力な武器になると思いますよ。

本書をキッカケに「ミスをする人間ならではのスキ」を突き、「前例のない局面での判断ミスを誘う戦略」も取り入れてみてはいかがでしょうか。