今回は、ずっと勝てなかった「ぴよ将棋」の「ぴよ帝(アマ六段)」に初めて勝ったので、嬉しさと共に自戦記っぽいものを書きたいと思います。
優勢になってからの
「このチャンスは逃したくない!」
と安全勝ちを狙いにいく将棋をお楽しみください。
- 雁木 vs 左美濃
- 焦らず仕掛ける
- ゆっくりじっくり切れない攻めを心がける
- 飛車切りを我慢する
- 決まりそうで決まらない怯えた寄せ
- 最後に
- 後日、お手本としてAperyに「ピヨ帝」の倒し方を見せてもらいました
雁木 vs 左美濃
本局は、病院の待ち時間のほんの暇つぶし程度のつもりだったのに予想外の優勢になってしまい、「いい所だからまだ呼ばないでくれ!」
と思ってしまうほど熱中してしまった一局です。
1時間半くらい待ち時間がありましたが、局後の検討までしていたらあっという間に感じましたね。
病院の待ち時間ほど苦痛なものはないので、改めて
「スマホがあってよかった・・・」
と思った瞬間でした。
ムダ話はこのくらいにして本編に入ります。
先手が「ぴよ帝」、後手が「私」です。
初手から、▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △8四歩 ▲1六歩(下図)
振り飛車っぽいけど態度をハッキリ決めない▲1六歩 でいきなりの揺さぶりを掛けられました。
「端を受けるか、保留するか・・・」
序盤から暇つぶしにはもってこいな展開です。
上図以下、△8五歩 ▲7七角 △6二銀 ▲1五歩(下図)
と思い、保留して普通に駒組みを進めたら▲1五歩 と端の位を取られました。
初段くらいなら
「手が遅れない?」
と油断しそうですが、アマ六段の「ぴよ帝」にやられると深い読みと狙いがありそうで怖いですね。
上図以下、△5二金右 ▲7八金(下図)
飛車を振ると思っていた所、矢倉か雁木っぽい▲7八金 の金上がりで嫌な予感が・・・
このまま力戦四間飛車とかやられても苦手だし、雁木の攻略は苦手だし・・・
相手が強いと変則的な序盤が怖くてしょうがないですね。
上図以下、△4二玉 ▲2六歩 △3二銀 ▲2五歩(下図)
「ぴよ帝」は方針が決まったのか▲2五歩 と飛車先を伸ばして居飛車を宣言してきました。
左美濃の場合、飛車先の歩は受けない方がいいことが多かったりするんですが、今回は引き角から角交換を狙われるまで時間が掛かりそうなので受けることにしました。
上図以下、△3三角 ▲6八銀 △7四歩 ▲6七銀 △7三銀(下図)
先手の雁木が確定したのでシンプルに攻める早繰り銀模様で攻勢を取ります。
ついこの間レビューを書くのに読み直した「矢倉 左美濃急戦 最新編」の知識が活きそうです。
焦らず仕掛ける

後手から先攻できそうな上図。
あまり慌てても返り討ちに遭うので慎重に指します。
上図以下、▲4八銀 △3一玉 ▲5六歩 △7五歩(下図)
いつも早めの仕掛けをして負けてきたので、玉を安全な3一に囲ってから仕掛けました。
上図以下、▲5八金 △8四銀(下図)
△6四銀 と出た方がキレイな形っぽいですが、▲6五歩 の反撃が銀に当たるのを嫌って8四に出ました。
少しでも余計な変化は避けようと必死ですね。
上図以下、▲3六歩 △7六歩 ▲同銀 △7二飛(下図)
定番の厚みを築けそうな展開になって
「あれ?けっこういける?」
と思っていました。
上図以下、▲6七銀 △7五銀 ▲5七銀 △7六歩 ▲6八角(下図)
予定していた展開通り五段目に進出した銀がしっかり拠点を支えて後手優勢になっています。
いつもはここまで上手くいくことがなかったので嬉しかったですね。
ただ、ここからヘタな攻めをするとあっという間に反撃されて終わるので慎重に指していきます。
ゆっくりじっくり切れない攻めを心がける

後手優勢になった上図。
焦らず攻め駒を増やして切れない攻めを狙います。
上図以下、△6四歩 ▲7七歩 △同歩成 ▲同角 △7六歩 ▲8八角(下図)
「ぴよ帝」は8八に角がいた方が受けやすいと判断したのか歩の合わせから転回してきました。
こうなると迂闊に△6五歩 の仕掛けができないので難しいですね。
上図以下、△7四飛 ▲4六銀 △7三桂 ▲5五歩(下図)
後手が「飛車、桂」を攻めに参加させている間に▲5五歩 で角を止められました。
角が止まると迫力がなくなるので上手い対応ですね。
こうなった時に無理攻めにいくと終わるのは薄々勘づいているので慎重に駒を補充しにいきました。
上図以下、△8六歩 ▲同歩 △同銀 ▲8七歩 △7五銀(下図)
8筋の歩を手持ちにして桂跳ねのスペースを空けつつ攻め幅を増やします。
上図以下、▲9六歩 △8五桂(下図)
▲9七角 のような手を消しながら7七の地点を狙う△8五桂 は気持ちのいい一手でした。
「ここまで駒が働けばそう簡単に切れないよな?」
と、ちょっとだけ勝てそうな予感がしていましたね。
上図以下、▲6八金右 △5一角(下図)
局後の検討で「ぴよ帝」が「妙手」と評価してくれたのが△5一角 です。
使えない角を転回して攻めに厚みを増そうとしたのが良かったみたいです。
先手の角が6六と5五の歩で二重に止まっているから成立したのかもしれません。
上図以下、▲5六銀 △8四角(下図)
こうなれば 飛車・角・銀・桂 が急所に働く理想形っぽくなりましたね。
ここで形勢不利を意識したのか「ぴよ帝」が少し乱れます。
上図以下、▲1四歩 △同歩 ▲6七銀 △6五歩(下図)
こちらにとっては一歩入るのでありがたい端歩の突き捨てから銀引きで攻めが成立しました。
飛車切りを我慢する

ようやく仕掛けた上図。
ここからいつもの雑な攻めとは違う慎重な攻めでいきました。
上図以下、▲1二歩 △同香 ▲6五歩 △6六歩(下図)
まずは△6六歩 で新たな拠点を作ります。
上図以下、▲5六銀 △8六歩 ▲2四歩 △同歩 ▲1三歩 △同香 ▲8六歩 △同銀(下図)
そして銀を急所の7七を狙える地点に進出して準備万端です。
「ぴよ帝」がここでもムダに歩を捨ててくれたので歩に困ることはなくなりました。
上図以下、▲8七歩 △7七銀成(下図)
ようやく急所に攻めていきます。
上図以下、▲7七同桂 △同歩成 ▲同金直 △同桂成 ▲同金(下図)
先手の守備が弱体化してもう少しで寄せ切れそうです。
ここで左美濃の遠さを活かして△7七同飛成 と飛車を切りたかったんですが、
「さすがにそれはやり過ぎかな?」
「飛車を渡すのは危険だし、あんまり乱暴に指して逆転負けしたら次のチャンスはしばらくなさそうだし・・・」
と思い、何か他の手はないかを考えました。
そして見つけたのがこの一手です。
上図以下、△4四桂(下図)
ちょっと攻めるのに邪魔な5六の銀に働きかける一手です。
家に帰ってきてからAperyで検討したら△4四桂 が推奨されていたので間違いじゃなかったと分かってホッとしました。
上図以下、▲7五歩(下図)
しかし「ぴよ帝」も惑わす歩打ちで対抗してきます。
こういう対応を間違えると危なそうな歩が有段者ですよね。
上図以下、△7五同飛 ▲4五銀打 △5六桂 ▲同銀 △6七銀(下図)
△7五同飛 と飛車で取りましたが、ここは飛車取りを無視して△5六桂 と銀を取ってしまう方がよかったみたいです。
ただ、本譜の手順も攻めが続いているので悪くありませんでした。
決まりそうで決まらない怯えた寄せ

あと少しで寄せ切れそうな上図。
ここから勝手読みや怯えでキッチリ決めきれずちょっと長引きます。
上図以下、▲6七同金 △同歩成 ▲同銀 △7七金(下図)
急所に金が打てて好調ですが、私はここで勝手読みをしていました。
ガッチリ▲6六銀打 と受けてくるとばかり思っていたんです。
「そうなれば飛車を見捨てて△6七金 と銀を取りながら玉に迫れて勝ち」
と楽観視していたんですが、次の一手でちょっと予定が狂いました。
上図以下、▲6六銀(下図)
スッと飛車取りに当てながら銀をかわす▲6六銀 が軽く受ける良い手でした。
上図以下、△8八金 ▲7五銀 △同角 ▲5七銀打(下図)
・元々 飛車は刺し違えても問題ない
・8八の金を飛車で取ると△7七角の王手飛車がある
という好条件のおかげで後手優勢のままでしたが、ちょっと空ぶった感があって焦っていました。
そして次の一手で決めにいったはずが「あっ」となります。
上図以下、△3九角 ▲8八飛(下図)
△3九角 と角を打ってしまったので△7七角 の王手飛車がなくなり普通に金を取られました。
ここで△5七角引成 から清算して玉に迫れば勝ちだったようですが、ちょっと怯えてしまいヌルイ寄せになっていきます。
上図以下、△7七銀 ▲5八飛 △6七金 ▲4八金(下図)
角を切る決断ができず、ベタベタと金駒を投入して飛車を取りにいくといういつもの筋悪の寄せで迫りました。
上図以下、△5八金 ▲同金 △8九飛 ▲6九桂 △6八歩(下図)
左美濃の遠さのおかげでこんな寄せでも成立していました。
上図以下、▲6八同銀 △同銀成 ▲同玉 △6七歩(下図)
△6七歩 では△8八飛成 とした方がよかったみたいです。
上図以下、▲7八玉 △9九飛成 ▲8九飛(下図)
もう少し簡単に寄せられていたはずが、気が付くとダラダラした展開になっています。
局後の検討では、ここで飛車を取って△6八飛 のように打ち直せば勝ちと示されましたが、実戦は怖くなって逃げに回ります。
上図以下、△9八竜 ▲8八金 △9六竜 ▲7六歩(下図)
「先手に駒を使ってもらって後手玉が寄らなければ負けない」
という受け寄りの発想に切り替えました。
上図以下、△7六同竜 ▲7七銀 △5六竜 ▲5七桂(下図)
▲5七桂打 のような手なら△7六歩 からゆっくりいくつもりでしたが、単に跳ねる▲5七桂 は3九の角取りになったのでここで決めにいきます。
上図以下、△5七同角引成 ▲同金 △同角成 ▲同銀 △同竜(下図)
今度こそ寄せ切れそうです。
上図以下、▲9九飛 △8五桂 ▲6六角 △5八竜(下図)
とりあえず上に逃がさないように△8五桂 と桂馬で縛りましたが、これもヌルかったみたいです。
△5八竜 の王手も色々ある決め手を逃している感じでした。
上図以下、▲8九玉 △9七香 ▲8六角 △7八銀(下図)
△7八銀 の銀打ちが入ってやっと寄せ切れました。
ただ、ちょっと読み抜けがあって詰むはずの玉を詰ませない事故が起きます。
上図以下、▲7八同金 △9八金(下図)
この金打ちが数少ないハズレの一手でした。
勝手に▲9八同飛 △同香成 ▲同玉 と9筋に送れるものと思っていたら・・・
上図以下、▲7九玉(下図)
スッと玉を寄られて詰みません。
ここは△9八金 ではなく△9九香成 と飛車を取っていれば簡単な詰みでした。
ただ、詰むや詰まざるやのギリギリの終盤ではなかったので・・・
上図以下、△9九金(下図)
と飛車を取った所で「ぴよ帝」の投了となりました。
勝つには勝ったけど、実力のなさが見えすぎてマグレとしかいいようのない勝ちでしたね。
最後に
「ぴよ将棋」の「ぴよ帝」に初めて勝った一局を紹介してみました。ちょっと変わった序盤でペースを握れた優位をどうにかこうにか持ちこたえて勝った奇跡の勝利でしたね。
簡単な詰みがあるのに逃すのもアレですし、もうちょっと終盤の寄せがキレイに決まらないとダメそうです。
次の勝ちはいったいいつになることやら・・・
改めて寄せの本も読みなおして終盤力の強化をしておかないとね・・・
後日、お手本としてAperyに「ピヨ帝」の倒し方を見せてもらいました
検討で使っているAI(Apery)と「ピヨ帝」を戦わせてみたらメチャクチャ参考になる一局になったので記事にしました。今回のモヤモヤした将棋とは違う、スッキリ「ピヨ帝」を倒す将棋が見たい方は下記リンクの記事をどうぞ。