上図は「寄せ問題16」の最善手を逃して進んだ実戦の進行です。
次に▲5二金(と)からの寄せを狙っていたら△3五角 で竜を牽制され、ちょっと攻めにくそうにされました。
実戦は▲5三歩 と角の利きを止めたんですが、ここは
角に怯まず寄せにいくのが最善
だったようです。
盤面を冷静に見て
飛車の位置の悪さ
を突く寄せの手順を考えてみてください。
寄り形になるまでの手順が長いので、とりあえず「狙い筋の3手」だけ考える感じで大丈夫です。
答えは数行下の見出しで書きます。
寄せ問題の答え
では答えです。
上図以下、▲5二と(下図)
予定通り「と金」で迫るのが最善でした。
この手の狙いは・・・
上図以下、△5二同金 ▲7五角(下図)
「飛車取り」と「▲3一角成」の両狙いになる角の飛び出しです。
△5二同金 ではなく△3一金 と逃げた場合も同じように迫って先手勝勢になります。
「8六にいる欠点」を利用して「飛車取りを含みに迫る」のが狙い筋でした。
この3手が見えれば正解です。
以下、△8九飛成 と逃げたら▲3一角成 △1二玉 ▲3二馬(下図)と銀を取り・・・
上図以下、△5一歩 ▲2五香(下図)
玉頭方面からシンプルな詰めろを掛ければ受けが難しく先手の勝ちです。
▲7五角 に△5一歩(下図)と受けてきた場合は・・・
上図以下、▲8六角(下図)
飛車を取っておけば先手勝勢です。
次に▲4五金 などで角をどかして▲5二金 が入れば寄りですね。
上図以下、△6二金 ▲4五金 △5三角 ▲6四銀(下図)
AIは△6二金 を最善と示しましたが、落ち着いて角を責めて▲6二竜 を狙えば問題ありません。
基本的な狙いは上記の手順ですが、▲5二と には
・△6二角
・△5一歩
の応手も考えられるので検討した手順を紹介します。
▲5二と に△6二角 の変化
△6二角(下図)と金を取ってきた場合は・・・上図以下、▲6二同竜(下図)
冷静に竜で取り返せば寄り筋です。
勝ちが確定するまでは少し掛かるので
・△5二金
・△3一金
を例に寄せ手順を紹介します。
▲6二同竜 に△5二金 の変化
△5二金(下図)と「と金」を払ってきた場合は・・・上図以下、▲5二同竜 △4一金 ▲7五角(下図)
美濃を再構築する△4一金 のタイミングで▲7五角 と出ます。
△5二金 と竜を取ってきたら▲3一角(下図)と打ち・・・
上図以下、△1二玉 ▲8六角(下図)
寄せの拠点を作ってから飛車を取れば先手勝勢です。
次に▲1五歩 や▲8二飛 からシンプルに迫れば勝ちですね。
▲7五角 に△8九飛成(下図)と逃げた場合は・・・
上図以下、△4一竜 ▲同銀 ▲3一角打(下図)
竜切りからの角打ちで寄り筋です。
△1二玉 なら▲1五歩(下図)と突くのが厳しく・・・
以下、△1五同歩 なら▲1四香 からの詰み・・・
(詰み手順は「実戦詰将棋150」として出題したのでリンク先を参照してください)
△2二銀 なら▲1四歩(下図)と取り込み・・・
▲1三金 からの詰みを見せれば受けが難しいです。
なので▲3一角打 には△3二玉(下図)と逃げますが・・・
上図以下、▲2二金 △同銀 ▲4二金(下図)
左右からの金打ちが好手で手が続きます。
△4二同銀 は▲同角引成 までの詰みなので3三へ逃げますが・・・
上図以下、△3三玉 ▲4三金(下図)
この金捨てが好手で△4三同玉 でも△2四玉 でも▲2二角成 と銀を取っておけば一手一手の寄りです。
▲6二同竜 に△3一金 の変化
△3一金(下図)と逃げた場合は・・・上図以下、▲7五角(下図)
角の飛び出しがより刺さります。
自玉を受ければ▲8六角 で充分ですし、飛車を逃げると・・・
上図以下、△8八飛成 ▲3一角成 △同玉 ▲4一と(下図)
角切りから▲4一と と捨てるのが好手で寄り形です。
△2二玉 と逃げると▲3一角 △1二玉 ▲1三香 △同桂 ▲3二竜(下図)からの詰み・・・
△4一同銀 なら▲2二角(下図)と捨て・・・
上図以下、△2二同銀 ▲3二香 △同銀 ▲4二金(下図)
金打ちまでキレイに詰むので▲4一と は△同玉(下図)と取りますが・・・
上図以下、▲7五角(下図)
離して角を打ち、3一への退路を断てば受けが難しいです。
上図以下、△4二桂 ▲同角成 △同銀 ▲5二金(下図)
4二に打って受けても角切りから金を打ち・・・
上図以下、△3一玉 ▲4二金 △2二玉 ▲3二金(下図)
ズンズン押していけば詰みです。
以下、△1二玉 なら▲3三金 △1三玉 ▲2二竜 から・・・
△1三玉 なら▲2二銀 △2四玉 ▲2六香 から詰みます。
▲5二と に△5一歩 の変化
△5一歩(下図)と底歩で受けた場合は・・・上図以下、▲4一と △同銀 ▲5一竜(下図)
守りの要の金を取って竜で迫れば寄りです。
△3二銀 と逃げたら▲7五角 から▲3一角成 を狙えばいいので、受けるなら
・△8二飛
・△4二銀上
の2つが有力でしょうか・・・
それぞれへの応手を紹介します。
▲5一竜 に△8二飛 の変化
△8二飛(下図)と受けてきた場合は・・・上図以下、▲4一竜 △6二飛 ▲3一金(下図)
尻金を狙う▲3一金 から寄ります。
次に▲2一金 △1三玉 ▲2五桂 の王手銀取りを食らうと終わりなので・・・
上図以下、△1三玉 ▲2一金 △2五桂(下図)
早逃げをして先に桂を打って受けますが・・・
上図以下、▲4五桂(下図)
こちらから銀を狙えば受けが難しいです。
△2二銀 なら▲同金 △同飛 ▲3三銀 でいいですし・・・
△2四銀 なら▲2二銀 △同飛 ▲同金(下図)でほぼ受けなしです。
このままなら▲1一竜 までの詰み・・・
△2二同玉 なら▲3二飛 △1三玉 ▲1一竜 までの詰みです。
なので▲4五桂 には△4二金(下図)と受けるのが最善ですが・・・
上図以下、▲4二同竜(下図)
あっさり竜を切ってしまえば寄り形です。
△4二同飛 なら▲3三桂成 から▲2二銀 を狙えばいいですし・・・
△4二同銀 なら▲2二銀 △2四玉 ▲2六香(下図)と迫り・・・
次に▲2五香 △同玉 ▲2六歩 △同角 ▲1七桂打(下図)からの詰みを見せれば受けが難しいです。
詰みの一例としては・・・
上図以下、△1七同角成 ▲同桂 △1六玉 ▲2七銀 ▲1五玉 △2五金(下図)
という感じになります。
▲2七銀 と美濃の銀を活用するのが覚えておくと役立つ一手ですね。
▲5一竜 に△4二銀上 の変化
3一をケアしながら△4二銀上(下図)と先手で受けた場合は・・・上図以下、▲4一竜 △3二桂 ▲7五角(下図)
竜を入って▲3二金 を見せ、それを△3二桂 と受けさせてから▲7五角 と出るのが好手順です。
上図以下、△8九飛成 ▲3一金(下図)
自陣を受ける手もないので飛車を逃げるくらいですが、そこで金を打てば先ほどと似た「尻金」を狙った寄り形になります。
上図以下、△4四桂 ▲2一金 △1三玉 ▲4二竜(下図)
反撃を狙った△4四桂 が最後の頑張りです。
それには▲2一金 から▲4二竜 と切れば先手の勝ちになります。
△4二同銀 なら▲2二銀 △2四玉 ▲4二角成 から詰むため・・・
上図以下、△3六桂 ▲同歩 △4六角(下図)
△3六桂 でコビンを開けて角を覗き、紛れを求めるのが最善ですが・・・
上図以下、▲3七桂打 △5五角 ▲2五桂打 △2四玉 ▲5七角(下図)
ガッチリ桂を打って受け、玉を引きずりだしてから▲5七角 と引き・・・
上図以下、△3五金 ▲3三桂成(下図)
金を使わせてから▲3三桂成 と銀を取れば、▲2五銀 からの詰みを受けるのが難しく先手の勝ちになります。
最後に
この局面を見た時に
飛車の位置が悪いから▲7五角(下図)が両狙いになるように迫ればいける
と気付けるかがポイントでした。
最終的に寄せ切るまでは色々と難しくても
急所になる敵陣の不備
がパッと見えるとスマートな寄せを狙えそうですね。
そういうのに気付かず▲5三歩 とか打ってる内は苦労が続きそうです。