今回は、Web版の「ぴよ将棋w」に追加された
Lv31 ひよ蘭(四段)
に挑み、
ノーマル三間飛車 vs 居飛車穴熊
になった一局を紹介します。
見所は
・ひよ蘭が指した好手を当てる「次の一手」
・実戦詰将棋(17手詰め)
の2つです。
ちょっとした問題を解きながら、どうにかこうにか逆転した奇跡をお楽しみください。
早い仕掛けもある△6四歩 に悩む
先手が「私」、後手が「ひよ蘭(四段)」です。上図は、いつも通り「ノーマル三間飛車」で駒組みをしていたら△6四歩 と突かれた所です。
最近はオーソドックスな△5四歩 ~ △5三銀 から持久戦になる将棋ばかりだったので
「△6五歩 を警戒しながら指さなきゃいけないのか・・・」
「四段ともなるとこういう速攻が怖いよなぁ・・・」
「何の対策も持ってないから仕掛けられたらヤバイかも・・・」
と、経験が少ない急戦に不安を抱えた序盤戦になりました。
上図以下、▲6七銀(下図)
とりあえず▲6七銀 で6筋を支え・・・
上図以下、△6三銀 ▲5八金左 △5四銀 ▲3九玉(下図)
△5四銀 に▲3九玉 と囲っておきましたが、これは後手の狙い通りに進んでるっぽい・・・
ここで△6五歩 と突かれたら▲6八飛 と受けに回る感じですし、三間飛車のメリットが消えて面白くない展開でしたね。
でも実戦は・・・
上図以下、△3三角(下図)
角上がりから玉を囲う展開に進み、下図のような局面になりました。
早い仕掛けがなくホッとしたものの・・・
先手からは仕掛けが難しい上にガッチリ穴熊に組まれたのが痛く、明確に作戦負けです。
もしここで△7二飛(下図)と回られ・・・
次に△7四歩 ▲同歩 △同銀 と仕掛けられていたら後手持ちの展開でした。
どっちみち作戦負けになっていたのを見ると駒組みの方針を完全に間違ってたっぽいですね。
ウッカリで銀損する
本譜は△7二飛 と回られず、△3二金寄 と穴熊を完成させるゆっくりした手だったので・・・その間に▲5五歩 ~ ▲5六銀 から銀を活用し、「3四の歩」を取ったのが下図です。
ここで後手から機敏に動かれました。
上図以下、△5二飛(下図)
指されてみると「5五の歩」を受ける手がない・・・
上図以下、▲6七金 △5五飛 ▲5六歩(下図)
一歩は諦め、どうにか無難に収めようとしたのが上記の手順ですが・・・
上図以下、△3五飛(下図)
この飛車回りをウッカリしていました。
穴熊相手に銀損は痛すぎる・・・
上図以下、▲5七角(下図)
「もうヤケクソで動くしかない」
と角を上がり・・・
上図以下、△3四飛 ▲2四角 △同飛 ▲8二角(下図)
強引な角交換から香取りに打ちましたが、ここで上手い手を指され明確に後手ペースになりました。
ひよ蘭が指した次の一手を当ててみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
次の一手の答え
では答えです。
上図以下、△5七歩(下図)
ここに歩を垂らすのが対応しにくい好手でした。
放置して△5八銀 と打ち込まれたら自玉を薄くされて持ちませんし・・・
取れば取ったで味が悪い・・・
上図以下、▲5七同金 △5四角(下図)
「どちらかと言えば取る方がマシ」
と判断して取りましたが、続く△5四角 が受けにくい好手で・・・
上図以下、▲6五歩 △同角 ▲7七飛 △6八銀(下図)
厳しい割り打ちを食らって終わりを迎えました。
上図以下、▲6七飛 △5七銀成 ▲同飛 △6六金(下図)
飛車を責められた上図は後手勝勢です。
飛車を取られて絶望へ・・・
完全に手がない状況・・・
上図以下、▲5九飛 △8七角成 ▲9一角成 △5八歩(下図)
飛車を逃げ、▲9一角成 と香を補充するくらいですが、そこで打たれた△5八歩 が決め手級の一手でした。
上図以下、▲5八同飛 △6七金(下図)
飛車取りに金を入られ・・・
以下、▲5九飛 と逃げると△5八歩 ▲同金 △同金 ▲同飛 △6七金 と責められますし・・・
▲4八飛 と逃げると△5七金 で飛車が詰むので成す術がありません。
上図以下、▲4八飛 △5七金 ▲8一馬(下図)
実戦は飛車・金交換を選び・・・
上図以下、△4八金 ▲同金 △5四銀 ▲2六香(下図)
ヤケクソで絡みましたが・・・
上図以下、△4四飛 ▲5三銀 △8八飛 ▲4九金打(下図)
金を使わされて希望を断たれました。
穴熊に手付かずな上に攻め駒もない・・・
上図以下、△9八飛成 ▲4四銀成 △同歩 ▲6一飛 △3三香(下図)
飛車を打ってもまだまだ遠い絶望感ったらもう・・・
「投了して次にいこうかなぁ・・・」
と思いましたが、この敗勢を逆転したってんだから将棋は分からない。
ここからダメ元で突っ込んだヤケクソ将棋をお楽しみください。
端攻めをしたら後手にミスが出た
横からの攻めは無理なので・・・
上図以下、▲2五桂 △8九竜 ▲1四歩(下図)
端から攻めるしかありません。
これにすべてが賭かっていますね。
上図以下、△1四同歩 ▲1三歩 △同香 ▲同桂成(下図)
上図以下、△1三同桂 ▲1八香打(下図)
取った香を打ち、一点突破に賭けたら・・・
上図以下、△3七香成(下図)
焦りが出たのか後手も突っ込んできました。
これが悪手だったようで形勢は先手有利(+500点)になっています。
上図以下、▲3七同銀 △4五桂(下図)
恐い桂打ちですが、ここで正しく指せれば先手ペースです。
正着は▲1二歩 △同玉 ▲1四香 と攻め合う手で、これなら先手に分がある終盤戦でした。
しかし実戦は・・・
上図以下、▲3八歩(下図)
怯んで受けに回ったため後手有利に戻っています。
ヤケクソで攻めてたんだからこういう所で攻め合えないのはダメでしたね。
ここで△7六馬 と引き「4九の金」を狙えば後手ペースの終盤でしたが・・・
上図以下、△3七桂不成 ▲同歩 △5八銀(下図)
銀を取ってから△5八銀 と絡んだのが悪く先手有利に再逆転しました。
上図以下、▲1四香 △4九銀成 ▲1三香不成(下図)
どうにか端攻めが成立し、勝負形に持ち込めましたね。
上図以下、△1三同銀 ▲同香成 △3九銀(下図)
△3九銀 の王手も香が走った後なので問題ありません。
気が付けば「2六の香」が攻めにも受けにも働く好手になっています。
上図以下、▲1七玉 △1五香 ▲1六歩 △2一金打(下図)
手番が回ってきたので寄せにいきます。
上図以下、▲2三香成 △同金(下図)
実戦では逃しましたが、ここで17手詰めがありました。
お時間がある方は実戦詰将棋として解いてみてください。
答えは数行下の見出しで書きます。
実戦詰将棋の答え
では答えです。
上図以下、▲1二香(下図)
シンプルな香打ちから詰んでいました。
上図以下、△1二同金 ▲3一飛成(下図)
この飛車成りが入れば簡単そうですが「2三の金」が邪魔で意外と手数が掛かります。
上図以下、△2一香 ▲1二成香 △同玉 ▲2二金(下図)
この焦点の金捨てが好手です。
・△2二同金
・△2二同香
・△1三玉
に分かれるのでそれぞれ解説します。
▲2二金 に△同金 の変化
まずは正解の17手詰めになる△2二同金(下図)と取った場合から。上図以下、▲2四桂(下図)
この桂打ちから詰みます。
△1一玉 なら▲2三桂 △同金 ▲1二金 までの詰み・・・
△1三玉 や△2三玉 なら▲1四金 △同玉 ▲2六桂(下図)と迫り・・・
以下、△2五玉 なら▲3四竜 までの詰み・・・
△2四玉 なら▲3四竜 △1三玉 ▲1四竜 までの詰み・・・
△1三玉 や△2三玉 なら▲1四銀 △2四玉 ▲3四竜(下図)までの詰みです。
いずれも「2六の桂」がしっかり働く詰み形ですね。
▲2二金 に△同香 の変化
△2二同香(下図)と取った場合は・・・上図以下、▲2一銀 △1三玉 ▲2五桂(下図)
この桂打ちから詰みます。
以下、△1四玉 なら▲2六桂 △2五玉 ▲3五金 までの詰み・・・
△2四玉 なら▲3五金 △1四玉 ▲2六桂(下図)までの詰みです。
▲2二金 に△1三玉 の変化
△1三玉(下図)と逃げた場合は・・・上図以下、▲2五桂(下図)
この桂打ちから詰みます。
以下、△2四玉 なら▲3五金 △1四玉 ▲2六桂 までの詰み・・・
△1四玉なら ▲2六桂(下図)から・・・
どこへ逃げても▲3五金 までの詰みです。
最後に
ここで17手詰めを決めていたらカッコイイ逆転勝ちだったんですが、実戦は・・・
上図以下、▲2三同成香 △1二歩 ▲1四香 △4一香 ▲2四桂(下図)
平凡に駒を足していく地味な寄せで勝ちました。
こんな終盤力で逆転できたのは奇跡ですね。
序盤の駒組みから反省も多い一局でしたし、これから四段に苦戦する日々が続きそうです。