今回は
「初段に通用するかな?」
と思って「ぴよ将棋w」の「ピヨ馬(初段)」に早石田を試したら
完全に予定外の相三間飛車(下図)
になった一局から
・ミスをとがめる角打ち
・ドキッとする受け
・相手陣を薄くする実戦的な角打ち
・王手飛車を狙う歩打ち
の4つを紹介します。
ちょっとした手筋集としてお楽しみください。
ミスをとがめる角打ち
先手が「私」、後手が「ピヨ馬(初段)」です。対抗形になると思っていたら相三間をやられ、かなり困った状態でのスタートになりました。
ずっと前に「鈴木大介の将棋 力戦相振り編」を読んでいるので・・・
角交換から▲6五角(下図)と打つ乱戦の変化を試すチャンスでもあるのに・・・
すっかり記憶から飛んでいて踏み込めません・・・
本譜は角交換をせず無難な▲2八銀(下図)で自陣のスキを消し・・・
どちらも手が見えてない感じの駒組みが進みました。
そして迎えた下図・・・
次の一手が疑問でやや先手持ちの展開になります。
上図以下、△7二銀(下図)
美濃囲いの形を作りながら8筋の歩に紐を付けた一手ですが、8二にスキができたので・・・
上図以下、▲2二角成 △同銀 ▲8二角(下図)
角交換から▲8二角 と打って香得を見込めるまあまあな流れになりました。
AIの評価値は300点前後の「少し有利」くらいを示しています。
ただ、香を取った後に馬を働かせるのが難しいのもあり、見方によっては
「使いにくい所に角を打たされた」
とも取れるかもしれません。
形によってはこれが罠だったりするから将棋は怖い・・・
ここからは「後手の持ち角」と比べて「どちらの角が働くか」が大事になりますね。
ドキッとする受け
実戦は▲2八角 に△3六歩(下図)と突いてきました。△5五角 の筋があるので対応に悩みます。
本譜は▲3八金 と受けたんですが、局後に検討したら
ちょっとドキっとする受け方
があったので紹介します。
上図以下、▲9一角成 △3七歩成 ▲同銀 △3六歩(下図)
3筋は放置して▲9一角成 と香を取るのが狙いを秘めた一手です。
拠点を作る△3六歩 への受け方が難しいと思いきや・・・
上図以下、▲3六同銀(下図)
大胆に取ってしまう手がありました。
これを△3六同飛 と取ると▲3八香(下図)の串刺しがあります。
よく見ると横への逃げ場所がないんですね。
ここで△1五角(下図)がドキッとする反撃で・・・
▲3七歩 と受けると飛車が生還しますが・・・
上図以下、▲3九玉(下図)
かわしておけば大丈夫です。
他にも▲3六同銀 の瞬間に△1五角(下図)と打つ手も気になりますが・・・
上図以下、▲3七歩 △3六飛 ▲1六歩(下図)
素直に▲3七歩 と受けて銀を取らせ、そこで▲1六歩 と角取りに突けば角か飛車のどちらかが取れます。
香を持った時に△3六歩 の拠点作りをされた時はこの受け方を知ってると優位になれるかもしれません。
ちなみに、▲3六同銀 には△5五角(下図)と打つのが最善ですが・・・
上図以下、▲3五歩 △1四飛 ▲7四歩(下図)
これには▲3五歩 で飛車を止めてから▲7四歩 と馬の活用を目指します。
もし△1四飛 ではなく△8四飛 と逃げた場合は▲8六香 で先手を取れば大丈夫です。
上図以下、△1九角成 ▲7三歩成 △同馬 ▲同馬(下図)
9九に角を成ると▲7三歩成 が厳しいので1九に成りますが・・・
それには▲7三歩成 から馬を交換します。
上図で△7三同桂 と取ると▲7四歩 が厳しいので・・・
上図以下、△7三同銀 ▲9二角(下図)
銀で取るくらいですが、▲9二角 から馬を作りにいけば先手優勢です。
相手陣を薄くする実戦的な角打ち
上記の手順が見えなかった本譜は△3六歩 に▲3八金 と受け、下図のように進みました。・先手の馬がニート化してる
・後手の攻めが早そう
という感じなのでちょっとキツくなりましたね。
本譜は△2四歩 と突いたので▲4六銀 と先受けすることができましたが・・・
もし△5五角(下図)と打たれていたら厳しかったかもしれません。
急所を睨む一手で後手の攻めに迫力が増していますから。
△5五角 以下、AIの評価値的には先手有利(+500点)を示しているけど実戦的には怖い手順があったので紹介します。
上図以下、▲8八銀 △3七角成(下図)
香取りを受けた所でズバッと角を切り・・・
上図以下、▲3七同金 △4五桂 ▲3八金 △6九銀(下図)
相手陣を薄くする割り打ちがその手順です。
上図以下、▲6八飛 △5八銀成 ▲同飛 △3六歩(下図)
金を剥がされてからジッと△3六歩 の拠点を作られると生きた心地がしなくないですか?
これをどう受けるかですが・・・
上図以下、▲5九玉(下図)
AIは急所から早逃げすれば大丈夫と読んでいました。
後手が居玉なので
▲1五角 の受けが利く
と見越した手のようです。一例を示します。
上図以下、△3七桂不成 ▲同桂 △同歩成 ▲1五角(下図)
単純な攻めならこれで「と金」を回収すれば大丈夫そうですね。
ただ、初段前後の棋力で「自信を持って▲5九玉 を指せるか?」と聞かれると難しいです。
急所に殺到する△3七角成 ~ △3六歩 までの手順は
玉を薄くして不安にさせる実戦的な荒業
としてお試しください。
王手飛車を狙う歩打ち
最後に寄せを楽にする軽手を紹介します。上図は、けっこうな大差で終盤に入った本譜の進行です。
AIは「シンプルに銀を取っておけば勝ち」と示していましたが、実戦的に寄せやすい形を目指す一手もありました。
3四の飛車がどこかへそれてくれれば寄せやすそう
と思って指したのが・・・
上図以下、▲3五歩(下図)
王手飛車を含みに飛車に働きかける一手です。
取れば▲2四角 が刺さりますね。
8筋方面へ逃げてくれれば守りが薄くなりますし、たった一歩で寄せが優しくなりました。
本譜は△2四飛(下図)と逃げたので・・・
上図以下、▲4二成香 △同玉 ▲1五角(下図)
準王手飛車から・・・
上図以下、△2三香 ▲2四角 △同香 ▲3四桂(下図)
ふんどしの桂を決めて寄せ切れました。
予定外の相三間をどうにか乗り切れて良かったです。
最後に
相振り飛車の将棋で使えそうな・香で飛車の捕獲を狙う▲3六同銀(下図)の受け
・玉を薄くする△3七角成(下図)からの攻め
を紹介してみました。
対人間には有効だと思うので、ドキっとさせる実戦心理の揺さぶりにお試しください。